月の沙漠の物語〜ある少女の話〜

榊咲

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②街までの道程

⑴オアシスを出発して

 オアシスで休憩を取った商隊キャラバン沙漠さばくを縦一列になってラクダに荷物を載せて、進みます。オアシスで次のオアシスか街に着くまで保つ様に補給した水をラクダに載せています。
 沙漠さばくでは水分補給は生命線になる為、オアシスや街で十分に補給するのです。

 ラクダで沙漠さばくを進んでいると、ユーリが父親に話しかけます。

「お父さん、カイと話をしてもいい?」
「なんだ、ユーリ。カイが気になるのか?」
「う~ん。ちょっと違うかな」

「違うのか?……どんな事をカイから聞きたいんだ。ユーリ」
「ええとね。カイは記憶が無いんでしょう?」
「ああ、そうだ。俺とダイが確認した」

「でもダイおじさんが言ってたけど、外国の言葉が読めるって言ってたよ。違う?」
「チィ、ダイのヤツ……。そうだな。それも確認した」
「私、外国の言葉を覚えたいの、お父さん」

「だが……。俺が見たところ、何故、読めるのかわからない様だったぞ」
「それでも、覚えたい!!」
「ハァ、わかった。カイに頼んでみよう」

 ヒロトは突然ユーリがカイに外国の言葉を教えて貰いたいと言って来たので、驚いてしまいました。普段のユーリは、勉強はあまり好きでは無い様だったからです。初めはユーリがカイに憧れてを抱いているかと思ったヒロトですが、ユーリの顔を見た時に、真剣の眼差しだったので、許可する事にしました。

「ユーリ、カイに頼むのは次のオアシスに着いてからだからな」
「お父さん、わかってるよ。……でもカイ、街に着くまでに記憶が戻るといいね」
「そうだな。そう願うよ」

 この商隊キャラバンはラクダの本体の前後左右に護衛隊が就いています。前方には護衛のリーダーであるダイが付き、後方は副リーダーのトイが付いています。そして左右に護衛隊が付いて、賊や野生動物から商隊キャラバンを守っています。

 ラクダに乗りながら話をしているヒロトとユーリは、本体の前方付近にいてカイは使用人達と一緒に本体の後方付近にいます。その為にカイと話をするには、オアシスに着いてからの方が都合が良いのです。

 前日までいたオアシスからしばらく歩いていると、太陽が中天にかかりました。しかし、先頭にいるダイからは、次のオアシスの話が聞こえて来ません。昼食の時間帯ですが、オアシスが見えてこなければ、休憩は出来ない為にそのまま歩き続ける事になりました。

「ユーリ、少しダイのところに行って来る。ここにいるんだぞ」
「わかったよ。お父さん。でもどうして?」
「もうそろそろオアシスに着いてもいい頃なんだがな……」

「そうなの?……ねぇオリガ、お父さんの言ってる事が正しいの?」
「ユーリ様、そうですよ」
「ユイトすまないが頼むぞ」
「はいお任せください。ヒロト様」

 ヒロトは執事のユイトにユーリの事を頼むと、ダイの側まで駆けていきます。後ろから来るラクダのひづめの音に気付いたダイは後ろを振り返りました。

「お~い、ダイ」
「何かあったか?ヒロト」
「いや、もう太陽が中天にあるのに、オアシスが見えてこない様だからな。ダイに聞きに来た」

「なんだそんな事かよ。もうそろそろ見えて来るぞ。……ああ、見えて来た」
「ああ、そうだな」

 ダイが指差す方に目を向けると、沙漠さばくに緑の木が見えてきました。

「悪かったな、ダイ。俺は戻るよ」
「ああ。……ヒロト、皆んなに次のオアシスが見えて来たと伝えて貰えるか?」
「了解した。あと少しだ、気を抜くなよ、ダイ」

「ふん、オレが気を抜いた事があったか?」
「まあ、ないな。だが絶対はないからな」
「ああそうだな」

 ヒロトはダイに軽口を聞いて、緊張感を少し抜かせてから、次のオアシスにもうじき着く事を皆に伝えに向かいました。
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