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〈番外編〉
ブチとミケ〜その前〜
ブチとミケがその話を聞いたのは、年末が押し迫ろうとしていたある冬の日だった。ブチは弟の事なので、知っていた様だが、ミケは初めて聞いたので、ビックリしてしまった。
「ねぇブチ。ちょっと聞いた話なんだけど、本当なの?」
「はぁ、何が?」
「ちょっと、ちゃんと聞いてよ!……サムちゃんが《人の国》に養子に行くって本当なの?」
ミケが真剣に聞いているのに、ブチが話半分で聴いているのが気に入らなくて、ミケは怒った様に声を荒げて聞いてしまった。それぐらい、衝撃を受けたのです。
「うん、本当だよ」
「ちょっとブチ。何でそんなに冷静でいられるのさ!!」
「だって、仕方ないだろう!サムが一生懸命考えて決めたんだからさぁ!」
「……そうなんだね。ごめんブチ」
「そうさ。俺だって、相談された時、反対したさ!」
「だってブチ、僕には何も話してくれなかったから……」
「ああ、そうだったな。ゴメンな、ミケ」
「イヤ、相談されても、僕じゃぁ、何も出来なかただろうしねぇ……」
「……でも、相談するべきだったよ。ミケもサムの事は可愛がってくれてたんだからさ」
ミケが落ち込んだ声でブチに謝ってくるのを聞いて、ブチも『ハッと』して、ミケもサムの事を心配してくれてるんだと思いました。実家にいる時はミケもニセイとサムを可愛がってくれていた事を思い出したからです。
それでもブチは家のゴタゴタをミケに話す事は躊躇していました。特に慣れない修行中の事です。自分だけの事で精一杯の所に、サムの事を話すのは、ミケに要らない心配事を増やすと思っていたからです。でも今の剣幕を見てしまうと、早めに話せばよかったと思ってしまいました。
「本当にゴメン、ミケ。お前もサムの事は兄弟のように思ってくれてたのに……」
「もういいよ、ブチ。それでサムちゃんはいつ《人の国》に行くんだ?」
「それがなぁ、年末なんだ」
「え、そんなに早く?」
「ああ、そうなんだ。それで、サムが《人の国》に行く前に俺も家に帰ろうと思ってるんだ」
「そうか。……ブチ、修行はどうするんだ?」
「修行か……。家に帰ってみないと分からないなぁ……」
「出来たら、まだ一緒にお前と修行をしたいよ、ブチ」
「俺もミケと一緒に修行をしたいと思ってるが、何とも言えないなぁ……」
「どうしてだ?ブチ」
「それがなぁ、妹のチビがサムにベッタリで、アゴ母さんが手を焼いてるらしいんだよ」
「そういやぁ、妹がいたなぁ。その子がか?」
「そうなんだ。ニセイが遊びに連れて行ったりしてるみたいなんだが、サムの姿が見えないと泣き喚いて大変な事になるらしいんだ。もうホトホト、アゴ母さんが参っちゃってるっぽいんだ」
「あの肝っ玉母さんのアゴさんがか?……それは凄いなぁ~」
「そうなんだよ。もう、ニセイではチビを制御出来ないみたいだ。……ハァ~、困ったよ」
「ニセイちゃんでも、アゴさんでもダメってことか。……それは困ったなぁ。それにしても、どうしてチビちゃんは、そんなになっちゃったんだ?」
「それがなぁ、サムが《人の国》に行って帰って来られないって聞いたら、なっちゃったみたいだ」
「あれ、チビちゃんはそんなにサムちゃんに、懐いてたっけ?」
「ああ、最近はサムに付いて回ってたって、アゴ母さんが言ってたよ」
「そんな状態でサムちゃんが居なくなるって、聞いちゃったのか……」
「そうなんだ。はぁ~、参った」
「じゃぁ、僕もサムちゃんに会いに行こうかなぁ」
「はぁ?……ミケ、何考えてるんだよ!」
「イヤ~、僕ってさぁ、自分で言うのも何だけどさぁ、サムちゃんに似てると思うわけよ!」
「だから何だって言うんだよ!」
「ほらぁ、チビちゃんはサムちゃんにベッタリなんだろう?」
「……ああ、そうか!!チビの目を欺くのか」
「そうそう。そうしておいて、落ち着くのを待ったらどうだ?」
「でもなぁ。そうするとミケに皺寄せが……」
「何とかなるって。大丈夫だよ。それに僕もサムちゃんに会いたいしね」
「いいのか、ミケ。……恩にきるよ。ありがとう。……アゴ母さんに連絡してみるよ」
ブチはミケの提案をすぐにアゴ母さんに連絡しました。最初はアゴ母さんもブチの様に、ミケに悪いからと断っていたものの、チビの行動がエスカレートしてきた為に、ブチにミケの提案を受け入れると連絡してきました。
