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派遣勇者の進む道
104.風魔法の本質
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■東方州都ゲイル 東方大教会
「タケルが風魔法をどんな感じで使ってるのか、とりあえず見せてよ」
風魔法の使い方を教えてくれるといったバトラーはタケルの風魔法を確認したいようだ。
「良いですよ」
タケルはファイアーランスで吹っ飛ばした木の残骸をめがけて右手を伸ばした。
「ウィンド!」
掛け声と共に右手から風が迸り、木の残骸が弾け飛んだ!
「なるほどねぇ。普通には使えるってことね。でも、それだけじゃつまんないわね。タケルはそもそも『風』ってなんだと思ってるの?」
-いきなり哲学的な? いや科学的な質問なんだろうか?
「風ですか? 風は・・・空気が動くってことだと思ってますけど」
「そうよね、私達の周りにある見えないものが動いてるってことよ。だったら、別に自分の体から風を送ってあげる必要は無いでしょ? 殆どの魔法士がタケルと同じように自分の体から風を起こすことしか考えないけど、それじゃあ、つまんないのよ」
バトラーは、タケルと同じように右手を伸ばして軽く左に振った。
タケルが弾き飛ばした木片が、手のひらの動きと同時に左へ吹っ飛んで行く!
同じように右へ、また左へ・・・往復びんたをするように手を振ると風で木が左右に弾き飛ばされていく!
-そうか、風は自分の場所からじゃなくても起こせるんだ!
「バトラーさん、凄いですよ!」
「当たり前じゃない、私は風の大司教なのよ。それにこんなので驚いてちゃダメよ!」
バトラーは右手を下から上に突き上げた。
地面に転がっていた木片がはじける音とともに空高く舞い上がった!
-地面からも風が出せるのか!
だが、まだ終わりではなかった。バトラーは頭上にかざした手を回し出したのだ。
飛んでいた木は、落ちてくる途中でつむじ風、いや小さな竜巻に取り込まれてグルグルと空中で回りだした!
そのうち竜巻の回転が速くなり、砂塵や落ちていた木を巻き込んでどんどん細く高く伸びて行く。
だが、バトラーが右手を下ろした途端に竜巻は消えて、空からいろいろな物が降ってきた。
-凄い、風の魔法はここまで出来るのか!
「どう? 風の魔法は空気を自在に扱う魔法よ。わかりやすいやり方でやって見せたけど、タケルなら他にも使い方を思いつくはずよ。面白い使い方を思いついたら、すぐに私に言いなさいよね」
-確かに自在だ。これならもっと色々出来そうだ!
「ええ、バトラーさん。色々考えてやってみます。本当にありがとうございました」
「そう、タケルの役に立てば嬉しいわ。それで、石の件だけどさ・・・」
「ああ、聖教石ですね。今日は持って来てないんですよ。次に来た時に持ってきます」
「うん、それで良いんだけどさ。小さめで赤い綺麗なヤツにしてよ。」
バトラーは1cmぐらいの大きさを指で示している。
「ええ、いいですけど、そんなに小さくて良いのですか?力が少し弱くなりますよ」
「小さくてもいいの。その代わりできるだけ綺麗なのにしてね。タケルが作るなら大丈夫だと思うけど、見たことないぐらい赤くて透き通ったのでお願いするわ」
-理由は聞かない方がいいだろう、今日は世話になったし頑張って作ろう。
「わかりました、今度来るとき一番綺麗なのを必ず持ってきます」
聖教石なら安い物だ、と言うかタダだ。バトラーから教えてもらった魔法の使い方は俺達の戦い方を更にレベルアップさせるのは確実だろう。
タケルは既にいくつもの使い方をイメージし始めていた。
■東方州都 ゲイル
教会を一旦出たタケル達はコーヘイを連れてゲイルの町へ出た。
ゲイルの町は西方州都のムーアを一回り小さくしたぐらいの大きさだろう。
「タケルさん、何処に行くんですか?」
「ああ、今日の夜はコーヘイとマユミの歓迎会をやるから、酒と食材を仕入れとこうと思って」
「酒ですか・・・」
「あれ?コーヘイは飲まない人だっけ?」
