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欲望の怨嗟
side01 責任を問う気はない
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「ふっ……なんだそれは。零陵は意外と面白いことを言うのだな」
俺の言葉に会長は笑みをこぼした。
この感じから、彼女は俺の言葉を冗談とでもとらえているのだろう。だが、俺にとっては本当に大事なことだ。
しかし、それを理解してもらうつもりもないので、俺はそれ以上はしゃべらない。
シャーペン選びも終わり、特にあてもなくふらふらしていたのだが、時刻は12時を回っていた。
彼女はいつの間にとでも言いたいのか、急いでファミレスに入っていった。
「ふぅ……意外とすんなり入っていけたな。昼時だから並んでしまうことになりそうだったが」
「もう入れたんだからいいんじゃないか?」
「そうは言うがな、今日はお前へのお詫びも兼ねているんだ。食事に並ばせるようなまねはできないさ」
「できる男でも目指してんのか?別に並ぶくらいなんとも言わないし、そもそも奢るって言っても数百円で終わるし」
「零陵は遠慮するな。私はこう見えてお金を持っている。今日の食事代くらいもてるさ」
「そういう意味じゃなくて―――」
そうこうしていると、ホールがやってくる。
「ご注文は―――?」
「コーヒーで」
「お、終わり!?もっと頼んでいいんだぞ?」
「いや、十分だ。後は会長の分だ」
「わ、私はこのピザを頼む」
そう言って彼女が店員に示したのはマルゲリータピザだった。明らかにパーティサイズ用の大きなものだった。まず一人で頼むような代物ではない。
だが、俺はすでに警告は出しているので、もう知らない。
5分ほどして品物を持った店員が現れる。
「お待たせしました。コーヒーとマルゲリータピザです。ごゆっくりどうぞ」
それだけ言うとスタッフはすぐさま下がっていく。
残されたのは、俺たちの目の前に広がる品物だけ。俺は、自分のオーダーであるコーヒーをとる。
それを口に含み―――
「ふむ……」
―――やはり何も感じない。
一般人は苦いだのなんだの言うが、俺には何も感じられない。
本当に水分としてとる以外に目的がない。
こんなのに300円もかけて―――水道で済ませたらどれだけ楽なことか。
俺からすれば金をドブに捨てる行為。会長にはそういうことをさせたのだが、彼女は俺のことをお構いなしにピザをカットしていた。
「んし……できたぞ。零陵、お前も食べるんだ」
「は?だからいらないって―――」
「そういっても私が気にするんだ。お詫びも何もかもできていない。しかも、今は昼食の時間だ。それなのに、後輩がコーヒーだけなのは看過できん。栄養的にもだ」
「そんなジャンク食ってる時点で文句言えるタイプじゃないだろうが」
行動と言動がついていない会長に俺はそう言った。
しかし、何か食べさせてもらおうだなんて思っていないんだが、そんなに俺の健康状態が心配なのか?物好きな奴だな。
そう考えて、鞄からおもむろに薬を取り出す。
「それは……?」
「サプリだよ。栄養面がどうのとか言ってただろ?ならこの5種類のサプリを1錠ずつ―――5錠飲めば1食分のエネルギーの補給は終わる」
「さ、サプリ!?お前、まさかそんな食生活を続けているんじゃないだろうな?」
「なにがいけないんだ?十分に栄養はとれているし、今も健康に過ごしている。飲むだけで済む分、時短にもなると思うんだが?」
会長は詰められて何も言えなくなる。実際に言っていることは正しいと認識できているのだろう。だが、あくまで彼女は食べることにこだわっているようだった。
「い、いいから食べろ!」
ガッ!
