白衣とブラックチョコレート

宇佐田琴美

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白衣の天使編

内緒話はサブローザ 3

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 真理亜が潔白なら、今度は鷹峯の態度の理由が謎のままだ。

「何でって、それは清瀬さんが気の強い美人だからです」

「……は?」

 突拍子もない返答に、雛子は頭にはてなマークを浮かべた。

「気の強い美人って、征服したくなりますよね?」

「いえ……別になりませんけど……」

 単純に、鷹峯の性癖に刺さったということか。

 深く探るのはやめよう。雛子はこの話題を掘り下げることはしないでおこうと心に決める。

(そっか……やっぱり気のせいだったんだ)

 雛子はようやく少しほっとして、残っていたカクテルを飲み干した。心の靄が一気に晴れた気分だった。

「鷹峯先生のおかげでようやく安心出来ました。ありがとうございます」

 雛子の言葉に、鷹峯もにんまりと口角を上げる。

「それは良かったです。今夜は奢りますよ」

 その申し出に、雛子は目を輝かせた。

「ありがとうございます! マスター、おかわり下さいっ」

「どのようなものになさいますか?」

「えーっと、今度はベリー系のとか……」

「……飲み過ぎだけは本当に気を付けて下さいよ」

「はぁーい」

 返事はするものの、こんなお洒落なお店に来たことのない雛子は普段口にしないカクテルに興味津々だ。悩み事が解決したのだから、せっかくなので思う存分楽しみたい。

 結局その後は二時間ほど酒を楽しみ、鷹峯と雛子は病院の敷地内にて解散となった。

「ありがとうございました。話を聞いてもらった上に奢っていただいて……」

「いえ、案外有意義に過ごせましたよ。では」

 オンコール当番の鷹峯は、呼び出しに備えて当直室に泊まるようだ。雛子は晴々とした気分でエントランスのオートロックを開ける。

(高いお酒だからかな? 全然気分も悪くならない……)

 普段は居酒屋しか利用しないため酎ハイやサワーしか飲んだことがなかったが、たまには美味しいお酒を少量嗜むのも悪くない。

 これが社会人の醍醐味か、などと考えながら、管理人室の前を通り過ぎる。


「あれっ?」


 エレベーターホールには、エレベーターを待つ女性が一人立っていた。その後ろ姿に見覚えがあり、雛子は思わず声を上げる。
 
「あら、雛子ちゃん?」

 声に反応して振り返ったのは、思った通り清瀬真理亜、その人であった。

「お帰りなさい。この時間に帰ってきたってことは、もしかして飲んでたのかしら?」

「は、はい。まぁ」

 真理亜の鋭い指摘に、雛子は笑って言葉を濁す。まさか真理亜のことで悩んで鷹峯に話を聞いてもらっていたなど口が裂けても言えない。

 二人は到着したエレベーターに乗り込む。
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