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人妻チヨコと絶倫夫
私はチヨコ、人妻である。
夫はこの春に転勤で越してきたばかりのサラリーマンだ。
結婚して三年になるが、まだ子供はいない。
夫の両親と同居しており、仲は良いと思う。
夫も優しいし、不満はない。
ただひとつ、夫が出張の時を除いて毎日セッ●スを求めてくることを除けば……。
「お義母さん、おはようございます」
朝食の準備のために台所に向かうと、義母のミヨさんがテーブルを拭いていた。
「あら、おはよう。
今日は早いのね」
「ええ、今日から出張なので……」
「そう、気を付けていってらっしゃい」
義母は私を見ると微笑んだ。
私もつられて微笑む。
義母は私にとって理想の母親像だった。
義父のタカさんは寡黙な人で、あまり話したことはないけれど、悪い人ではないと思っている。
いつもにこにこしていて、家族想いのいい人だ。
「あ、そうだわ。
これ、昨日焼いたクッキーなんだけど、良かったら食べてちょうだい」
そう言って差し出された紙袋の中には、可愛らしい包装紙に包まれた箱が入っていた。
「いいんですか?
ありがとうございます!
」
お礼を言って受け取ると、その重みからして結構入っているようだ。
「そんなに気を遣わなくていいのよ。
うちの旦那なんか、私が作ったお菓子なんて全然食べないんだから」
少し拗ねたように唇を尖らせる仕草が可愛らしくて、思わず笑ってしまう。
「あはは、それはきっと、タカさんもミヨさんの手作りだからですよ。
それに、こんなに美味しいもの、食べない方が勿体ないです」
「……ありがとう。
それじゃあ、行ってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
玄関を出て車に乗り込むと、運転席に座る夫と目が合った。
「おはよう」
「うん、おはよう」
彼はそれだけ言うとすぐに視線を前に戻す。
「忘れ物ない?
」
「大丈夫。
ちゃんと確認したから」
「そっか」
短い会話の後、車内には沈黙が流れる。
(気まずいなぁ……)
別に喧嘩をしているわけではないのだが、最近ずっとこんな調子なのだ。
きっかけは些細なことだったが、お互い意地を張ってしまい、今日まで仲直りできていなかった。
ちらりと横目で彼を見る。
彼の視線は相変わらず前方を向いていて、何を考えているのか分からなかった。
そのまま特に会話をすることもなく会社に着くと、私達はそれぞれの部署へと向かった。
仕事中も何となく集中できなくて、何度も時計を見たり、意味もなく席を立ったりしてしまっていた。
その度に上司に注意されて、同僚達に笑われた。
そんな調子で一日の仕事を終えた頃には、すっかり疲れてしまっていた。
「はぁ……」
溜息をつく私の肩を誰かが叩いた。
振り返ると、そこには同期の男性社員が立っていた。
「お疲れ様。
どうしたの?
元気ないみたいだけど」
彼は心配そうに私の顔を覗き込んだ。
私は慌てて笑顔を取り繕う。
「ううん、何でもないよ!
ちょっと疲れただけ」
そう言うと、彼は安心したように笑った。
「それならいいけどさ。
あんまり無理するなよ?
」
ぽんっと軽く頭を叩くようにして撫でられる。
「うん、ありがとう」
笑顔で返すと、彼も嬉しそうに笑ってくれた。
そして、自分のデスクへと戻っていった。
「……よし!
」
気合いを入れ直してパソコンに向き合う。
すると、ポケットの中でスマホが震えた。
画面を確認すると、彼からメッセージが届いていた。
『今日何時くらいに帰れそう?
