72 / 183
勇者候補たちの想い
70.魔法デモ
しおりを挟む
■皇都セントレア
~第6次派遣2日目~
宿の前で待っていたのは、レンブラント商会の人だった。
「タケル様、突然押しかけ来て申し訳ございません。私はレンブラントの下で皇都の商いを任されているリムルと申します。こちらは、イースト商会のオーリン様です」
「こんばんは、リムルさん、オーリンさん。どうかしましたか?」
「はい、オーリン様からタケル様達が乗られた旅馬車の件で、問い合わせがありまして・・・」
「はじめまして、タケル様。いや、実は昨日もお会いしております。教会の前でうちの坊ちゃんを助けていただきまして、本当にありがとうございました。もう少しで命を落とすところでした」
(たしかに、見覚えがある)
「本来なら、その場でお礼を申し上げるところだったのですが、けが人を運ぶ段取りをしている間に、時機を逸してしまいまして、大変失礼申し上げました。その後で、色々と伝(つて)を頼って、タケル様達がレンブラントの手配した馬車に乗ったことがわかりましたので、ここまで追いかけてきた次第でございます」
「そうでしたか、それはわざわざご丁寧に」
「それで、私の主人-坊ちゃんの父上であるイースタン-が是非お礼にお食事をご一緒したいと申しておりまして、明日にでもお時間をいただけないでしょうか?」
(リムルの口ぶりではイースタンは大物だろう)
「ありがとうございます。ですが、明日は教会に行ってやることがあるので、終る時間がわからないのですよ」
「さようでございますか・・・、ですが、お時間はご都合に合わせますので、終わり次第と言うことでお願いできないでしょうか? 主人が是非にと申しておりますので」
「何時でも良いなら、喜んで。こちらは4名でも良いですか?」
「もちろんでございます。こちらに当家の地図と招待状をご用意しておりますので、是非ともよろしくお願い申し上げます」
(最初から断らせないつもりだったか)
(まあ、情報と味方は多い方が良いし、会いに行くか)
■皇都セントレア
~第6次派遣3日目~
翌朝の教会にはアキラさんとマリンダを連れて行くことにした。
ナカジーとダイスケは意気揚々と市内観光へ向かった。
昨日来ていたイースト商会は皇都で、いやドリーミアでも最も大きな商人だそうだ。
マリンダが言うには、皇都の外から入ってくるもの、出て行くものでイーストを通らないものはほとんど無いらしい。
この国で自由に動くためには、教会以外の力も利用した方が良いと考えていたタケルにとっては、会っておいて損の無い相手だろう。
皇都大教会は、この国の中で見た建物では、桁外れに大きかった。
中央の尖塔は10階相当の高さがあるだろう。
左右にも塔があるが、5・6階には届くと思う。
開かれた正面扉も隣の建物の2階ぐらいまである大きさだった。
中に入ると、吹き抜けの大きなホールで教会タペストリーが正面に吊るされている。
正面に向かって綺麗に並べられた長いすも、300以上はあると思う。
左奥にある部屋へ、マリンダが西條の紹介状を持って入っていった。
事務室になっていて、大司教に取り次いでくれるはずとのことだったが・・・
教会士と一緒に戻って来たマリンダは笑顔ではなかった。
あまり良い返事ではなかったようだ。
「2階の副司教のお部屋へ伺うようにとのことでした」
2階で会ったクルツと名乗る副司教は背の低い小動物のような男だった。
「それで、勇者殿はリーブス大司教にどのようなご用件でしょうか?」
「リーブスさんに教えていただきたい魔法があるので、お伺いしました」
「リーブス大司教ご本人に? ですか? 司教は初心者に魔法をお教えするお時間は無いと思いますが・・・」
「ええ、私が教わりたい魔法は教皇かリーブスさんにしか使えないと、サイオンさんが言っていましたので」
「・・・失礼ですが、勇者様はどの魔法をお使いになるのでしょうか?」
「魔法は、火、水、風、光・・・」
「いえいえ、知っている魔法を聞いているのではありません。お使いになる・・・」
「ええ、ですから私が使いこなしている魔法です。土魔法が良くわからないですけど、それ以外は何でも出来ますよ」
「・・そのような戯言は困ります。私ども教会魔法士でもそのように使えるものは教皇様か枢機卿以外にはおりません。ましてや、勇者様はドリーミアにお越しになって、まだ2月も経たぬと聞いております。いくらなんでも、ご冗談が・・・」
(この小役人には見せた方が早いな)
「じゃあ、魔法が使える広いところはありますか?」
小役人がタケル達を連れて行ったのは、教会の裏側から出たところにある広場のような場所だった。
建物から出る前に見た部屋に、様々な武具があるところを見ると武術と魔法の修練場なのだろう。
「なにか、ご要望はありますか?」
「お得意な魔法でけっこうですよ」
(じゃあ、出し惜しみせずにビビらすか)
「ファイア!」
「ウォーター!」
タケルは1メートルぐらいの火炎と水球を小役人の5メートル上に並べて浮かべた!
小役人の呆然とする顔を確認してからダメを押す。
「ウィンド!」
「ウィンド!」
火炎と水球に風が叩きつけられる!
-ブォッ- -バシィーン-
火は風に乗って伸び、水球は風で弾けた!