そして年末前にブチと一緒にミケも修行先から帰って来たのでした。このサプライズにサムは大層喜んだのでした。
「ねぇブチ。ちょっと聞いた話なんだけど、本当なの?」
「はぁ、何が?」
「ちょっと、ちゃんと聞いてよ!……サムちゃんが《人の国》に養子に行くって本当なの?」
ミケが真剣に聞いているのに、ブチが話半分で聴いているのが気に入らなくて、ミケは怒った様に声を荒げて聞いてしまった。それぐらい、衝撃を受けたのです。
「うん、本当だよ」
「ちょっとブチ。何でそんなに冷静でいられるのさ!!」
「だって、仕方ないだろう!サムが一生懸命考えて決めたんだからさぁ!」
「……そうなんだね。ごめんブチ」
「そうさ。俺だって、相談された時、反対したさ!」
「だってブチ、僕には何も話してくれなかったから……」
「ああ、そうだったな。ゴメンな、ミケ」
「イヤ、相談されても、僕じゃぁ、何も出来なかただろうしねぇ……」
「……でも、相談するべきだったよ。ミケもサムの事は可愛がってくれてたんだからさ」
ミケが落ち込んだ声でブチに謝ってくるのを聞いて、ブチも『ハッと』して、ミケもサムの事を心配してくれてるんだと思いました。実家にいる時はミケもニセイとサムを可愛がってくれていた事を思い出したからです。
それでもブチは家のゴタゴタをミケに話す事は躊躇していました。特に慣れない修行中の事です。自分だけの事で精一杯の所に、サムの事を話すのは、ミケに要らない心配事を増やすと思っていたからです。でも今の剣幕を見てしまうと、早めに話せばよかったと思ってしまいました。
「本当にゴメン、ミケ。お前もサムの事は兄弟のように思ってくれてたのに……」
「もういいよ、ブチ。それでサムちゃんはいつ《人の国》に行くんだ?」
「それがなぁ、年末なんだ」
「え、そんなに早く?」
「ああ、そうなんだ。それで、サムが《人の国》に行く前に俺も家に帰ろうと思ってるんだ」
「そうか。……ブチ、修行はどうするんだ?」
「修行か……。家に帰ってみないと分からないなぁ……」
「出来たら、まだ一緒にお前と修行をしたいよ、ブチ」
「俺もミケと一緒に修行をしたいと思ってるが、何とも言えないなぁ……」
「どうしてだ?ブチ」
「それがなぁ、妹のチビがサムにベッタリで、アゴ母さんが手を焼いてるらしいんだよ」
「そういやぁ、妹がいたなぁ。その子がか?」
「そうなんだ。ニセイが遊びに連れて行ったりしてるみたいなんだが、サムの姿が見えないと泣き喚いて大変な事になるらしいんだ。もうホトホト、アゴ母さんが参っちゃってるっぽいんだ」
「あの肝っ玉母さんのアゴさんがか?……それは凄いなぁ~」
「そうなんだよ。もう、ニセイではチビを制御出来ないみたいだ。……ハァ~、困ったよ」
「ニセイちゃんでも、アゴさんでもダメってことか。……それは困ったなぁ。それにしても、どうしてチビちゃんは、そんなになっちゃったんだ?」
「それがなぁ、サムが《人の国》に行って帰って来られないって聞いたら、なっちゃったみたいだ」
「あれ、チビちゃんはそんなにサムちゃんに、懐いてたっけ?」
「ああ、最近はサムに付いて回ってたって、アゴ母さんが言ってたよ」
「そんな状態でサムちゃんが居なくなるって、聞いちゃったのか……」
「そうなんだ。はぁ~、参った」
「じゃぁ、僕もサムちゃんに会いに行こうかなぁ」
「はぁ?……ミケ、何考えてるんだよ!」
「イヤ~、僕ってさぁ、自分で言うのも何だけどさぁ、サムちゃんに似てると思うわけよ!」
「だから何だって言うんだよ!」
「ほらぁ、チビちゃんはサムちゃんにベッタリなんだろう?」
「……ああ、そうか!!チビの目を欺くのか」
「そうそう。そうしておいて、落ち着くのを待ったらどうだ?」
「でもなぁ。そうするとミケに皺寄せが……」
「何とかなるって。大丈夫だよ。それに僕もサムちゃんに会いたいしね」
「いいのか、ミケ。……恩にきるよ。ありがとう。……アゴ母さんに連絡してみるよ」
ブチはミケの提案をすぐにアゴ母さんに連絡しました。最初はアゴ母さんもブチの様に、ミケに悪いからと断っていたものの、チビの行動がエスカレートしてきた為に、ブチにミケの提案を受け入れると連絡してきました。
そして年末前にブチと一緒にミケも修行先から帰って来たのでした。このサプライズにサムは大層喜んだのでした。
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