彼女は勢いに身を任せてピザを俺の口にねじ込んできた。
コーヒーを飲んでいて完全に油断していたところなので、不用意に飲み込んでしまった。
本当に久しぶりに固形物を飲み込んだことによるせいか、ピザが食道を通っていく感覚があった。
腹の底のほうへと沈んでいき、そして違和感を覚える。
なんというか、喉元が熱い。
そう思った瞬間、俺はピザを戻した。
急激な吐き気にもよされて下を向いていたので会長にかかることはなかった、が―――
俺は思いっきり下半身と店の床に吐いてしまった。
「お、お客様!?」
「す、すいません―――処理、お願いできますか?」
店側の意向で、吐しゃ物は自己で処理できない。そうである以上は店に頼むしかない。
なんせ、会長はおどおどして使い物にならない。
しばらくするとはっとした様子の会長は店の支払いをして飛び出していった。
さすがに自分が食べ物を与えたことで吐いてしまったというのは応えるものがあったのではないだろうか。
とりあえず自分にかけてしまった吐瀉物をふき取った後は店員の邪魔にならないように少し外れた位置に移動した。吐いたことによって会長の頼んでピザは台無しになってしまったが、食中毒などの病気などを考えれば仕方のないことだろう。
店員にしっかり謝罪をしていると、そこに会長が急ぎ足で戻ってきた。
ぶっちゃけそのまま飛ぶかと思ったが、ちゃんと責任感だけはある人なだけはある。
彼女の手には、施設の中にある大手服飾メーカーの店のロゴが描かれた袋が握られている。
「その、本当にすまない!まさか、あんなことになるだなんて思っていなかったんだ」
「別に怒ってない。あんたがそういうことをやりかねないのは前から分かってたことだ。本当に拒否するなら殴ってでもやるべきだった」
「……すまない。もしこういうことがこの先にもあるようだったら殴ってくれても構わない」
構うだろ。とは言えなかった。
どうせイタチごっこになるのは目に見えていたし、彼女も一応反省はしているのでもう怒る理由もない。
二人で店側への謝罪を済ませた俺たちは、これ以上迷惑をかけないためにその場を後にした。
少しして、化粧室が近くに来ると会長は手に持っていた袋を俺に渡してきた。
「これ―――今日のお詫びだ。そのままじゃ公共交通機関も乗れないだろう?」
「確かにそうだな。ありがたく受け取っておく」
会長から受け取った俺はすぐさま個室へと駆け込んで衣服を着替えた。
多少サイズは合わないが、ご丁寧にベルトなどを買ってきてくれていて調整できるように配慮はされているみたいだ。
少々サイズが大きいだけでとどめている彼女は、意外とすごいのかもしれない。
服のことに関して俺は特に何かを言えるほどのセンスはしていないので、こうやって選んでもらえるのは少し助かるものだ。
俺の言葉に会長は笑みをこぼした。
この感じから、彼女は俺の言葉を冗談とでもとらえているのだろう。だが、俺にとっては本当に大事なことだ。
しかし、それを理解してもらうつもりもないので、俺はそれ以上はしゃべらない。
シャーペン選びも終わり、特にあてもなくふらふらしていたのだが、時刻は12時を回っていた。
彼女はいつの間にとでも言いたいのか、急いでファミレスに入っていった。
「ふぅ……意外とすんなり入っていけたな。昼時だから並んでしまうことになりそうだったが」
「もう入れたんだからいいんじゃないか?」
「そうは言うがな、今日はお前へのお詫びも兼ねているんだ。食事に並ばせるようなまねはできないさ」
「できる男でも目指してんのか?別に並ぶくらいなんとも言わないし、そもそも奢るって言っても数百円で終わるし」
「零陵は遠慮するな。私はこう見えてお金を持っている。今日の食事代くらいもてるさ」
「そういう意味じゃなくて―――」
そうこうしていると、ホールがやってくる。
「ご注文は―――?」
「コーヒーで」
「お、終わり!?もっと頼んでいいんだぞ?」
「いや、十分だ。後は会長の分だ」
「わ、私はこのピザを頼む」
そう言って彼女が店員に示したのはマルゲリータピザだった。明らかにパーティサイズ用の大きなものだった。まず一人で頼むような代物ではない。
だが、俺はすでに警告は出しているので、もう知らない。
5分ほどして品物を持った店員が現れる。
「お待たせしました。コーヒーとマルゲリータピザです。ごゆっくりどうぞ」
それだけ言うとスタッフはすぐさま下がっていく。
残されたのは、俺たちの目の前に広がる品物だけ。俺は、自分のオーダーであるコーヒーをとる。
それを口に含み―――