タケルの計算どおり、小役人はびしょ濡れになっている。
「他に何か見たいものはありますか?」
小役人は顔を濡らしたまま首を横に振った。
~第6次派遣2日目~
宿の前で待っていたのは、レンブラント商会の人だった。
「タケル様、突然押しかけ来て申し訳ございません。私はレンブラントの下で皇都の商いを任されているリムルと申します。こちらは、イースト商会のオーリン様です」
「こんばんは、リムルさん、オーリンさん。どうかしましたか?」
「はい、オーリン様からタケル様達が乗られた旅馬車の件で、問い合わせがありまして・・・」
「はじめまして、タケル様。いや、実は昨日もお会いしております。教会の前でうちの坊ちゃんを助けていただきまして、本当にありがとうございました。もう少しで命を落とすところでした」
(たしかに、見覚えがある)
「本来なら、その場でお礼を申し上げるところだったのですが、けが人を運ぶ段取りをしている間に、時機を逸してしまいまして、大変失礼申し上げました。その後で、色々と伝(つて)を頼って、タケル様達がレンブラントの手配した馬車に乗ったことがわかりましたので、ここまで追いかけてきた次第でございます」
「そうでしたか、それはわざわざご丁寧に」
「それで、私の主人-坊ちゃんの父上であるイースタン-が是非お礼にお食事をご一緒したいと申しておりまして、明日にでもお時間をいただけないでしょうか?」
(リムルの口ぶりではイースタンは大物だろう)
「ありがとうございます。ですが、明日は教会に行ってやることがあるので、終る時間がわからないのですよ」
「さようでございますか・・・、ですが、お時間はご都合に合わせますので、終わり次第と言うことでお願いできないでしょうか? 主人が是非にと申しておりますので」
「何時でも良いなら、喜んで。こちらは4名でも良いですか?」
「もちろんでございます。こちらに当家の地図と招待状をご用意しておりますので、是非ともよろしくお願い申し上げます」
(最初から断らせないつもりだったか)
(まあ、情報と味方は多い方が良いし、会いに行くか)
■皇都セントレア
~第6次派遣3日目~
翌朝の教会にはアキラさんとマリンダを連れて行くことにした。
ナカジーとダイスケは意気揚々と市内観光へ向かった。
昨日来ていたイースト商会は皇都で、いやドリーミアでも最も大きな商人だそうだ。
マリンダが言うには、皇都の外から入ってくるもの、出て行くものでイーストを通らないものはほとんど無いらしい。
この国で自由に動くためには、教会以外の力も利用した方が良いと考えていたタケルにとっては、会っておいて損の無い相手だろう。
皇都大教会は、この国の中で見た建物では、桁外れに大きかった。
中央の尖塔は10階相当の高さがあるだろう。
左右にも塔があるが、5・6階には届くと思う。
開かれた正面扉も隣の建物の2階ぐらいまである大きさだった。
中に入ると、吹き抜けの大きなホールで教会タペストリーが正面に吊るされている。
正面に向かって綺麗に並べられた長いすも、300以上はあると思う。
左奥にある部屋へ、マリンダが西條の紹介状を持って入っていった。
事務室になっていて、大司教に取り次いでくれるはずとのことだったが・・・
教会士と一緒に戻って来たマリンダは笑顔ではなかった。
あまり良い返事ではなかったようだ。
「2階の副司教のお部屋へ伺うようにとのことでした」
2階で会ったクルツと名乗る副司教は背の低い小動物のような男だった。
「それで、勇者殿はリーブス大司教にどのようなご用件でしょうか?」
「リーブスさんに教えていただきたい魔法があるので、お伺いしました」
「リーブス大司教ご本人に? ですか? 司教は初心者に魔法をお教えするお時間は無いと思いますが・・・」
「ええ、私が教わりたい魔法は教皇かリーブスさんにしか使えないと、サイオンさんが言っていましたので」
「・・・失礼ですが、勇者様はどの魔法をお使いになるのでしょうか?」
「魔法は、火、水、風、光・・・」
「いえいえ、知っている魔法を聞いているのではありません。お使いになる・・・」
「ええ、ですから私が使いこなしている魔法です。土魔法が良くわからないですけど、それ以外は何でも出来ますよ」
「・・そのような戯言は困ります。私ども教会魔法士でもそのように使えるものは教皇様か枢機卿以外にはおりません。ましてや、勇者様はドリーミアにお越しになって、まだ2月も経たぬと聞いております。いくらなんでも、ご冗談が・・・」
(この小役人には見せた方が早いな)
「じゃあ、魔法が使える広いところはありますか?」
小役人がタケル達を連れて行ったのは、教会の裏側から出たところにある広場のような場所だった。
建物から出る前に見た部屋に、様々な武具があるところを見ると武術と魔法の修練場なのだろう。
「なにか、ご要望はありますか?」
「お得意な魔法でけっこうですよ」
(じゃあ、出し惜しみせずにビビらすか)
「ファイア!」
「ウォーター!」
タケルは1メートルぐらいの火炎と水球を小役人の5メートル上に並べて浮かべた!
小役人の呆然とする顔を確認してからダメを押す。
「ウィンド!」
「ウィンド!」
火炎と水球に風が叩きつけられる!
-ブォッ- -バシィーン-
火は風に乗って伸び、水球は風で弾けた!
タケルの計算どおり、小役人はびしょ濡れになっている。
「他に何か見たいものはありますか?」
小役人は顔を濡らしたまま首を横に振った。
0
あなたにおすすめの小説
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~
きよらかなこころ
ファンタジー
シンゴはある日、事故で死んだ。
どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。
転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。
弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる