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天国も地獄もない
しおりを挟む天国には天女が舞っているのだろうか
私たちが描く天国のイメージそのものであればいいのだが
もうすぐ行く身にはどういうところか知りたい
最高か普通か最低のどれかであるのには間違いないが
一番恐ろしいのは天国がないということである
行くところがないとはどういうことか
どこかを彷徨い歩くのか
行く主体がないとも考えられる
つまり死んだら無になるということである
これほど恐ろしいことはないのに
現代人の多くはそう信じている
科学の発達のせいばかりではない
科学はこの世の全てを解明していない
それは分かっていても人は無をそれほど怖がっていない
それは内的には眠りで毎日 無を経験しているから
醒めない眠りが死ではないかと思っている
外的には骨になって灰になって舞うことを知っている
現代人が無をそれほど怖がらないのは諦念の境地にあるからではないか
人が死んで無になって消えていくことを受け入れているからではないか
現代人の心の底をニヒリズムが流れている
それは普段目立たないが死が近づくにつれて心の奥が空虚だと気づく
死の間近な老人や死病にある人は最後には無に向かって微笑む
ようやく終わるねと
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