「いえ、好きなほうですけど、教会にいるとあんまり飲めないと言うか、頼み難いと言うか・・・。勇者とはいえ、食べさせてもらってる立場じゃないですか」
「そうだよね、確かにその通りだけど。俺達はお金持ちだから教会に頼まなくても酒ぐらいは買えるんだ」
「お金はどうしたんですか?」
タケルは聖教石を加工して売った事をコーヘイに説明した。
「聖教石って加工できるんですか?俺も最初にもらってますけど・・・、それに売るって・・・誰から教わったんですか?」
「誰かが教えてくれたわけじゃないよ、成り行きだね。でも、これも神の恩恵の一つだと思ってる」
「神の恩恵?」
「そう、俺はこの世界の考え方を結構信じているんだよ。全ては神の恩恵であり、試練であるとね。だから、聖教石が見つかったり、加工できて高く売れたりしているのは、俺達が魔竜討伐に向けて真剣に取り組んでいることに対する神の恩恵だと・・・、そうじゃないとこんなに上手くいかないからね。俺達はこの世界のあらゆるものを利用して魔竜を倒しに行くのが仕事だからさ」
だが、先日の洞窟では大きな痛手を受けている。
恩恵だけでは魔竜討伐はできないのだろう、神は試練によってタケル達の力を引き上げようとしているはずだ。
「やっぱ、タケルさんは凄いっすヨ。そこまで真剣に考えているのは・・・、俺にはそんな発想は全くなかったですからね。真剣に魔竜を倒すつもりでしたけど、与えられた環境でどれだけ剣が強くなるかしか考えてなかったですから・・・、金を稼ぐとか・・・、でも、正しい道だと思いますよ。この世界のあらゆるものを使って勝ちに行く。いいじゃないですか!俺ももう一度、やる気出てきました!」
「そう? それはすばらしい、では今晩の宴会部長はコーヘイにお願いしよう。だけど、一つだけ注意してね」
「何ですか?」
「今のスタートスはハーレムになっているから、勝手に手を出しちゃダメだからね」
「え!? どう言う意味すか?」
タケルはコーヘイに注意しながらも、むしろ自分自身に不安を感じていた。
最近、マリンダとゆっくり話せてないから、今回の遠征中に一度話をしたい。
しかし、一線を越えない範囲で、プラトニックに・・・大丈夫かな?
「タケルが風魔法をどんな感じで使ってるのか、とりあえず見せてよ」
風魔法の使い方を教えてくれるといったバトラーはタケルの風魔法を確認したいようだ。
「良いですよ」
タケルはファイアーランスで吹っ飛ばした木の残骸をめがけて右手を伸ばした。
「ウィンド!」
掛け声と共に右手から風が迸り、木の残骸が弾け飛んだ!
「なるほどねぇ。普通には使えるってことね。でも、それだけじゃつまんないわね。タケルはそもそも『風』ってなんだと思ってるの?」
-いきなり哲学的な? いや科学的な質問なんだろうか?
「風ですか? 風は・・・空気が動くってことだと思ってますけど」
「そうよね、私達の周りにある見えないものが動いてるってことよ。だったら、別に自分の体から風を送ってあげる必要は無いでしょ? 殆どの魔法士がタケルと同じように自分の体から風を起こすことしか考えないけど、それじゃあ、つまんないのよ」
バトラーは、タケルと同じように右手を伸ばして軽く左に振った。
タケルが弾き飛ばした木片が、手のひらの動きと同時に左へ吹っ飛んで行く!
同じように右へ、また左へ・・・往復びんたをするように手を振ると風で木が左右に弾き飛ばされていく!
-そうか、風は自分の場所からじゃなくても起こせるんだ!
「バトラーさん、凄いですよ!」
「当たり前じゃない、私は風の大司教なのよ。それにこんなので驚いてちゃダメよ!」
バトラーは右手を下から上に突き上げた。
地面に転がっていた木片がはじける音とともに空高く舞い上がった!
-地面からも風が出せるのか!
だが、まだ終わりではなかった。バトラーは頭上にかざした手を回し出したのだ。
飛んでいた木は、落ちてくる途中でつむじ風、いや小さな竜巻に取り込まれてグルグルと空中で回りだした!
そのうち竜巻の回転が速くなり、砂塵や落ちていた木を巻き込んでどんどん細く高く伸びて行く。
だが、バトラーが右手を下ろした途端に竜巻は消えて、空からいろいろな物が降ってきた。
-凄い、風の魔法はここまで出来るのか!