』という簡素な内容だった。
『八時くらいかな』
短く返信をして、再びキーボードを打ち始める。
早く仕事を終わらせて家に帰ろう。
そして、彼とゆっくり話がしたい。
そう思った。
「ただいまー」
玄関のドアを開けると、カレーの匂いがした。
どうやら彼が先に帰っているようだ。
靴を脱いでリビングに入ると、キッチンに立つ夫の後ろ姿が見えた。
「おかえりなさい」
振り返って笑顔を見せる彼に、私も笑顔を返す。
「今日は早かったんだね」
「ああ、うん。
仕事が思ったよりも早く片付いたんだ」
「そうなんだ」
そこで会話が途切れてしまう。
何か話さなければと思うのだが、上手く言葉が出てこない。
結局何も言えないまま、夕食の時間になった。
食卓の上に並べられたのは、カレーライスだった。
二人揃って手を合わせて、いただきますと言う。
スプーンで一口分掬って口に運ぶと、スパイシーな味が口いっぱいに広がった。
とても美味しいはずなのに、どこか味気なく感じてしまうのは何故だろう。
食事を終え、後片付けを済ませると、いよいよすることがなくなってしまった。
いつもならこの後テレビを見ながらお喋りをしたり、ゲームをしたりして過ごすのだが、今はそんな気分にもなれない。
(どうしよう……)
ソファーの上で膝を抱えて座っていると、夫が隣に座ってきた。
「ねえ、何かあった?
」
突然の質問に驚いて顔を上げる。
夫は真剣な表情をしていた。
「え……?
」
「だって、ずっと浮かない顔してるからさ。
俺、心配なんだよ」
そう言って私の手に自分の手を重ねる。
「悩みがあるなら相談に乗るし、愚痴ならいくらでも聞くよ?
」
その言葉に、胸が締め付けられるような感じがした。
「……私、もう我慢できない!
」
気付いた時には叫んでいた。
驚いたように目を見開く夫を真っ直ぐに見つめる。
「どうして我慢する必要があるの?
好きなら好きって言えばいいじゃない!
なんで隠そうとするの!?
」
「チヨコ……」
「私にはあなたの気持ちが分からない!
あなたはいつも何も言わないんだもの!!
」
一度溢れ出した言葉は止まらなかった。
涙と一緒にぽろぽろと零れ落ちていく。
「あなたが何考えてるのか、全然分かんないよ……!
」
叫ぶように言って俯く私に、彼は優しく言った。
「……ごめん」、「他の男に抱かれてほしい・・・」
なんて言われて喜ぶ女はいないと思う・・・いや・・いるかもしれないけど・・・・少なくとも私は喜ばない・・・。
なんであんな事言われたんだろう・・・??
もう1ヶ月以上も前の出来事なのに思い出すたびに涙がこぼれそうになる。
あれは忘れもしない3月13日のこと・・・・・ ***
***
3月12日のお昼頃のことだった。
その日は日曜日で仕事は休みだったので午前中は部屋の掃除や洗濯などをしていたんだけど午後からは暇になってしまったから久しぶりに実家へ帰ることにしたのだ。
2年前に結婚した時に実家を出て一人暮らしを始めたけどたまには両親の顔を見たいと思っていたからだ。
それにもうすぐ子供が産まれるから出産前にもう一度会っておきたかったというのもある。
1年ぶりに会った両親は相変わらず元気そうで、特にお母さんは妊娠8か月目だというのに以前と変わらない感じでビックリしてしまった。
お父さんと2人で居酒屋に行って朝まで飲んでたとか、旦那さんの悪口ばかり言ってるようなイメージがあったんだけど実際は毎日散歩したり買い物に行ったりと結構アクティブに過ごしてるらしい。
まぁ私が知らないだけで色々あったんだろうけどね・・・。
そんな訳で久しぶりの実家を満喫していたのだけど、夕方頃に母が言った一言が私を困惑させたのだった。
「そういえばアンタ、結婚生活はどうなのよ?
」
「えっ?
」
いきなりそんな事を聞かれて思わず聞き返してしまった。
母は少しニヤニヤしながらこっちを見ている。
「だからぁ~、今の彼氏と結婚してからどうなのかって聞いてるのよ~」
「・・・どうって言われても別に普通だよ?
今年に入ってからまだ一度もエ●チしてないもん・・・。
」
そう、私と彼は結婚してからも月に1~2回程度しかエ●チしていないのだ。
しかも、挿●無しで終わる事もしばしば・・・。
「えぇっ!?
