36 / 183
勇者候補たちの想い
33.レンブラント商会
しおりを挟む
■レンブラント商会
レンブラント商会は大通りから1本入ったブロックにあった。
3階建ての大きな建物横に倉庫のような平屋があり、手前には荷馬車と馬がつながれている。
ハリスは行けばすぐわかると言っていたが、辺りの建物よりかなり大きい建物で、入り口に馬車で荷物を運んだ絵の看板がかかっていた。
ハリスからもらった紹介状を持って建物に入ると、金髪の若い男がレンブラントに取り次いでくれた。
必ず「スタートスから来た勇者」だと名乗るようにハリスから念を押されていたので、その通り名乗ったが、取次ぎの若い男はタケル達をチラッと見ただけで、奥に引っ込んでいった。
しばらく待っていると、奥から帽子をかぶった恰幅の良い男が出てきた。
帽子には鳥の羽がさしてあり、麻の上下に紫色の腰紐を巻いている。
この世界では、おしゃれな部類に入るのだろう。
「勇者様、私がレンブラントです。どうぞこちらへ。」
タケル達が通された部屋は、ビロード張りの柔らかいソファーが大きなテーブルの両側に用意された応接室だった。
壁には絵が、棚には様々な木彫りの置物や綺麗な石が置いてある。
「レンブラントさん、始めまして。タケルと言います。よろしくお願いします。」
「こちらこそ、遠くからようこそおいでになりました。スタートスにも勇者がいることはこの間、初めて知りました。」
「それで、ハリスさんからの紹介状を拝見しましたが、この国でお金を得る方法をお探しだとか?」
「はい、食事などは教会が全て手配してくれて、問題ないのですが、自由に動こうとすると、ある程度のお金が必要になってくるので。」
「なるほど、紹介状にはタケル様の聖教石を見せていただくように書いてあるのですが、拝見してもよろしいですか?」
タケルは頷き、リュックから聖教石をひとつ取り出してテーブルに置いた。
「これですか!? 確かにスゴイ!! ここまでの色合いは私も実際に見るのは初めてです。」
レンブラントは聖教石を光にかざして、興奮した顔で見上げている。
「これは、炎の魔法が込められているものでしょうか?」
「そうです、50cmぐらいの炎が30秒間続くように祈りを込めました。」
「大きさとか、時間も決められるのですか?」
「たぶん、グレン様にお願いするだけなんですけどね。」
レンブラントは思案しながら、壁のランプを指差した。
「タケル様は教会ランプをご存知ですか?」
「はい、知っています。炎魔法がこめられた小さな聖教石が入っていますよね。」
「その通りです、実はあれをもっと大きくしたものを作っていただくように、以前から教会へお願いしているのですが、教会から良いお返事がもらえないので困っています。」
「大きくして、どうするんですか?」
「主に船で使うつもりです。私の商いでは大量の荷物を出来るだけ早く運ぶことが重要なのです。大きな荷は川船を使っているのですが、川船での運搬は昼間しかできません。教会ランプの明かりでは光が足りないので、夜の運搬が難しいのです。」
「そのため、昼間に馬車で運んだ荷が舟の手前で溜まって大変困っております。私どもは、なんとか夜も毎日船を動かせるようにしたいのです。」
「なるほど、それでどのぐらいの大きさのランプにしたいのですか?」
「今のランプの5倍以上の大きさにしたいと思っています。」
(教会ランプの聖教石は1cm程度だから、5cmぐらいの炎の魔法石か)
「それで、ここからは内密のご相談なのですが、もし教会ランプの5倍の炎を出せる聖教石を譲っていただけるようでしたら、一つにつき金貨1枚をお支払いします。」
(聖教石は教会管理だから内緒ってことね)
(金貨一枚って、そもそもいくら?って話だけど)
横のアキラさんをチラッと見たが、足元をみて我関せずモードだった。
考え込んでいるタケルを見たレンブラントが、心配そうな顔で付け加える。
「金貨1枚では不足でしょうか? おいくらならお考えいただけますか?」
「いえ、お恥ずかしい話ですが、この国のお金の仕組みがわかっていないので、金貨1枚の価値がわかりませんでした。」
「そうでしたか、大変失礼いたしました。金貨1枚でしたら、小さな家は買うことが出来ます。荷馬車なら、2頭引きの馬車2台と馬4頭は買うこと可能です。普段の生活では金貨を使うことも見ることもまず無いと思います。」
