それ行け!! 派遣勇者(候補)。33歳フリーターは魔法も恋も超一流?

初老の妄想

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勇者候補たちの想い

57.ボルケーノ鉱山再挑戦 前編 

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■ボルケーノ火山 洞窟入り口  ~第5次派遣2日目~

日の出とともに、洞窟の入り口まで転移できた。
前回放置した5本の聖教石は、そのまま地面で輝いている。

洞窟に入る前に、ダイスケへ風と水のブレスレットを渡しておく。

「ダイスケ、洞窟に入る前に、少し風魔法の練習をしようか? アキラさんも疲れない程度に岩を殴っといてください」

アキラさんは嬉しそうに、岩場の中へ入っていった。

「じゃあ、炎の魔法と同じように心の中で、風の神ウィン様へ祈りを捧げて、そのブレスレットの先から風が出るイメージを作ってみて」
「わかりました」

「イメージできたら、『ウィンド』と唱えて、あそこの岩に風をぶつけてみてよ」

ダイスケは頷いて、目を閉じ右手を岩のほうに上げた。

「ウィンド!」

-ブンッ-と言う鈍い音がしたが、岩から反応は無い。

「ダイスケはどんな風をイメージしたのかな?」
「こう、バーン!!と言う感じです」

(それでは、ウィン様には伝わら無いでしょう)

「例えば、台風のときに木が倒れるような風とか、車がひっくり返る風とかそう言う映像をもう一回イメージして、やってみてよ」

岩に向かって、もう一度構える。

「ウィンド!」

-バシーン!-

今度は岩から強い音が返って来た、イメージが出来たようでダイスケもご機嫌だ。
魔法剣までは時間がかかるだろうが、風魔法は充分に使いこなせるだろう。

暫く、自主練を続けた後に洞窟へ入ることにする。
今日は長くなっても良いように、食糧はパンと干し肉を多めに持ってきている。

「じゃあ、今日もアキラさん、俺、ダイスケの順でヨロシク」

洞窟に入る前に、聖教石ランプに火をつけて、槍の先にぶら下げる。
足元をアキラさん、頭上をタケルが警戒して、前進していく。

西條さんのいう話を信じて、今日は見つけた魔獣は全部やっつけることにしている。

最初は蝙蝠だった。
前回は出くわさなかったが、翼が赤くなって魔獣化しているやつらが5匹ほど飛んできた!

「ウィンド!」

タケルが天井に向けて風魔法を放つ。
跳ね返る風で蝙蝠が地面に叩きつけられた。
すかさず、アキラさんとダイスケが足と剣でトドメを刺す。

「熱ツッ!」

足で踏んでいたアキラさんから声が漏れる。
魔獣化した蝙蝠を踏んで火傷したようだ。

「大丈夫ですか?」

槍の柄でトドメを刺しながら、アキラさんに近寄る。
本人は大丈夫と言うが、念のため光の魔法で治療しておいた。

「アキラさんも短めの剣があった方が良いですね。俺も槍がランプ用になってるから、代わりが要るなぁ。ダイスケは大丈夫?」
「俺は、短めの剣を持ってきたんで大丈夫です」