それってもしかして倦怠期ってやつじゃないの??
」
「ん~~・・どうだろう?
別に嫌いになった訳じゃないし不満がある訳でもないんだけどね」
そう答えると母は呆れた顔をして大きなため息をついた。
そして諭すような口調で話し始めた。
「あのね、夫婦っていうのはお互いに支え合ってこそなんだから相手の事を思いやる気持ちが無いとダメでしょ?
それなのにセックスレスだなんて信じられないわ」
「そ、それはそうだけどさぁ・・・」
「だいたい貴女は昔から恋愛に関しては奥手で鈍感過ぎるんだから!
学生時代なんか告白されても『好きな人がいる』って言って断り続けてたじゃない!
」
「うっ!
」
「社会人になってからだってそうよ!
職場の飲み会に誘われても絶対に行かないって言うし!
」
「うぅぅっ!
」
「挙げ句の果てには婚活パーティーにまで行ったくせに結局誰とも付き合わなかったでしょう?
」
「だ、だってぇ・・・」
そこまで言うと母は今度は悲しそうな顔をした。
そして私の手を握りながら優しい声で言った。
「でもね、やっと幸せになれたんでしょう?
だったらその幸せを大事にしなきゃダメよ?
分かったわね?
」
「うん・・・ありがとう母さん」
母の言葉で私の心が温かくなっていくのを感じた。
やっぱりこの人の娘になって良かったなぁと思った瞬間だった。
それからしばらく話をしてそろそろ帰ろうかと思った時だった。
母がまたとんでもないことを言い出したのだ。
「そうそう、そう言えば今度お隣の山田さん家の奥さんが赤ちゃんを産むんだって!
」
「へぇ~そうなんだぁ」
正直あまり興味が無かったので適当に返事をしているとさらに衝撃的な言葉を聞いてしまった。
「でね、産まれたらウチにも見せに来るって言ってたわよ」
「へっ?
ウチの子を見せにくるの?
」
「ええ、何でも『ぜひうちの子を抱かせてあげたい』って張り切ってたわ!
」
それを聞いて私の顔が引きつったのが分かった。
何故ならこのセリフには心当たりがあったからだ。
そう、あの言葉である。
((お前の子供を、抱かせてくれ))
あの言葉が頭の中で再生された。
それと同時にあの時の光景を思い出してしまい体が震えだした。
「ど、どうしたのよ急に顔色が悪くなってるわよ!?
」
「う、ううん!
なんでもない!!
それじゃあ私もう行くね!!
」
そう言うと慌てて玄関へ向かった。
後ろから何か言っているようだったけど聞こえないフリをして逃げるように家を後にしたのだった。
そしてその夜・・・ 私はベッドの上で一人悩んでいた。
(もし本当にあの子を連れてくるつもりならどうすればいいのかなぁ・・・)
もちろん会わせるつもりは無いし向こうの家に返すつもりだ。
でももしもの時の為に心の準備をしておかなければならないと思ったのだ。
だけどどうすれば良いのか分からないまま時間だけが過ぎていくのだった・・・。
次の日の仕事中もその事が頭から離れず仕事どころではなかった。
ミスはしなかったものの上の空になってしまい何度も注意されてしまった。
そんな調子で昼休みになりお弁当を食べようとした時スマホが鳴った。
見ると彼からだった。
「もしもし、どうしたn・・・」
『あ ゙~~~!!!
俺のチヨコタンマミコちゃんんんんんん!!!!
今すぐ会いたいよぉぉぉぉ!!!!!!!!
』
ブツッ!!
ツーッツーッ・・・・プーップーップーッ・・・
(き、切られた・・・?
というか最後何て言ってたんだろ??
)
あまりにも酷い内容だったので何を言っていたのか聞き取れなかったけどとにかく変な事は言っていなかった気がする・・・。
気を取り直してメールを見るとこう書いてあった。
『今度の土曜日にそっちに帰る事になったから会おうぜ!