(建物だけとしても1千万円単位ってことか・・・)
(せっかくだからお金の単位を教わらないと)
「他にも銀貨とかがあるんですよね?教えてもらえないですか?できれば、コインを何種類か見せていただけるとありがたいです。」
「わかりました。」
そういって、腰紐にぶら下がっている袋の中から、さらに巾着袋を取り出す。
袋から掴んだ硬貨をテーブルに並べて、色で分け始めた。
レンブラントの説明では、この世界の通貨は全て硬貨だった。
10進法で交換されており、10枚で上の価値の硬貨と交換される。
素材は金、銀、銅、鉄で作られており、銀・銅・鉄の硬貨には大と小の二区分がある。
つまり、硬貨の種類は7種類だ。
経済価値がアバウトだが・・日本円なら
金貨 1000万円
大銀貨 100万円
小銀貨 10万円
大銅貨 1万円
小銅貨 1千円
大鉄貨 100円
小鉄貨 10円
ぐらいになるはずだ。
最初の基準を金貨に置いたので、小さい通貨の誤差が大きいだろう。
通貨の説明を聞いてタケルは思わずにやけた。
(こっちの世界の方が金持ちになれるかも)
「普通の人は銀貨を見ることも無いんじゃないですか?」
「はい、商人以外で銀貨を使うことはまずありません。」
「ランプの聖教石を作ってみることは構いませんが、他の用途に使わないことを誓約いただく必要があります。」
「それはもう、アシーネ様に誓ってお約束します。ランプ以外には決して使いませんので。それで、おいくつ譲っていただけますか?」
(おいくつ?)
「たくさん必要なんでしょうか?」
「私どもでは8隻の船を常時走らせております。それと、船着場側にもランプが欲しいので、出来ましたら10個あるとありがたいのですが・・・」
(おぉー あっという間に億円のビジネスになったよ。)
レンブラント商会は大通りから1本入ったブロックにあった。
3階建ての大きな建物横に倉庫のような平屋があり、手前には荷馬車と馬がつながれている。
ハリスは行けばすぐわかると言っていたが、辺りの建物よりかなり大きい建物で、入り口に馬車で荷物を運んだ絵の看板がかかっていた。
ハリスからもらった紹介状を持って建物に入ると、金髪の若い男がレンブラントに取り次いでくれた。
必ず「スタートスから来た勇者」だと名乗るようにハリスから念を押されていたので、その通り名乗ったが、取次ぎの若い男はタケル達をチラッと見ただけで、奥に引っ込んでいった。
しばらく待っていると、奥から帽子をかぶった恰幅の良い男が出てきた。
帽子には鳥の羽がさしてあり、麻の上下に紫色の腰紐を巻いている。
この世界では、おしゃれな部類に入るのだろう。
「勇者様、私がレンブラントです。どうぞこちらへ。」
タケル達が通された部屋は、ビロード張りの柔らかいソファーが大きなテーブルの両側に用意された応接室だった。
壁には絵が、棚には様々な木彫りの置物や綺麗な石が置いてある。
「レンブラントさん、始めまして。タケルと言います。よろしくお願いします。」
「こちらこそ、遠くからようこそおいでになりました。スタートスにも勇者がいることはこの間、初めて知りました。」
「それで、ハリスさんからの紹介状を拝見しましたが、この国でお金を得る方法をお探しだとか?」
「はい、食事などは教会が全て手配してくれて、問題ないのですが、自由に動こうとすると、ある程度のお金が必要になってくるので。」
「なるほど、紹介状にはタケル様の聖教石を見せていただくように書いてあるのですが、拝見してもよろしいですか?」
タケルは頷き、リュックから聖教石をひとつ取り出してテーブルに置いた。
「これですか!? 確かにスゴイ!! ここまでの色合いは私も実際に見るのは初めてです。」
レンブラントは聖教石を光にかざして、興奮した顔で見上げている。
「これは、炎の魔法が込められているものでしょうか?」
「そうです、50cmぐらいの炎が30秒間続くように祈りを込めました。」
「大きさとか、時間も決められるのですか?」
「たぶん、グレン様にお願いするだけなんですけどね。」
レンブラントは思案しながら、壁のランプを指差した。
「タケル様は教会ランプをご存知ですか?」
