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第8章
第379話 クライスSIDE テスト前日
「っふぅ…っ……」
膝を治療している間中、小さな嗚咽が聞こえていた。声を押し殺して泣く姿に胸が張り裂けそうになる。
(一体誰が、何がこんなふうにキルナを泣かせているんだ?)
両膝にできた擦り傷はまだ新しい。昨日までは無かったものだ。必死に隠そうとしていたところからして、ただ転んでできた傷でないことは明らかだった。
『テストなんてどうでもいいから、何があったのか教えろ!!』
そう問い質したかったが、このテストに向けて彼がどれだけ努力をしてきたかずっと見てきた。それだけは言ってはいけない……と、喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
今思えば、今日の彼は少し変だった。
授業前、普段は余裕を持って席につき授業の準備をするタイプなのに、リリーと教室に戻ってきたのはチャイムが鳴るのと同時だった。
前は安全のためだといくら主張しても俺の同行を拒否していたのに、「一緒に行かない?」と自分からトイレに誘ってきた。
何かそうしなければならない理由があったと考える方が自然だ。(それなのに、俺は誘ってもらえたことに浮かれて何も見えていなかった)
ぴちゃ……ぴちゃ……
嗚咽に合わせて小刻みに震える体を見つめながら、舌にのせた魔力を膝に染み込ませていく。回復術によって傷はすぐに癒えたが、彼が泣き止むまでじっくりと治療を続けた。彼の血の味はひどく甘く、舌と喉に絡みつき、いつまでも消えずに残っていた。
部屋に戻るとキルナはきっちり一時間だけ勉強し、ベッドに入る。俺に隠し事をしていることが後ろめたいのか、小さな声で謝ってきた。
「ごめんね、クライス」
「……謝るのはよせ。いいから。もう今日は何も聞かないからよく眠れ」
胸元に彼の熱い息がかかる。腕の中にすっぽり入る小さなからだをぎゅっと抱きしめる。こんなに近くにいるのに、こんなに苦しんでいるのに、どう助けていいかわからない。
(くそっ!!! もうこれ以上傷ついてほしくないのに!)
明日……か。
どうしてもと言うから引き下がったが、もちろんただ待っていられるはずがない。眠ったことを確認すると、すぐさま学友たちを集め、キルナに関するどんな些細な情報も漏らさず集めるよう指示した。
膝を治療している間中、小さな嗚咽が聞こえていた。声を押し殺して泣く姿に胸が張り裂けそうになる。
(一体誰が、何がこんなふうにキルナを泣かせているんだ?)
両膝にできた擦り傷はまだ新しい。昨日までは無かったものだ。必死に隠そうとしていたところからして、ただ転んでできた傷でないことは明らかだった。
『テストなんてどうでもいいから、何があったのか教えろ!!』
そう問い質したかったが、このテストに向けて彼がどれだけ努力をしてきたかずっと見てきた。それだけは言ってはいけない……と、喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
今思えば、今日の彼は少し変だった。
授業前、普段は余裕を持って席につき授業の準備をするタイプなのに、リリーと教室に戻ってきたのはチャイムが鳴るのと同時だった。
前は安全のためだといくら主張しても俺の同行を拒否していたのに、「一緒に行かない?」と自分からトイレに誘ってきた。
何かそうしなければならない理由があったと考える方が自然だ。(それなのに、俺は誘ってもらえたことに浮かれて何も見えていなかった)
ぴちゃ……ぴちゃ……
嗚咽に合わせて小刻みに震える体を見つめながら、舌にのせた魔力を膝に染み込ませていく。回復術によって傷はすぐに癒えたが、彼が泣き止むまでじっくりと治療を続けた。彼の血の味はひどく甘く、舌と喉に絡みつき、いつまでも消えずに残っていた。
部屋に戻るとキルナはきっちり一時間だけ勉強し、ベッドに入る。俺に隠し事をしていることが後ろめたいのか、小さな声で謝ってきた。
「ごめんね、クライス」
「……謝るのはよせ。いいから。もう今日は何も聞かないからよく眠れ」
胸元に彼の熱い息がかかる。腕の中にすっぽり入る小さなからだをぎゅっと抱きしめる。こんなに近くにいるのに、こんなに苦しんでいるのに、どう助けていいかわからない。
(くそっ!!! もうこれ以上傷ついてほしくないのに!)
明日……か。
どうしてもと言うから引き下がったが、もちろんただ待っていられるはずがない。眠ったことを確認すると、すぐさま学友たちを集め、キルナに関するどんな些細な情報も漏らさず集めるよう指示した。
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