』
それを見て一瞬ドキッとした。
まさか昨日の話をしてくるんじゃないかと身構えてしまったのだ。
しかしよくよく考えてみれば彼と会う約束はしていなかったはずだと思い直しホッと胸を撫で下ろした。
(ふぅ・・・焦ったぁ~、とりあえず会う約束をしてるわけじゃないから断る理由も無いよね)
そう思ったのは間違いだったと気付くのはもう少し先の事だった・・・。
そして次の日の朝、会社に行くと彼が話しかけてきた。
「よう、おはよう」
「あっ、おはようございます」
いつもの様に挨拶を交わす私達だったが次の瞬間彼がとんでもない事を言ってきたのだ。
「ところでさ、この前の話なんだけど考えてもらえたか?
」
「・・・はい?
」
意味が分からず聞き返す私に彼は不思議そうな顔をした。
「おいおい、忘れたのかよ?
子供が欲しいって話だろ?
」
「え・・・ええっ!?
」
それを聞いた瞬間に頭が真っ白になってしまった。
(こ、この人は何を言ってるの!?
冗談にしても酷すぎるよぉ~!
)
あまりのショックで固まっている私をよそに彼は話を続ける。
「実は昨日帰ってから嫁に相談したら大喜びでな!
さっそく予定日やら名前やらを考えてたんだよ!
それで今日帰ったら早速病院に行ってくるんだ♪」
楽しそうに話す彼の顔を見て目の前が真っ暗になっていくような気がした・・・。
もう何も考えられなかった私はフラフラした足取りで自分の席へと向かい力なく椅子に座った。
すると隣の席にいた同僚が声をかけてきた。
「あれ?
大丈夫?
体調悪いなら医務室に行った方がいいんじゃない?
」
心配そうに言う彼女に何とか笑顔を作って答えた。
「大丈夫だよ♪ちょっと寝不足なだけだから気にしないで」
そう言って誤魔化したけど本当は全然大丈夫じゃなかった。
なぜなら頭の中は昨夜の事でいっぱいだったからだ。
(どうしよう・・・このままじゃ取り返しのつかない事になるかもしれない・・・)
そんな考えが頭をよぎったけどすぐに振り払った。
だって私にはどうすることも出来ないのだから・・・。
ただ黙って成り行きに任せるしかないと思っていたその時だった・・・。
ブーッ!
ブーッ!
ブーッ!
突然バイブが鳴り出したので驚いて画面を見るとそこには夫の名前が表示されていた。
それを見た瞬間心臓が跳ね上がるような感覚に襲われた。
そして恐る恐る電話に出ると聞こえてきたのは彼の声だった。
『おっ、繋がった!
チヨコ!、聞いてくれよ♪さっき病院に行ってきたんだけどさ、どうやら俺の息子は女の子らしいんだよ!
いやぁ~今から楽しみだなぁ~♪』
まるで遠足前の子供のようにはしゃぐ彼に思わず眩暈がしてきた。
それでもなんとか声を絞り出して言った。
「そ、そうなんですね・・・おめでとう御座います」
それだけ言うと電話を切った。
その直後に深いため息をついて机に突っ伏してしまった。
周りから心配そうな声が聞こえてきたけど返事をする気力も湧かなかった。
それからしばらくしてようやく気持ちが落ち着いてきたので顔を上げて窓の外を見た。
空はどんよりと曇っていて今にも雨が降り出しそうだった。
(はぁ・・・今日は残業せずに早く帰ろうかな・・・)
そんな事を考えながら再びため息をつくのだった・・・。
そしてその日の夜、いつものようにお風呂上がりで髪を乾かしていた時だった。
突然電話が鳴り出したのだ。
こんな時間に誰だろうと思いながら出るとなんと相手は夫だったのだ!
慌ててドライヤーを止めて電話に出た。
「もしもし?
」
『おう、俺だ』
「どうしたの?
何かあったの??
」
『いや、別に何もねぇけどさ・・・声が聞きたくなったっていうかなんて言うかさ・・・まぁいいや、それよりお前今何してんの?
』
「えっ!?