「はい、知っています。炎魔法がこめられた小さな聖教石が入っていますよね。」
「その通りです、実はあれをもっと大きくしたものを作っていただくように、以前から教会へお願いしているのですが、教会から良いお返事がもらえないので困っています。」
「大きくして、どうするんですか?」
「主に船で使うつもりです。私の商いでは大量の荷物を出来るだけ早く運ぶことが重要なのです。大きな荷は川船を使っているのですが、川船での運搬は昼間しかできません。教会ランプの明かりでは光が足りないので、夜の運搬が難しいのです。」
「そのため、昼間に馬車で運んだ荷が舟の手前で溜まって大変困っております。私どもは、なんとか夜も毎日船を動かせるようにしたいのです。」
「なるほど、それでどのぐらいの大きさのランプにしたいのですか?」
「今のランプの5倍以上の大きさにしたいと思っています。」
(教会ランプの聖教石は1cm程度だから、5cmぐらいの炎の魔法石か)
「それで、ここからは内密のご相談なのですが、もし教会ランプの5倍の炎を出せる聖教石を譲っていただけるようでしたら、一つにつき金貨1枚をお支払いします。」
(聖教石は教会管理だから内緒ってことね)
(金貨一枚って、そもそもいくら?って話だけど)
横のアキラさんをチラッと見たが、足元をみて我関せずモードだった。
考え込んでいるタケルを見たレンブラントが、心配そうな顔で付け加える。
「金貨1枚では不足でしょうか? おいくらならお考えいただけますか?」
「いえ、お恥ずかしい話ですが、この国のお金の仕組みがわかっていないので、金貨1枚の価値がわかりませんでした。」
「そうでしたか、大変失礼いたしました。金貨1枚でしたら、小さな家は買うことが出来ます。荷馬車なら、2頭引きの馬車2台と馬4頭は買うこと可能です。普段の生活では金貨を使うことも見ることもまず無いと思います。」
(建物だけとしても1千万円単位ってことか・・・)
(せっかくだからお金の単位を教わらないと)
「他にも銀貨とかがあるんですよね?教えてもらえないですか?できれば、コインを何種類か見せていただけるとありがたいです。」
「わかりました。」
そういって、腰紐にぶら下がっている袋の中から、さらに巾着袋を取り出す。
袋から掴んだ硬貨をテーブルに並べて、色で分け始めた。
レンブラントの説明では、この世界の通貨は全て硬貨だった。
10進法で交換されており、10枚で上の価値の硬貨と交換される。
素材は金、銀、銅、鉄で作られており、銀・銅・鉄の硬貨には大と小の二区分がある。
つまり、硬貨の種類は7種類だ。
経済価値がアバウトだが・・日本円なら
金貨 1000万円
大銀貨 100万円
小銀貨 10万円
大銅貨 1万円
小銅貨 1千円
大鉄貨 100円
小鉄貨 10円
ぐらいになるはずだ。
最初の基準を金貨に置いたので、小さい通貨の誤差が大きいだろう。
通貨の説明を聞いてタケルは思わずにやけた。
(こっちの世界の方が金持ちになれるかも)
「普通の人は銀貨を見ることも無いんじゃないですか?」
「はい、商人以外で銀貨を使うことはまずありません。」
「ランプの聖教石を作ってみることは構いませんが、他の用途に使わないことを誓約いただく必要があります。」
「それはもう、アシーネ様に誓ってお約束します。ランプ以外には決して使いませんので。それで、おいくつ譲っていただけますか?」
(おいくつ?)
「たくさん必要なんでしょうか?」
「私どもでは8隻の船を常時走らせております。それと、船着場側にもランプが欲しいので、出来ましたら10個あるとありがたいのですが・・・」
(おぉー あっという間に億円のビジネスになったよ。)
0
あなたにおすすめの小説
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~
きよらかなこころ
ファンタジー
シンゴはある日、事故で死んだ。
どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。
転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。
弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる