月の沙漠の物語〜ある少女の話〜

榊咲

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②街までの道程

⑵次のオアシスまでの道のり

 ヒロトは先頭のダイのところから、ユーリのいる場所に戻る時に商隊キャラバンの皆に次のオアシスが近い事を伝えながら戻りました。

「ユーリ、もうすぐ次のオアシスにつくぞ」
「そうなの?まだ見えないけど……」
「ああ、ダイと一緒に見た!」

「じゃぁ、お父さん。……セイに聞いてくれるよねぇ?」
「ああ、聞いてやるよ……(チクショウ、俺が教えるっていってるのによぉ~)」
「なに?お父さん」
「いや、何でもないよ」

 ヒロトからしたら、自分の可愛い娘に男を近付けたくなくて、色々と理由を付けてユーリを諦めさせようとしていたのに、ユーリは全然気付いてくれない。流石に、これ以上反対すれば、娘に嫌われると思い、渋々、セイとの勉強を認めたのです。あとはセイが断ってくれるのを祈るばかりです。

「お父さん、……オアシスの木々が見えて来たよ~」
「お~、そうだな。そろそろ、ダイが来ると思うが……」

 ヒロトはユーリの言葉で思い耽っていた自分の思考を止めて、商隊キャラバンの先頭の方に向けました。しばらくすると、ラクダが移動する時に発生する音が聞こえて来ました。

「お~い、オアシスに到着するぞ~」
「ああ、わかった!!……ダイ、頼むぞ!」
「ああ、任せとけ!……ヒロト、先行するぞ」

「そうだな、頼む!」
「おう、任された!!……トイ、頼んだぞ」
「ああ、わかった。ダイも気を付けろよ」

 ダイは自分の部下のトイに商隊キャラバンの事を頼むと、オアシスに向かいました。オアシスに盗賊がいた場合に備えて、部下の護衛を数名連れてオアシスを偵察しに行くのです。護衛対象の商隊キャラバンを守る為に必要な事なのです。

「よし、おいお前ら今からオアシスに行くぞ」
「「「へい、リーダー」」」

 ダイの号令で数名が集まります。いつもオアシスに近付く時に、偵察に同行するメンバーがダイの周りに来ました。それをみたダイはラクダを走らせ、オアシスに向かいます。

「よし、お前ら、オアシスの周りを警戒しろよ!」
「「「へい」」」
「う~ん、今回は異常無しっと!……どうだ、盗賊どもはいたか~」

「異常無しっす!」
「こっちも、異常無しっすよ!」
「そうか!……じゃぁ、ここで商隊キャラバンが着くのを待てよ!……俺はヒロトに伝えて来る」
「「「へい」」ユーリお嬢さんにも伝えてくだせぇ」

 ダイは偵察に一緒に来た部下をオアシスに置いて、商隊キャラバンにオアシスが安全である事を知らせる為に向かいます。部下がユーリの事を言っていた様に思ったが、聞き直す事なくラクダを走らせ、商隊キャラバンに合流します。

「トイ!!オアシスは安全だったぞ」
「そうですか。では私は戻りますから、ヒロトに伝えて下さい」
「ああ、わかった。先頭を頼むぜ!」

「ダイ、ご苦労様。どうだった?」
「ああ、盗賊どもは居なかったぜ。今、部下が見張ってる」
「そうか、よかった。今のところ順調に進んでいるな!」

「ああ。だが、これからどうする?」
「何のことだ?」
「ヒロト、わかってるだろう!……セイのことだ!」

「……セイか?取り敢えず、次の街まで連れて行くしかないだろうが!こんな沙漠のど真ん中に置いて行くなんて、非人道的なこと出来ねぇだろう?」
「そうだな」
「それになぁ、忌々しい事に、ユーリがセイの事、気に入ってんだよ!」

「そりゃまた……お父さんはツライなぁ~」
「はぁ~。……まあな、ユーリはセイの語学力を買ってるんだよ」
「ほぉ~。なんだ、ユーリは語学に興味を持ったのか?」

「ああ、クソォ。俺だって、ダイだって教えてやれるのによぉ~。セイがいいんだと」
「クククク、そりゃ父親よりセイの方が女の子ならいいだろうな」
「……うるせぇ~、なんとでも言え……」

 ヒロトはダイに揶揄われて、ヘソを曲げた様に苦笑をしながら、ラクダを歩かせています。ダイもそれに合わせて、歩かせているのですが、ヒロトの愚痴が酷くなってきたので、話を変える事にしました。
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