いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

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第8章

第436話 悪役令息の下着事情※

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※トイレの表現を含みますので、お食事中の方は注意してください。


 ふうぅ、ソファに座ってしばらくすると、ようやく気持ちが落ち着いてきた。

 クライスはというと、ソファに僕を座らせてから、寝室のクローゼットで自分も白シャツにグレーのズボンという部屋着に着替えて戻ってきた。白シャツのボタンが三つ空いていて、そこから見える鎖骨がやたらとセクシーだ。

(はぁ、きっちりした礼服も似合うけど。ラフな格好も似合うとかほんとイケメンはずるいよね)

 それにしても、こんな真っ昼間から二人揃って部屋着だなんて、今日一日絶対どこにもいかないぞっていう意思が感じられるようでおもしろい。

「ほら、膝に乗れ」
「うん」

 僕はいそいそとクライスの膝の上に座って、背中を彼に預ける。

(ああ、そうそう、このかんじ!) 

 安定の座り心地に、やっと日常が戻ってきた気がする。

 ちゅっちゅとうなじについばむようなキスをされて、僕はクスクスと声を上げて笑った。あんまりくすぐったいから振り返って文句を言おうとしたら、口にキスされて言葉を封じられてしまう。

「んあ……ん」

 熱い舌が口を割って入ってきて、歯列をなぞるように舐めていく。
 口の中なんて意識するのは歯を磨く時くらいで、そんなところに何か感じることなんてないはずなのに、クライスの舌に舐められるとなんだかぞくぞくしてしまう。特に上顎の裏あたりをこしょこしょされると、慣れない刺激にびっくりして。つい無意識のうちに彼のシャツを引っ張っていた。

「あ、ごめっ……」
「気にしなくていい。相変わらず口、敏感だな」
「っはぁ、だって……そんなとこ自分でさわったことないからぁ」
「もっとキスしやすいようにこっち向いて座れ」

 くるっと体を向かい合わせにされ、さらにキスが深くなった。
 濃厚な魔力に頭がぽやぽやしてきて、段々体が熱くなってくる。下半身も何やら反応しているような……ん?

 そこで僕はちょっと違和感を覚えた。
 下着の中で窮屈になっているはずのソコが、やけに開放的なことに気づいたのだ。

(あ……れ? 僕の僕今どうなって……)

「んぅ……ん、……んふっ」

 その間にもキスは続いているため、頭はとろとろの半熟状態になっている。考え事に不向きな状態の中、僕は違和感のある箇所にこっそり手を伸ばした。けれども、確かめる前に目敏めざといご主人様に見つかってその手は恋人繋ぎに握られてしまう。

「どうした? もう我慢できないのか? 昼ごはんの前に抜いてやろうか?」
「え……」
「最近してなかったから、溜まってるんだろう?」
「えと、そういうわけじゃ……」

 ない、というのは難しいくらい主張している自分のズボンを見て……僕は違和感の正体に気づいてしまった。

 あああああ!! しまった。僕、パンツを履き替えるのを忘れている。この穴あきパンツは真ん中の大事な部分が空いているへんてこな形だから、勃ってしまった僕の僕がそこから出てきちゃってるんだ。

 どうしよう……なんでこんなパンツ履いちゃったんだろうと後悔するも後の祭り。うう……反省するのは後にしよう。とにかく今はクライスに気づかれる前に違うパンツに履き替えなきゃ(こんな下着クライスに見られたら恥ずか死ぬ!!)。


 どうしたら気づかれずに着替えられるだろう、と僕はいつもの50倍頭を働かせた。まずは現状把握。
 向かい合ってぴたっとくっついてるのだから、しかもソコを彼に凝視されているのだから、まあ……今は最悪の状況と言える。とにかくなんとかしてクライスから離れなくては。
 僕は彼の意識を逸らすため、とりあえず話題を変えてみることにする。

