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第6章
第260話 泳げない悪役令息①
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『あの化け物、水属性のくせに泳げもしないんだぜ』
『さすが闇属性の落ちこぼれだな! いっそ溺れ死んだらいいのにな』
使用人たちが僕のことを見て笑っていた。
笑われたその日からもう泳ぐ練習をするのはやめた。
泳げないと死ぬなんてこと、そうそうあるとは思えない。誰にも構われない僕は、どうせ公爵家の別邸から出ることだってないのだから……。
な~んて思っていた時期もあったのだけど。
今まさに、僕は泳げなくて死にそうになっていた。
(ブクブクブク、し、死ぬっ!!!)
「おい! キルナ!? また沈んでるのか!?」
「ぷはぁ!!!」
沈みかける身体を、またしてもクライスが自分の方へと引き寄せ助けてくれた。やっぱり泳ぐ練習はしておくべきだったかもしれない。あの時の自分に誰か言ってあげて! と思うけれど、まぁ後の祭りだ。
「げほっ……ごほっ……やっぱり、水に浮かぶなんて無理だよぅ。体重があるのだから沈むでしょ、普通」
「だから体の力を抜けと言ってるだろう? 力んだり変に動いたりするから沈むんだ。力を抜けば普通は浮かぶ」
「だってだって、水に入るだけで緊張するし、体が沈むかもしれないのにじっとなんてしてられないよ!!」
「足がつくんだから溺れるはずはないんだが、まぁキルナだからな。ほら、手を持っててやる。足をバタバタさせてみろ」
バタ足の練習をしながら湖の中心に向かって進む。手を引くクライスは「上手上手」といいながらゆっくり水の中を歩いていた。
(バタバタするだけなら大丈夫。手を持ってくれてるから溺れる心配はない)
少し余裕のできた僕は、足を動かしつつ今朝ここへ来て湖を見た時の感動と、泳ぐつもりはなかったのにこうして泳ぐことになった経緯を思い出していた。
『さすが闇属性の落ちこぼれだな! いっそ溺れ死んだらいいのにな』
使用人たちが僕のことを見て笑っていた。
笑われたその日からもう泳ぐ練習をするのはやめた。
泳げないと死ぬなんてこと、そうそうあるとは思えない。誰にも構われない僕は、どうせ公爵家の別邸から出ることだってないのだから……。
な~んて思っていた時期もあったのだけど。
今まさに、僕は泳げなくて死にそうになっていた。
(ブクブクブク、し、死ぬっ!!!)
「おい! キルナ!? また沈んでるのか!?」
「ぷはぁ!!!」
沈みかける身体を、またしてもクライスが自分の方へと引き寄せ助けてくれた。やっぱり泳ぐ練習はしておくべきだったかもしれない。あの時の自分に誰か言ってあげて! と思うけれど、まぁ後の祭りだ。
「げほっ……ごほっ……やっぱり、水に浮かぶなんて無理だよぅ。体重があるのだから沈むでしょ、普通」
「だから体の力を抜けと言ってるだろう? 力んだり変に動いたりするから沈むんだ。力を抜けば普通は浮かぶ」
「だってだって、水に入るだけで緊張するし、体が沈むかもしれないのにじっとなんてしてられないよ!!」
「足がつくんだから溺れるはずはないんだが、まぁキルナだからな。ほら、手を持っててやる。足をバタバタさせてみろ」
バタ足の練習をしながら湖の中心に向かって進む。手を引くクライスは「上手上手」といいながらゆっくり水の中を歩いていた。
(バタバタするだけなら大丈夫。手を持ってくれてるから溺れる心配はない)
少し余裕のできた僕は、足を動かしつつ今朝ここへ来て湖を見た時の感動と、泳ぐつもりはなかったのにこうして泳ぐことになった経緯を思い出していた。
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