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Ⅰ-83 着替え
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■バーンの宿屋
ミーシャとサリナのご協力により、妄想コスプレ大会は無事に終了した。メイド服と魔女っ娘以外の衣装を着てもらったわけではない。俺が最初の衣装だけで満足したから・・・、正直言うと小心者の俺様はやっぱり罪悪感がもたげてきたのだ。二人はスカートを普段から履いていないので居心地悪そうにしていた。写真は沢山撮ったし、引き伸ばしてストレージにハーフエルフのメイドスタイルを貼っておくことで、思い出作りが完璧に出来たと判断して、お着替えは1回で終了することにしたのだ。
それに、無邪気に遊んでいられ無いことにも気がついた。窓から見える通りには隠れるわけでもなく赤い旅団の奴らが3人立っている。組合からはつけられていないと思ったが、何処かで見られていたようだ。宿でいきなり襲われることは無いと思うが・・・、油断は出来ない。こちらとしてもいろいろ対策が必要だ。俺はミーシャにギルドと町の中を調べてもらうために、変装をしてから出かけてもらうことにした。髪は茶色のカツラに変えて、服や靴はこの世界の物に変える。剣を腰に装備し、ハンドガンのヒップホルスターはシャツの裾で隠しておく。顔はミーシャのままだが、遠目には判らないだろう。
外に出て行くミーシャを窓際から見ていたが、見えている旅団の奴らは後をつけなかったようだ。ミーシャならよほどのことが無ければ襲われても大丈夫だと信じている。ちなみに予備マガジンは6個持ち出しているから、何かあれば相手の方が心配だ。
ミーシャが出かけている間に俺はストレージに入って武器の整理をしておくことにした。取り出しやすい場所にゴム弾とテイザー弾が入ったショットガンを並べて置き、グレネードランチャーにも催涙弾を装填して、死なない武器を増やしておく。この世界のやり方に合わせると言っても、できるだけ殺さないようにしたいのが本音だからだ。
それ以外に未開地対策の武器も確認して、対戦車ロケット砲や重機関銃の安全装置を操作して、スムーズに使えるようにイメージをつかんでおく。今までで最強の魔獣が出てくるなら、こちらも破壊力を引き上げておく必要があるだろう。思いつく範囲の準備を終えて、ストレージから出るとサリナは退屈そうにベッドの上に座っていた。
「もう、準備は終ったの?」
「ああ、大体片付いた」
「サトルの部屋はどんな風になってるの?」
「俺の部屋か・・・」
上手く説明できない、と言うよりも俺自身も判ってないと言うべきか?
「そうだな、この部屋が100個ぐらいあると思ってくれ」
「100個!?」
ミーシャは2時間足らずで無事に宿へ戻って来た。俺のお願いした探し物もちゃんと見つけてくれていた。変装はカツラが気持ち悪かったようで、部屋に戻るとすぐに着替え始めた。出来るだけ見ないようにするため、窓の外を眺めたが相変わらず3人組が通りの向かい側に居る。身長は3人とも2メートル前後で、見張りに飽きたのかこちらを見ずにしゃがみ込んで楽しそうに話をしていた。
§
ベッドでまどろんでいた俺の耳に部屋を震わせるような大きな音が飛び込んできた。夕食は部屋でステーキを食べて、いつもより早めにベッドに入っていたのだが、ドアを破ろうとするやつがいるようだ。もっとも、こういう事態が気になっていたので俺は寝ていなかったのだが・・・、スマホを見て時間を確認すると23時37分だった。この世界では普通は寝ている時間だが、まだまだ頑張っていたようだ。破れたドアの隙間からは大きな声が聞こえてくる。
「おい、なんだこれ?ぶち破れねぇぞ!」
「痛てぇ・・・肩が外れちまった!」
「いいから、何とかして中に入ってひっ捕らえろ!」
ドアの内側には厚さ1cmの鉄板を立てかけて倒れないように金属製の置き金庫を3段重ねにして置いてある。入って来れないわけでは無いが、ショルダーチャージ一発では無理なはずだ。靴を履いてストレージから出てショットガンを構えると、重たい置き金庫と鉄板を押しのけて一人目の獣人がちょうど入ってきたので、プラスチックの散弾を胴体に向けてぶっ放した。狭い室内に12ゲージ弾が発射される轟音が響き渡り、悲鳴が上がった。