「じゃあ、ちょっとパパスのところで借りてくるよ」
「洞窟出るんですか?」

「いや、ここから飛べるか試してみる。良く考えたら洞窟から飛べない理屈も無いような気がする」
「確かに」

少し広くなった場所まで移動して、5本の聖教石を地面に刺す。

「ジャンプ!」

あっという間に、パパスの小屋へ転移した。
もっと早く気がつくべきだった、前回の帰り時間は無駄だった。

パパスはタケルの話を聞くと、タケルにレイピアをアキラさん用には短めのサーベルを貸してくれた。
転移魔法で洞窟に戻ってきたが、5分もかかっていないだろう。

「この間の洞窟は失敗だね。転移できるなら、もっと奥まで行けたかもしれない」
「確かにそうですけど、俺も全然思いつきませんでしたから、仕方ないですよ」

アキラさんはあまり喜ばなかったが、腰にサーベルを刺して進み始める。

今度は炎スライムを見つけた。
まだ、天井にいる段階で水をぶつける。

「ウォーター!」

天井から水蒸気が舞い上がり、-ベタッ- と言う音ともにスライムが落ちる。
表面が白っぽく変色しているところを、アキラさんがサーベルで突き刺した。

炎スライムは乾いた泥団子のように割れた!
炎スライムをやっつけた。

進む都度、蝙蝠、炎スライム、ヤマアラシが交互にあるいは同時に現れる。
30回ぐらい戦って時計を見ると、洞窟に入ってから2時間経過して、9時を過ぎたところだ。

地面に座って3人で休憩することにした。
水を飲んでパンを少しかじる。
先は見えない、食べられるときに食べた方が良いだろう。

「ダイスケ、今度蝙蝠来たら、風魔法やってみてよ。蝙蝠じゃなくて天井に下から突風をぶつけるつもりで」
「OKです」

最後尾のダイスケにも頑張ってもらおう。

短い休憩を終えて再度進み始めると、すぐにチャンスが来た。

「ウィンド!」

ダイスケの風で5匹ぐらいの蝙蝠が地面に落ちる。
だが、風の威力が弱いせいで、すぐに飛び立ってしまった。
しとめたのは2匹だけだった。

このあたりは慣れだから、そのうち、もう少し強い風になるだろう。

その後も延々と戦って進んでいく、4回目の休憩を取ったときには15時になっていた。
もう、何回戦ったかも判らない。

「歩いて疲れたのもあるけど、飽きてきたよね」
二人も苦笑いしながら、同意してくれる。

この洞窟は全く分岐点がない、今のところ1本道だ。
かれこれ8時間歩いたと言うことは20km近く歩いたんじゃないだろうか?
時間はまだあるが、そろそろ潮時かもしれない。

「後1時間進んだら、もう出ようか?」
「そうっすネ。同じやつ何匹やってもキリがないですからね。大いのししでも・・・」

ダイスケがいい終わらないうちに、大きな足音共に黒い影が洞窟の向こうから突っ込んできた!

3人は荷物を置いたまま、ばらばらに壁際に飛び込む!
地面の荷物を蹴散らして、黒い影が通過して行った。

(ダイスケがフラグ立てるから)

「戻ってくるかも!」

今度は言い終わると同時に、地面を蹴る足音が聞こえる。

-ザッ、ザッ、ザッ、

タケル達が座っていた場所は幅が3メートルぐらいある広い場所だったが、影となって見える大いのししはその半分近くありそうだ。

タケルは槍を拾うか、水魔法で行くか躊躇した。
ダイスケは体をかわすつもりのようだ。

アキラさんは無造作に通路の真ん中に立った・・・ように見えた。

左足を半歩出して、突っ込んでくる大いのししに向かって、右ストレートを放つ!

-バチィーーィン!!

今回は音と映像がはっきりつながった。
拳にぶつかる寸前で、いのししの鼻の部分が顔の真ん中へ食い込んだ!
そのまま、拳が伸びたかのように、風がいのししの体を突き抜けて、イノシシの尻から肉片が飛び散った!!

風のイメージとパンチのタイミングが合っているからだろう。
風の拳を完全にコントロールできている。

「アキラさん、スゲェ!」

確かに凄い。
肉片となったイノシシに近寄って確認する。

顔は拳が当たったところ以外は、綺麗に毛皮が残っている。
尻の方に周ると、中から爆発したように肉が飛び散っているのが良くわかる。

「アキラさん、今回のは?」
「カウンターの右ストレート」

だそうです。

体長4メートルぐらいありそうなケモノの肉片を置き去りにし、荷物を掴んで再出発する。

(いまのが試練の終わりなら良いけど)

タケルの願いは神に・・・
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