えっとぉ・・・お風呂に入ってるところだけど・・・」
咄嗟に嘘をついたのだが彼は特に気にする様子も無く話し始めた。
『そっか、じゃあ邪魔しちゃ悪ぃし切るわ』
そう言って電話を切ろうとする彼を私は呼び止めた。
「ま、待って!
」
『ん?
どした?
』
「い、いえ・・・その・・・何でもないです」
自分でもどうして呼び止めてしまったのか分からない。
でも何となくこのまま切りたくなかったのかもしれない。
そのまま少し沈黙が続いたが彼が先に口を開いた。
『なぁ、明日って暇か?
』
「へっ?
あ、うん・・・一応休みですけど・・・」
いきなり聞かれて驚いたけど明日は仕事が休みの日なので正直に答えると彼は嬉しそうな声で言った。
『おおっ!
そうかそうか!
それなら良かったぜ!
』
何が良かったんだろうと思っていると続けてこう言った。
『実はさ、久しぶりに飲みに行きてぇなって思い始めてんだけど一緒にどうだ?
』
それを聞いてドキッとした。
何故ならそれは私と彼との最初のデートと同じシチュエーションだったからである。
あの時はまだ付き合ってすらいなかったんだけどね・・・。
(そう言えばあの時もこんな感じで誘われたんだっけ・・・)
懐かしさに胸を熱くさせていると彼が急かすように言った。
『おい、どうなんだよ?
行くのか行かねえのかハッキリしろよ』
その言葉にハッとして慌てて返事をした。
「行きます!
」
そう答えると彼は嬉しそうに言った。
『よし決まりだな!
それじゃあ場所は後で連絡するから楽しみに待っとけや!
』
そして今度こそ本当に電話を切った。
私はしばらく呆然としていたがハッと我に返って急いで出かける準備を始めた。
(ど、どうしよう・・・こんなことになるなんて思わなかったよぉ~)
心の中で後悔しながら準備を進めるのだった・・・。
***
そして翌日、私は駅前にある居酒屋の前で待っていた。
時間は19時45分を過ぎたところだ。
お店に入ると店員に案内されて個室に入った。
中に入るとすでに夫が座っていて私を見るなり手を振っていた。
私も軽く会釈してから彼の対面に座ることにした。
「おっす!
久しぶり~」
軽いノリで話しかけてくる彼に対して私はぎこちなく笑いながら返した。
「う、うん・・・ひ、久しぶりだね・・・」
ぎこちない返事に違和感を感じたのか夫は怪訝な顔をしながら聞いてきた。
「ん?
どうかしたのか?
」
「ううん、なんでもないよ」
そう言って誤魔化すとメニュー表を見て注文する料理を選び始めた。
その間ずっと夫の視線を感じていたけど気付かないフリをしてやり過ごした。
やがて店員さんを呼んで料理を注文すると今度は彼から話しかけてきた。
「それにしてもまさかお前が来てくれるとは思わなかったぜ」
「そ、そうかな?
私だってたまには息抜きしたい時があるんだよ?
」
笑顔でそう返すと彼も納得したようだった。
その後は特に会話もなく運ばれてきた料理を食べていった。
そして食事が終わるとお互いビールを飲みながら雑談をしていた。
しばらくすると彼が思い出したように言ってきた。
「そうだ、忘れるところだった!
お前にプレゼントがあるんだった」
「えっ、私にですか?
」
意外な言葉に驚いているとカバンの中から何かを取り出してテーブルの上に置いた。
それを見た瞬間私の心臓は飛び跳ねそうになった。
(こ、これって・・・もしかしてアレなんじゃ・・・)
私が固まっているのを見て不思議そうな表情をする彼だったがすぐに笑顔になって言った。
「ほら、開けてみろよ」
そう言われて震える手で包装紙を開けていくとその中身は予想通り避●具の箱だった・・・。
しかも1箱ではなく3つも入っていたのだ。
それを見て私は絶句してしまった。
そんな私を見ながらニヤニヤしている夫の顔を見て確信した。
この人は最初からこのつもりだったのだと・・・
「どうしたんだよ黙り込んで?
嬉しくないのか?