「グァー!! 痛てぇ・・・」
部屋に入ってきたやつは両腕で体を抱えてその場にうずくまったが、その後ろからもう一人が入ってこようとしている、すかさずショットガンのトリガーを引いた。この宿に泊まっている人はもう眠れないだろう。2発目の轟音とともに二人目の顔が後方へ仰け反ってドアの向こう側に倒れた。距離は4メートルほどだから、プラスチック弾でもショットガンの威力は強烈だ。顔に集弾すれば気絶するし、目に当たれば失明するかもしれない。
3人目が入ってこないので、窓の外を見てくれているミーシャの横に行く。
「外にも3人いるぞ、ここから撃とうか?」
「いや、撃たなくて良い、しばらく外を警戒しておいて」
部屋の外からは、倒れたヤツを引きずって行く音が聞こえた、押し入るのはあきらめたようだ。中にいるヤツは床でうずくまったままだったので、念のためスタンガンで無力化しておいた。
「3人出て来たぞ、二人で一人を抱えている」
ミーシャの声を聞いてドアの外の廊下を見ると誰も居なくなっていたので、窓へ行って暗視装置で外を見る。しばらく小声で話し合った後に全員で立ち去って行った。旅団の得意技である置き去りというやつだ。
部屋をLEDランタンで明るくしてから、鉄板や置き金庫を片付ける。サリナは俺の言いつけを守って、ベッドの上でおとなしくしていた。万一襲われても、俺が良いと言うまでは魔法を使うなと、飯を食いながらクギをさしておいたのだ。
さて、木製のドアは半壊しているが、部屋は片付いたし静かになった。そろそろ倒れているヤツからいくつか確認する必要があるだろう。拷問のテクニックは無いので、できるだけ協力してくれることを期待したい。
ミーシャとサリナのご協力により、妄想コスプレ大会は無事に終了した。メイド服と魔女っ娘以外の衣装を着てもらったわけではない。俺が最初の衣装だけで満足したから・・・、正直言うと小心者の俺様はやっぱり罪悪感がもたげてきたのだ。二人はスカートを普段から履いていないので居心地悪そうにしていた。写真は沢山撮ったし、引き伸ばしてストレージにハーフエルフのメイドスタイルを貼っておくことで、思い出作りが完璧に出来たと判断して、お着替えは1回で終了することにしたのだ。
それに、無邪気に遊んでいられ無いことにも気がついた。窓から見える通りには隠れるわけでもなく赤い旅団の奴らが3人立っている。組合からはつけられていないと思ったが、何処かで見られていたようだ。宿でいきなり襲われることは無いと思うが・・・、油断は出来ない。こちらとしてもいろいろ対策が必要だ。俺はミーシャにギルドと町の中を調べてもらうために、変装をしてから出かけてもらうことにした。髪は茶色のカツラに変えて、服や靴はこの世界の物に変える。剣を腰に装備し、ハンドガンのヒップホルスターはシャツの裾で隠しておく。顔はミーシャのままだが、遠目には判らないだろう。
外に出て行くミーシャを窓際から見ていたが、見えている旅団の奴らは後をつけなかったようだ。ミーシャならよほどのことが無ければ襲われても大丈夫だと信じている。ちなみに予備マガジンは6個持ち出しているから、何かあれば相手の方が心配だ。
ミーシャが出かけている間に俺はストレージに入って武器の整理をしておくことにした。取り出しやすい場所にゴム弾とテイザー弾が入ったショットガンを並べて置き、グレネードランチャーにも催涙弾を装填して、死なない武器を増やしておく。この世界のやり方に合わせると言っても、できるだけ殺さないようにしたいのが本音だからだ。
それ以外に未開地対策の武器も確認して、対戦車ロケット砲や重機関銃の安全装置を操作して、スムーズに使えるようにイメージをつかんでおく。今までで最強の魔獣が出てくるなら、こちらも破壊力を引き上げておく必要があるだろう。思いつく範囲の準備を終えて、ストレージから出るとサリナは退屈そうにベッドの上に座っていた。
「もう、準備は終ったの?」
「ああ、大体片付いた」
「サトルの部屋はどんな風になってるの?」
「俺の部屋か・・・」
上手く説明できない、と言うよりも俺自身も判ってないと言うべきか?
