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第一章この章の後半を読んではいけない。
プロローグ
しおりを挟む「トウリさん」
透き通った声が聞こえる。
雲一つ無い青い空、水平線上に広がる真っ平らな薄い水面それ以外は見当たらない。
僕はそこに両手を広げ寝そべっていた。
ここは。
「君は何故ここに?」
ロングのどこも括っていない白い髪、白いワンピースに白い肌の女の子が立っていた。
そして僕の目線をすべて吸い込むかのような黒い目。
どれも懐かしい。
「分かりませんね何故ここなんでしょう」
「君も分からないだ」
風も何も無い。
自然も見当たらない。
僕達2人だけの世界。
「不思議ですか?」
「そうなるのかな」
不思議な空間だが、何故か違和感が無かった。
僕は顔を上げて水面に座った。
僕の知っている君だ。でも、何でここにいるか分からない。
ここは何処なのだろう。
「やっと会えた気がしませんか?」
「会えたけどここに居る君は本当に君なのかい?」
「それはあなたの感じ方しだいです」
「僕の感じ方次第か」
それとも僕の思う気持ち次第か。
彼女は僕に少し近づいて座った。
「今はどうしてるの?」
「あなたが来るのを待っていました。あなたは?」
「それなりに楽しくやってるよ」
「そうですか、それなりに楽しですか」
彼女は更に近づきお互いの息のかかる所まで体を近づけた。しかし、周りには誰も居ないから気にする事も殆ど無い。
「なに?」
「懐かしいなって思いまして」
彼女はその言葉とともに僕を押し倒し僕の首を押さえつけた。
でも僕は押し倒されて首を絞められても両手を広げ抵抗しない。
首を締め付けられる感覚が、彼女の乗る感覚が分かる。
彼女の乗る重さが丁度よく気持ちがいい。
「懐かしいね」
「覚えてくれてたんですか?」
「忘れる訳が無い」
忘れるはずも無い。そう、僕は君を。
「また会いたいですか?」
勿論そうしたい。
「でも、もう君は」
「本当にまた会えたらいいですね」
僕もそう思ってるよ。
「どうしたら君と会えるの?」
首を絞める彼女の手が僕の背中の方に回る。そして、彼女は僕を抱き締めた。
「・・・・・・変えてください」
耳元で囁かれた。
「何を変えれば君と会えるの?」
返事は聞こえ無かった。
周りの水平線が崩れ空は暗闇が飲み込む。
彼女の涙が首を滴る感覚が伝わる。
その涙が僕の胸を締め付けた。
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