「どう? 風の魔法は空気を自在に扱う魔法よ。わかりやすいやり方でやって見せたけど、タケルなら他にも使い方を思いつくはずよ。面白い使い方を思いついたら、すぐに私に言いなさいよね」
-確かに自在だ。これならもっと色々出来そうだ!
「ええ、バトラーさん。色々考えてやってみます。本当にありがとうございました」
「そう、タケルの役に立てば嬉しいわ。それで、石の件だけどさ・・・」
「ああ、聖教石ですね。今日は持って来てないんですよ。次に来た時に持ってきます」
「うん、それで良いんだけどさ。小さめで赤い綺麗なヤツにしてよ。」
バトラーは1cmぐらいの大きさを指で示している。
「ええ、いいですけど、そんなに小さくて良いのですか?力が少し弱くなりますよ」
「小さくてもいいの。その代わりできるだけ綺麗なのにしてね。タケルが作るなら大丈夫だと思うけど、見たことないぐらい赤くて透き通ったのでお願いするわ」
-理由は聞かない方がいいだろう、今日は世話になったし頑張って作ろう。
「わかりました、今度来るとき一番綺麗なのを必ず持ってきます」
聖教石なら安い物だ、と言うかタダだ。バトラーから教えてもらった魔法の使い方は俺達の戦い方を更にレベルアップさせるのは確実だろう。
タケルは既にいくつもの使い方をイメージし始めていた。
■東方州都 ゲイル
教会を一旦出たタケル達はコーヘイを連れてゲイルの町へ出た。
ゲイルの町は西方州都のムーアを一回り小さくしたぐらいの大きさだろう。
「タケルさん、何処に行くんですか?」
「ああ、今日の夜はコーヘイとマユミの歓迎会をやるから、酒と食材を仕入れとこうと思って」
「酒ですか・・・」
「あれ?コーヘイは飲まない人だっけ?」
「いえ、好きなほうですけど、教会にいるとあんまり飲めないと言うか、頼み難いと言うか・・・。勇者とはいえ、食べさせてもらってる立場じゃないですか」
「そうだよね、確かにその通りだけど。俺達はお金持ちだから教会に頼まなくても酒ぐらいは買えるんだ」
「お金はどうしたんですか?」
タケルは聖教石を加工して売った事をコーヘイに説明した。
「聖教石って加工できるんですか?俺も最初にもらってますけど・・・、それに売るって・・・誰から教わったんですか?」
「誰かが教えてくれたわけじゃないよ、成り行きだね。でも、これも神の恩恵の一つだと思ってる」
「神の恩恵?」
「そう、俺はこの世界の考え方を結構信じているんだよ。全ては神の恩恵であり、試練であるとね。だから、聖教石が見つかったり、加工できて高く売れたりしているのは、俺達が魔竜討伐に向けて真剣に取り組んでいることに対する神の恩恵だと・・・、そうじゃないとこんなに上手くいかないからね。俺達はこの世界のあらゆるものを利用して魔竜を倒しに行くのが仕事だからさ」
だが、先日の洞窟では大きな痛手を受けている。
恩恵だけでは魔竜討伐はできないのだろう、神は試練によってタケル達の力を引き上げようとしているはずだ。
「やっぱ、タケルさんは凄いっすヨ。そこまで真剣に考えているのは・・・、俺にはそんな発想は全くなかったですからね。真剣に魔竜を倒すつもりでしたけど、与えられた環境でどれだけ剣が強くなるかしか考えてなかったですから・・・、金を稼ぐとか・・・、でも、正しい道だと思いますよ。この世界のあらゆるものを使って勝ちに行く。いいじゃないですか!俺ももう一度、やる気出てきました!」
「そう? それはすばらしい、では今晩の宴会部長はコーヘイにお願いしよう。だけど、一つだけ注意してね」
「何ですか?」
「今のスタートスはハーレムになっているから、勝手に手を出しちゃダメだからね」
「え!? どう言う意味すか?」
タケルはコーヘイに注意しながらも、むしろ自分自身に不安を感じていた。
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しかし、一線を越えない範囲で、プラトニックに・・・大丈夫かな?
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