「そうだな、この部屋が100個ぐらいあると思ってくれ」
「100個!?」
ミーシャは2時間足らずで無事に宿へ戻って来た。俺のお願いした探し物もちゃんと見つけてくれていた。変装はカツラが気持ち悪かったようで、部屋に戻るとすぐに着替え始めた。出来るだけ見ないようにするため、窓の外を眺めたが相変わらず3人組が通りの向かい側に居る。身長は3人とも2メートル前後で、見張りに飽きたのかこちらを見ずにしゃがみ込んで楽しそうに話をしていた。
§
ベッドでまどろんでいた俺の耳に部屋を震わせるような大きな音が飛び込んできた。夕食は部屋でステーキを食べて、いつもより早めにベッドに入っていたのだが、ドアを破ろうとするやつがいるようだ。もっとも、こういう事態が気になっていたので俺は寝ていなかったのだが・・・、スマホを見て時間を確認すると23時37分だった。この世界では普通は寝ている時間だが、まだまだ頑張っていたようだ。破れたドアの隙間からは大きな声が聞こえてくる。
「おい、なんだこれ?ぶち破れねぇぞ!」
「痛てぇ・・・肩が外れちまった!」
「いいから、何とかして中に入ってひっ捕らえろ!」
ドアの内側には厚さ1cmの鉄板を立てかけて倒れないように金属製の置き金庫を3段重ねにして置いてある。入って来れないわけでは無いが、ショルダーチャージ一発では無理なはずだ。靴を履いてストレージから出てショットガンを構えると、重たい置き金庫と鉄板を押しのけて一人目の獣人がちょうど入ってきたので、プラスチックの散弾を胴体に向けてぶっ放した。狭い室内に12ゲージ弾が発射される轟音が響き渡り、悲鳴が上がった。
「グァー!! 痛てぇ・・・」
部屋に入ってきたやつは両腕で体を抱えてその場にうずくまったが、その後ろからもう一人が入ってこようとしている、すかさずショットガンのトリガーを引いた。この宿に泊まっている人はもう眠れないだろう。2発目の轟音とともに二人目の顔が後方へ仰け反ってドアの向こう側に倒れた。距離は4メートルほどだから、プラスチック弾でもショットガンの威力は強烈だ。顔に集弾すれば気絶するし、目に当たれば失明するかもしれない。
3人目が入ってこないので、窓の外を見てくれているミーシャの横に行く。
「外にも3人いるぞ、ここから撃とうか?」
「いや、撃たなくて良い、しばらく外を警戒しておいて」
部屋の外からは、倒れたヤツを引きずって行く音が聞こえた、押し入るのはあきらめたようだ。中にいるヤツは床でうずくまったままだったので、念のためスタンガンで無力化しておいた。
「3人出て来たぞ、二人で一人を抱えている」
ミーシャの声を聞いてドアの外の廊下を見ると誰も居なくなっていたので、窓へ行って暗視装置で外を見る。しばらく小声で話し合った後に全員で立ち去って行った。旅団の得意技である置き去りというやつだ。
部屋をLEDランタンで明るくしてから、鉄板や置き金庫を片付ける。サリナは俺の言いつけを守って、ベッドの上でおとなしくしていた。万一襲われても、俺が良いと言うまでは魔法を使うなと、飯を食いながらクギをさしておいたのだ。
さて、木製のドアは半壊しているが、部屋は片付いたし静かになった。そろそろ倒れているヤツからいくつか確認する必要があるだろう。拷問のテクニックは無いので、できるだけ協力してくれることを期待したい。
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