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第一章
第2話 お兄様たちのお部屋
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食後は自分の部屋に戻って一旦休憩。
胃を休めて準備を整えたら、お兄様たちのお部屋に出かける、んだけど。
「遠っ……」
僕の部屋から兄様たちの部屋まで結構な距離がある。毎食後こうして通っているから入り組んだ通路も迷うことはないけれど、とにかく遠い。これってどうにかならないものかな。
(いっそのこと、僕も一緒のお部屋にしてくださればいいのに)
この前も、この前の前も、この前の前の前も、何度もお願いしているのに、お父様は聞き入れてくださらない。なんでダメなんだろう。理由を聞いても答えてくださらないし……
考え事をしているうちに、部屋の前まで辿り着いた。重厚な両開きの扉の向こうには、真っ赤な絨毯、真っ赤な壁紙、真っ赤に燃える蝋燭の火……赤一色の世界が広がっている。
(部屋全体が真っ赤な血の色だなんて、本当に素敵!!)
毎回この部屋を見るたびにそう思わずにはいられない。
ここは、リエル兄様、ジュダ兄様、セイン兄様三人のお部屋だ。かなり広い部屋で、三人の執務用の机と椅子、三人掛けのソファが置かれている。ここでお兄様たちはお父様の執務の手伝いをしているんだ。
奥のスペースは厚いビロードのカーテンで仕切られていて棺が三つ置かれている。この配置にしていれば仕事中いつでも仮眠できて便利なんだとか。
さらに奥にはレースでしきられた一角があり、そこには大きなベッドが一台置かれている。棺があるのになぜベッドがあるのかというと、獲物を持って帰ってきた時に使うためらしい。
吸血鬼が効率的に暮らすのに最適な構造になっている部屋は機能的で、かつ美しい。ああ、僕もここで暮らしたい。
(でもなぁ……はぁ。お父様がうんと言ってくださらないことにはなぁ)
「どうしたの? 入ってくるなり物憂げな顔でため息なんてついちゃって。ほら、そんなところに立ってないでこっちにおいで」
ソファに手招きするのはリエル兄様。その他に人影はない。どうやら今この部屋にはリエル兄様しかいないらしい。
「いえ、あの……どうしたら僕も同室にしていただけるのかと考えていたんです。お父様に何度頼んでも断られてしまうので……」
ぽすんと兄様の隣に座ってそう話すと、兄様はくすりと笑って慰めるように言った。
「はは、まだそんなこと言ってるのか、アーシュは。いいじゃないか、このままで。一人の方が悠々暮らせるだろう? 私だって正直一人部屋がいいくらいだよ。ジュダとセインは起きてる時もうるさいけど、寝てる時も寝言やらいびきやらで静かにしてる時がないんだから」
へえ、ジュダ兄様とセイン兄様はいびきをかくのか。……僕は大丈夫かな? 自分じゃわからないから心配だ。今度メイドか執事に聞いてみよう、と考えていると、ガタンとドアが開いて部屋にジュダ兄様とセイン兄様が入ってきた。
胃を休めて準備を整えたら、お兄様たちのお部屋に出かける、んだけど。
「遠っ……」
僕の部屋から兄様たちの部屋まで結構な距離がある。毎食後こうして通っているから入り組んだ通路も迷うことはないけれど、とにかく遠い。これってどうにかならないものかな。
(いっそのこと、僕も一緒のお部屋にしてくださればいいのに)
この前も、この前の前も、この前の前の前も、何度もお願いしているのに、お父様は聞き入れてくださらない。なんでダメなんだろう。理由を聞いても答えてくださらないし……
考え事をしているうちに、部屋の前まで辿り着いた。重厚な両開きの扉の向こうには、真っ赤な絨毯、真っ赤な壁紙、真っ赤に燃える蝋燭の火……赤一色の世界が広がっている。
(部屋全体が真っ赤な血の色だなんて、本当に素敵!!)
毎回この部屋を見るたびにそう思わずにはいられない。
ここは、リエル兄様、ジュダ兄様、セイン兄様三人のお部屋だ。かなり広い部屋で、三人の執務用の机と椅子、三人掛けのソファが置かれている。ここでお兄様たちはお父様の執務の手伝いをしているんだ。
奥のスペースは厚いビロードのカーテンで仕切られていて棺が三つ置かれている。この配置にしていれば仕事中いつでも仮眠できて便利なんだとか。
さらに奥にはレースでしきられた一角があり、そこには大きなベッドが一台置かれている。棺があるのになぜベッドがあるのかというと、獲物を持って帰ってきた時に使うためらしい。
吸血鬼が効率的に暮らすのに最適な構造になっている部屋は機能的で、かつ美しい。ああ、僕もここで暮らしたい。
(でもなぁ……はぁ。お父様がうんと言ってくださらないことにはなぁ)
「どうしたの? 入ってくるなり物憂げな顔でため息なんてついちゃって。ほら、そんなところに立ってないでこっちにおいで」
ソファに手招きするのはリエル兄様。その他に人影はない。どうやら今この部屋にはリエル兄様しかいないらしい。
「いえ、あの……どうしたら僕も同室にしていただけるのかと考えていたんです。お父様に何度頼んでも断られてしまうので……」
ぽすんと兄様の隣に座ってそう話すと、兄様はくすりと笑って慰めるように言った。
「はは、まだそんなこと言ってるのか、アーシュは。いいじゃないか、このままで。一人の方が悠々暮らせるだろう? 私だって正直一人部屋がいいくらいだよ。ジュダとセインは起きてる時もうるさいけど、寝てる時も寝言やらいびきやらで静かにしてる時がないんだから」
へえ、ジュダ兄様とセイン兄様はいびきをかくのか。……僕は大丈夫かな? 自分じゃわからないから心配だ。今度メイドか執事に聞いてみよう、と考えていると、ガタンとドアが開いて部屋にジュダ兄様とセイン兄様が入ってきた。
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