【完結】僕はサム

榊咲

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【本編】

③ご主人とお散歩

 ご主人が病院から帰ってきてからお外を散歩する事になったんだ。歩く練習なんだって。最初のうちは家の回りをテクテク歩いてたんだよね。その内、家の前にある農道を歩いて田んぼやハウスがある方に行くようになったよ。

 田んぼはね、麦やお米、時には大豆が植えてあるの。ハウスはお花が植えてあるよ。僕がハウスの中に入ろうとすると「サム、入っちゃダメだよ」って怒られるんだよ。それを無視して入ろうとすると首の紐を引っ張られるんだ。すご~く痛い。だから『ニャ~ンニャ~ン(イタイ、イタイ)』と抗議するんだ。そうすると「ゴメン、ゴメン」ってご主人が誤ってくれるけど、なんだかモヤモヤするんだ。

 いいじゃんか、ハウスに入ったってと思うけだ、よく見るとハウス、すっごく広くて大きいの。ここで迷子になったら家に帰れるかなと思った。ご主人の言う事は聞いておかないとね。

 それからね、お散歩で、お友達が出来たんだよ!お散歩仲間のアモちゃん。本当の名前は【アーモンド】と言うんだって。お母さんが【クルミ】で一緒に住んでる子が【ナッツ】なんだって。飼い主さんは【アモ】、(ナツ】、『クル】って呼んでるよ。アモちゃんはちょうど僕と同じくらいの大きさの《犬》なんだけど、すっごくフレンドリーなんだ。初めて会った時も僕に走って来てくれて『キュンキュン(こんにちは)』って言ってくれたの。

 でも最初、僕はアモの突撃みたいな行動にビックリしてあいさつ出来なかったんだ。その後はお互いの匂いを嗅いだりして友好を繋いで、会えば『キュンキュン(こんにちは)』『ニャアンニャアン(こんにちは)』ってあいさつする中になったよ。近くに友達がいるのっていいよね。

 あと二人《犬》の友達がいるんだよね。一人目は飼い主さんの家で猫を飼っていて猫に慣れてる人なんだ。名前聞いたけど忘れちゃった!でもね、すごく優しいの。僕が『ニャアン(おはよう)』て言うとそばに来てフンフンと匂いを嗅ぐとすぐに飼い主さんの側に戻っちゃうの。

 それに飼い主さんが言ってたけど、いつもは僕みたいに猫の側に行かないんだって。僕がその人を見つけると側に走って行くことにもビックリして、驚いていたみたい。家で一緒に飼ってる猫は慣れてるけど、すぐ側までは行かないんだって。
 なんでだろう?こんなに優しいのにね。

 もう一人は僕と同じくらいの大きさの人。僕の散歩の時間とその人の散歩の時間が違うのか、なかなか会えないんだ。でも会えると側に来てくれるんだよ。こちらの人はお姉さんなの。この人はちょっとせっかちかな。飼い主さんが紐をいつも引っ張ってる感じなんだよね。首が痛くないのかな?と思うけど聞けない。だって会うとあいさつしたら、すぐに飼い主さんに早く早くって、すぐに散歩コースに戻ろうとするから。

 でも散歩で出来たお友達はみんな優しいから好きなんだ。雨の日は会えないからキライ。家の中でイジイジと寝て過ごしてるんだ。雨が止んだら散歩に行こうってご主人にねだるの。そしたら、お友達に会える時間になるとご主人が「サム、散歩に行くよ」って呼んでくれるんだよ。『ニャアンニャアン(今行くよ)』って返事をして行くの。

 でも寝てる時に呼ばれるとすぐに返事も、出ていく事も出来ずに、ご主人が痺れを切らして迎えに来たくれるけど、シッポを触るのはやめて欲しいな。なんだか触られるとムズムズしてイヤなんだよね。
 その辺り、分かっていてやってるらしいんだよね。本当にご主人はいじめっ子だよ。

感想 3

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