「ふむ……」
―――やはり何も感じない。
一般人は苦いだのなんだの言うが、俺には何も感じられない。
本当に水分としてとる以外に目的がない。
こんなのに300円もかけて―――水道で済ませたらどれだけ楽なことか。
俺からすれば金をドブに捨てる行為。会長にはそういうことをさせたのだが、彼女は俺のことをお構いなしにピザをカットしていた。
「んし……できたぞ。零陵、お前も食べるんだ」
「は?だからいらないって―――」
「そういっても私が気にするんだ。お詫びも何もかもできていない。しかも、今は昼食の時間だ。それなのに、後輩がコーヒーだけなのは看過できん。栄養的にもだ」
「そんなジャンク食ってる時点で文句言えるタイプじゃないだろうが」
行動と言動がついていない会長に俺はそう言った。
しかし、何か食べさせてもらおうだなんて思っていないんだが、そんなに俺の健康状態が心配なのか?物好きな奴だな。
そう考えて、鞄からおもむろに薬を取り出す。
「それは……?」
「サプリだよ。栄養面がどうのとか言ってただろ?ならこの5種類のサプリを1錠ずつ―――5錠飲めば1食分のエネルギーの補給は終わる」
「さ、サプリ!?お前、まさかそんな食生活を続けているんじゃないだろうな?」
「なにがいけないんだ?十分に栄養はとれているし、今も健康に過ごしている。飲むだけで済む分、時短にもなると思うんだが?」
会長は詰められて何も言えなくなる。実際に言っていることは正しいと認識できているのだろう。だが、あくまで彼女は食べることにこだわっているようだった。
「い、いいから食べろ!」
ガッ!
彼女は勢いに身を任せてピザを俺の口にねじ込んできた。
コーヒーを飲んでいて完全に油断していたところなので、不用意に飲み込んでしまった。
本当に久しぶりに固形物を飲み込んだことによるせいか、ピザが食道を通っていく感覚があった。
腹の底のほうへと沈んでいき、そして違和感を覚える。
なんというか、喉元が熱い。
そう思った瞬間、俺はピザを戻した。
急激な吐き気にもよされて下を向いていたので会長にかかることはなかった、が―――
俺は思いっきり下半身と店の床に吐いてしまった。
「お、お客様!?」
「す、すいません―――処理、お願いできますか?」
店側の意向で、吐しゃ物は自己で処理できない。そうである以上は店に頼むしかない。
なんせ、会長はおどおどして使い物にならない。
しばらくするとはっとした様子の会長は店の支払いをして飛び出していった。
さすがに自分が食べ物を与えたことで吐いてしまったというのは応えるものがあったのではないだろうか。
とりあえず自分にかけてしまった吐瀉物をふき取った後は店員の邪魔にならないように少し外れた位置に移動した。吐いたことによって会長の頼んでピザは台無しになってしまったが、食中毒などの病気などを考えれば仕方のないことだろう。
店員にしっかり謝罪をしていると、そこに会長が急ぎ足で戻ってきた。
ぶっちゃけそのまま飛ぶかと思ったが、ちゃんと責任感だけはある人なだけはある。
彼女の手には、施設の中にある大手服飾メーカーの店のロゴが描かれた袋が握られている。
「その、本当にすまない!まさか、あんなことになるだなんて思っていなかったんだ」
「別に怒ってない。あんたがそういうことをやりかねないのは前から分かってたことだ。本当に拒否するなら殴ってでもやるべきだった」
「……すまない。もしこういうことがこの先にもあるようだったら殴ってくれても構わない」
構うだろ。とは言えなかった。
どうせイタチごっこになるのは目に見えていたし、彼女も一応反省はしているのでもう怒る理由もない。
二人で店側への謝罪を済ませた俺たちは、これ以上迷惑をかけないためにその場を後にした。
少しして、化粧室が近くに来ると会長は手に持っていた袋を俺に渡してきた。
「これ―――今日のお詫びだ。そのままじゃ公共交通機関も乗れないだろう?」
「確かにそうだな。ありがたく受け取っておく」
会長から受け取った俺はすぐさま個室へと駆け込んで衣服を着替えた。
多少サイズは合わないが、ご丁寧にベルトなどを買ってきてくれていて調整できるように配慮はされているみたいだ。
少々サイズが大きいだけでとどめている彼女は、意外とすごいのかもしれない。
服のことに関して俺は特に何かを言えるほどのセンスはしていないので、こうやって選んでもらえるのは少し助かるものだ。
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