「あのさ、クライス……お昼ご飯まだかな?」
「今頼んだばかりだから大体あと20分くらいじゃないか? そんなに腹が減ったのか?」
「そうじゃないんだけど……」

 うーむ、料理が来たらクライスが動くからその間にと思ったけれど、20分このまま待つのは長い気がする。バレないとは思うけど、なんか一度意識しちゃうとスースーして心許ないし、できるだけ早く着替えたい。膝を立て、もぞっと腰を浮かせて彼の体から股間を離そうと苦慮していると、

「それにしても、キルナ。お前」

 急に話しかけられてびくうぅっと体を揺らしてしまう。

「な、何っ!? なんにも隠してないよ!」

(もしやバレた!? そんなわけないよね。短パン履いてるし。見えてはないもんね)

 あわあわと慌てふためく僕の態度に訝しげな顔をするクライスに、精一杯素知らぬ顔をする僕。ハラハラしながら続きを待つと、

「……前より軽くなったな。ちゃんと食べてるのか?」

 って心配そうに尋ねられた。

 ああ、パンツの話じゃなかった。セーフ! と思いながら、「三食ちゃんと食べてるよ」と答える。量は少ないけど、それくらいは秘密にしてもいいでしょう。

「そうか。ならいいが……あと、お前」
「っなぁに?」

 んなあああ、まだ何か!? もしやパンツの話!? と叫びそうになりながらも、さっきみたいに挙動不審にならないように我慢する(ただ声は裏返ってしまった)。またハラハラしながら続きを待っていると、

「クマができてるぞ。ちゃんと寝てるのか?」

 と、これまた心配そうに尋ねられる。

「だいじょぶ。しっかり寝てるよ。ロイルとギアが時間になったら寝る準備をしてくれるから、毎日寝るのは22時くらい」
「そうか」

 ほっと胸を撫で下ろしつつも、こんなにも自分のことを気にかけてくれる優しい婚約者を前に、何を僕はパンツパンツと下着のことばかり考えてるんだろ、と自分で自分が情けなくなってきた。
 
(こんなんじゃだめだ。さっさと着替えてクライスとの貴重な時間を楽しもう!!)

 そう決意した僕は「ちょっとご飯の前にお手洗いにいっとくね」と言って、そろりそろりとクライスから降りた。
 降りる際、ぴょこんと主張する僕が、彼の腕に触れてしまったけれど、ちょっとだったから大丈夫。自然な感じでトイレに向かう僕はなんにも怪しくないはずだ。

 ①トイレに行き、恥ずかしい状態のコレをささっと自分で処理してから②「手を洗う時に失敗して服が濡れちゃった」とか言ってクローゼットがある寝室に行き、③服ごと着替えてしまおう。

 よし。ロイルに教わったスモールステップ方式を活用した完璧な計画!!

 
 のはずだったのだけど……

 なぜか腕を掴まれ①を止められてしまった。

「待て。そんなにそこを膨らませていては尿が出しにくいだろ。俺が手伝ってやる」
「ふくらませてなんて……」
「ないって? これで?」
「ひゃぁああんっ」

 ズボン越しにそこを触られ、僕は思わず喘ぎ声を上げた。ズボン一枚越しとはいえ、下着が防御の役割を果たせないことで、想像以上に感じてしまい、我慢できなかったのだ。

「ん? なんだこの感触……?」
「はぁ、はぁ、だ、だめえ。これいじょ……さわったらもれちゃうよ……ん、んぅ」

 漏れちゃうと言っているにも関わらず黙ったまままやわやわとソコを揉むクライス。まずい、このままじゃおしっことは違うものが出ちゃいそう。

「これは……もしや……」

 クライスはもみもみしながら真剣に何かを考えている様子だけれど、僕の方はその刺激に耐えることに必死で何も考えられなくなっていく。

(あん……も……やばいってえええ!!)

 心の中で悲鳴を上げる僕の耳に、

「ちょっとズボンの中を見てみてもいいか?」

 と、信じられない言葉が聞こえた気がしたのだけれど、気のせい……だよね?
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