150 / 306
第6章
第286話 気持ちの正体①
しおりを挟む
しばらく抱き合っていると、クライスの震えが徐々に収まってきた。よかった。
「この辺に座ろっか」
二人で湖のすぐ近くに座った。景色を眺めながら横に並んで、じゃなく対面になって僕が彼の膝上に乗って。
「こんな座り方でいいの? 重くない?」
「ああ、大丈夫。全然重くない。くっついていると安心する」
「そか」
変な座り方だと思ったけれど、クライスはこの方がお話ししやすいというし、僕も彼を安心させたかったから頷いた。ちょっと恥ずかしい気がしたけど、たしかにこうやって座ったら目は合わせやすいよね、と思う。やってみると案外しっくりきたので気に入った。
「教えてほしいな。僕達のこと。どうやって出会ってどんな話をしていたのか」
「ああ、もちろん」
僕が忘れてしまった過去のお話を、彼に教えてもらうことにした。
なんと出会った場所は噴水の中らしい。自宅の噴水で溺れていた僕をクライスが助けたのが初めての出会い。
ずぶ濡れになったからその後一緒にお風呂に入り、なぜか湯船に潜って出てこなくなった僕を引っ張り上げた後、僕らはファーストキスをした。
ビックリしたのとのぼせたのとで気を失い、しばらくして目覚めた僕にクライスがプロポーズしたのだって。(出会ったその日にプロポーズって、早っ!)
その後は一緒に学園に通い、勉強したり運動したり、魔法の練習をしたりした。
ここへくる前は、湖でデートしていた。その途中でいなくなった僕を、溺れたのじゃないかって必死に探し回ったけどどこにもおらず、ようやくここへ辿り着いたのだという。(それで会った時、「無事だったのか」って言ったのか)
(ってあれ? なんか僕ずっと溺れてない? 僕ってそんなにカナヅチなの?)
しかも溺れる度にクライスに救出してもらい迷惑をかけている。なんだか聞けば聞くほど彼に申し訳なくなってきた。そういえば、ここにきた時もクライスとルゥ、二人ともボロボロだったよね? それってめちゃくちゃ苦労してここに来てくれたってことなんじゃ……。
(なんてこと!)
「えと、ごめん。心配かけて。急にいなくなってビックリしたよね」
「見つかったから、問題ない。無事でよかった」
さっき湖を見て震えていたのも、僕がいなくなった時のことを思い出したからだったのか。そりゃ、一緒に湖に行った相手(しかも重度のカナヅチ)が消えちゃったら溺れたとしか思えない。一生トラウマになってもおかしくない。問題ないどころか大アリすぎる。こんなの何度謝っても謝り足りない。
「ほんとごめ……」
「『あやまらなくていいから』」
あれ? 言葉が、重なって聞こえた。今のクライスの声と、たぶん、過去のクライスの声が重なったような。
「ねぇ、なんかその言葉、聞いたことある気がする」
「え?」
「もっと言ってみて。何か思い出すかもしれない。クライスが僕によく言ってたこととか、他にない? なんか印象に残りそうな言葉とか」
「そうだな」
彼は一呼吸置いて、こう言った。
「愛してる」
え?
僕は彼を見る。
「俺はキルナを愛してる」
もう一度彼は同じ言葉を繰り返した。はっきり聞こえた。僕は自分の胸に手を当てた。
胸が張り裂けそう。信じられないくらい速い鼓動でドクドクいっている。でも頭はクリアだった。難しいなぞなぞの答えがわかった時のように。
(やっと、わかった!!!)
わからないって思っていた気持ち。
クライスに会ってからずっとずっと心を満たすこの気持ち。
言いたくても言えなかった気持ち。
の正体が。
「あのね」
額と額がくっつきそうなくらい近くで見つめ合いながら、彼に告げた。
「僕もクライスのこと、愛してる」
「この辺に座ろっか」
二人で湖のすぐ近くに座った。景色を眺めながら横に並んで、じゃなく対面になって僕が彼の膝上に乗って。
「こんな座り方でいいの? 重くない?」
「ああ、大丈夫。全然重くない。くっついていると安心する」
「そか」
変な座り方だと思ったけれど、クライスはこの方がお話ししやすいというし、僕も彼を安心させたかったから頷いた。ちょっと恥ずかしい気がしたけど、たしかにこうやって座ったら目は合わせやすいよね、と思う。やってみると案外しっくりきたので気に入った。
「教えてほしいな。僕達のこと。どうやって出会ってどんな話をしていたのか」
「ああ、もちろん」
僕が忘れてしまった過去のお話を、彼に教えてもらうことにした。
なんと出会った場所は噴水の中らしい。自宅の噴水で溺れていた僕をクライスが助けたのが初めての出会い。
ずぶ濡れになったからその後一緒にお風呂に入り、なぜか湯船に潜って出てこなくなった僕を引っ張り上げた後、僕らはファーストキスをした。
ビックリしたのとのぼせたのとで気を失い、しばらくして目覚めた僕にクライスがプロポーズしたのだって。(出会ったその日にプロポーズって、早っ!)
その後は一緒に学園に通い、勉強したり運動したり、魔法の練習をしたりした。
ここへくる前は、湖でデートしていた。その途中でいなくなった僕を、溺れたのじゃないかって必死に探し回ったけどどこにもおらず、ようやくここへ辿り着いたのだという。(それで会った時、「無事だったのか」って言ったのか)
(ってあれ? なんか僕ずっと溺れてない? 僕ってそんなにカナヅチなの?)
しかも溺れる度にクライスに救出してもらい迷惑をかけている。なんだか聞けば聞くほど彼に申し訳なくなってきた。そういえば、ここにきた時もクライスとルゥ、二人ともボロボロだったよね? それってめちゃくちゃ苦労してここに来てくれたってことなんじゃ……。
(なんてこと!)
「えと、ごめん。心配かけて。急にいなくなってビックリしたよね」
「見つかったから、問題ない。無事でよかった」
さっき湖を見て震えていたのも、僕がいなくなった時のことを思い出したからだったのか。そりゃ、一緒に湖に行った相手(しかも重度のカナヅチ)が消えちゃったら溺れたとしか思えない。一生トラウマになってもおかしくない。問題ないどころか大アリすぎる。こんなの何度謝っても謝り足りない。
「ほんとごめ……」
「『あやまらなくていいから』」
あれ? 言葉が、重なって聞こえた。今のクライスの声と、たぶん、過去のクライスの声が重なったような。
「ねぇ、なんかその言葉、聞いたことある気がする」
「え?」
「もっと言ってみて。何か思い出すかもしれない。クライスが僕によく言ってたこととか、他にない? なんか印象に残りそうな言葉とか」
「そうだな」
彼は一呼吸置いて、こう言った。
「愛してる」
え?
僕は彼を見る。
「俺はキルナを愛してる」
もう一度彼は同じ言葉を繰り返した。はっきり聞こえた。僕は自分の胸に手を当てた。
胸が張り裂けそう。信じられないくらい速い鼓動でドクドクいっている。でも頭はクリアだった。難しいなぞなぞの答えがわかった時のように。
(やっと、わかった!!!)
わからないって思っていた気持ち。
クライスに会ってからずっとずっと心を満たすこの気持ち。
言いたくても言えなかった気持ち。
の正体が。
「あのね」
額と額がくっつきそうなくらい近くで見つめ合いながら、彼に告げた。
「僕もクライスのこと、愛してる」
507
あなたにおすすめの小説
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?
詩河とんぼ
BL
前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。