それ行け!! 派遣勇者(候補)。33歳フリーターは魔法も恋も超一流?

初老の妄想

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勇者候補たちの想い

65.ダイスケの新しい刀

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■パパスの小屋    ~第6次派遣 1日目~

タケルはダイスケを連れて、朝一番にパパスの小屋へ転移してきた。
予定通りなら、ダイスケの刀が出来上がっているはずだ。

「おはよう、待ってたよ。ちゃんと出来てるぜ」

パパスは挨拶もそこそこに、ダイスケへ刀を渡してくれた。
鞘に入った刀は日本刀のように弧を描いて反り返っているようだ。

ダイスケは礼を言って、鞘から刀を抜く。

(綺麗だ!)

抜かれた刀身が、キラキラ光っている。
片歯の刃(やいば)は白く輝いていて、いかにも切れるというのが伝わってくる。

「せっかくだから、聖教石を入れて試してみて良いですか?」

「勿論だ。俺も見てみたいからな」

「柄頭(つかがしら)が外れるように細工してある。強く引けば外れる筈だ」

ダイスケが鞘に戻した剣の柄から、柄頭を引っ張り出した。
出した柄頭には聖教石が挟めるように細い鉄の棒が4本延びていた。

タケルは炎の聖教石を、柄頭にはめ込んで柄に戻した。
サイズもぴったりだ、中で動くことも無い。

「じゃあ、やろうか。ファイアーブレード!」

小屋を出たダイスケは、5メートルほど離れた木の前で鞘から刀を抜いた。

右足を半歩引いて正眼に構える。
数秒目を瞑ってから叫ぶ!

「ファイアーブレード!」

掛け声ともに刀身が炎で1メートル近く伸びた!

地を蹴って、ダイスケは前方へ振りかぶりながら飛び込む。

「リャァッ!」

掛け声と共に、袈裟切りに刀を斜めに振り下ろした!

炎の刃が更に伸びる!

-ブン!-バシュッ!-

空気を切る音と軽い音が連続して聞こえ、目の前の木が切った部分から横に倒れていく!

「おぉー、ダイスケ 良いじゃない!」

振り返ったダイスケは、自慢げに刀を眺めた。

「パパスさん、ありがとうございます。イメージ通りの重さと長さです。炎もイメージ通りでました」

「そうかい、俺が見てても良い魔法剣だったぜ。まぁ、魔力の方は石の力が凄いからだけどな」

「じゃあ、次は風の魔法剣も試さないとね」

タケルは、ダイスケの刀から柄頭を外して風の聖教石に取り替えた。

「風のほうは、まだ練習中なんですよ」

「良いって、何事もトライだから。しっかり、ウィン様に祈りを捧げてね」

頷いたダイスケが、木に向かって今度は右上段に構えている。

右足を少し引いてから、刀を振りかぶった。

「ウリャァ!」

掛け声と共に、刀身が煌きながら風を切る!

-ビュッ! ― バシーン!-

5メートル先の木が爆ぜた!

今度は切るところまで行かなかったようだ。
木の表面が斜めにえぐれたところで止まっている。

「やっぱり、風はまだ駄目みたいです」

「練習だね。俺が皇都に行ってる間にしっかり練習しといてよ。

「了解っす」

「パパスさん、本当にありがとうございました」

「いやぁ、いいってことよ。ロッドの台座も出来ているから渡しとくぜ。木が見つかって取り付け難いようだったら、持って来な。もちろん、自分で取付けても構わねぇ」

タケル達は新しいダイスケの刀とロッドの台座を手に入れて、スタートスへ戻ることにした。
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