」
「え、ええ・・・嬉しいです・・・」
何とか平静を装って答えてみたが正直言ってあまり嬉しいとは思えなかった。
もちろん避妊の為の道具なのは分かっているけどそれを夫の目の前で開封するのはかなり抵抗があったからだ。
しかし彼はさらにとんでもない事を言い出した!
「ああそれとな、実はもう一個あるんだわ」
「・・・・へ?
」
もう一個?
それってつまり2個ってことだよね?
一体どういうことなんだろうと思っていると彼が鞄から同じ物を取り出した。
そして同じようにテーブルに置くと私に見せびらかすようにヒラヒラさせながら言ってきた。
「これなんだけどさ、俺の知り合いに頼んで作ってもらった特注品なんだぜぇ~♪凄いだろ♪」
得意げに言う彼の言葉が耳に入らないくらい私はショックを受けていた。
なぜなら目の前に置かれた物がどう見ても男性用の貞●帯だったからだ・・・。
それもご丁寧に鍵まで付いているので簡単には外せないようになっているようだ。
(こ、この人本気なの!?
こんなの着けたら絶対に我慢出来なくなっちゃうじゃない!!
)
そんな事を考えていると突然彼の手が伸びてきて私の手を掴んできた!
驚いてビクッと体を震わせると耳元で囁かれた。
「なぁ・・・そろそろいいだろ?
俺さぁ・・・お前の事が好きなんだよ・・・だから頼むよ、コレを着けてくれ!!
」
そう言って貞●帯を握らせてきた。
その手はかなり汗ばんでおり興奮しているのが伝わってくるほどだった。
そんな彼を見て恐怖を感じてしまったがそれと同時に体が熱くなっているのを感じた。
きっとアルコールのせいだろうと自分に言い聞かせながら必死に耐えていたが遂に限界を迎えてしまったのだ・・・。
「す、すいません!
やっぱり無理ですぅぅぅ!!!
」
大声で叫ぶように言うと部屋を飛び出していった。
背後から夫の叫び声が聞こえてきたけど振り返る事なく走り続けた。
そして店から少し離れた所にあった公園に入ってベンチに座り込んだ。
(はぁ・・・どうしてこんなことに・・・)
ため息をつきながらもこれからどうするか考えていたその時だった。
誰かが近付いてくる気配を感じたので顔を上げるとそこには見知った顔の人物が立っていたのだ。
その人物とは他でもない同僚だったのだ。
彼女は私を見ると安心したように微笑んで声をかけてきた。
「良かったぁ~!
やっと見つけたよ!
」
彼女の姿を見て一瞬ホッとしたのだがすぐに表情を引き締めて言った。
「ど、どうしてここが分かったの!?
」
すると彼女は少し言いづらそうにしながらも教えてくれた。
どうやら会社を出た後からずっと私を尾行していたらしい・・・。
それを聞いた私はゾッとしたと同時に背筋が凍るような感じがした。
何故なら彼女がここにいるということは当然夫も知っているはずだと思ったからである。
そう思った瞬間急に不安が込み上げてきたが彼女に気付かれないように平然を装った。
そんな私の心の内を知らない彼女は心配そうに話しかけてきた。
「ねぇ、何があったの?
よかったら相談に乗るわよ?
」
そう言ってくれる彼女を見て思わず泣きそうになったがグッと堪えて答えた。
「だ、大丈夫だよ!
ちょっと飲み過ぎちゃっただけだから気にしないで」
なんとか笑顔を取り繕ってそう言うと彼女もそれ以上は何も聞いてこなかった。
それからしばらくの間沈黙が続いたが突然彼女が口を開いた。
「あっ、そうそう!
さっきスマホにメッセージが届いたんだけど見てみない?
」
その言葉にドキッとしたが断る理由もないので了承して確認することにした。
そして届いたメッセージを確認するとそれは夫からのものだった。
その内容は『今すぐ家に来い』というものだった。
それを見た瞬間に全身が震えだした・・・。
(い、家って・・・も、もしかしてバレたんじゃ!?
)
そんな事を考えながら呆然としていると彼女が心配そうな顔で覗き込んできた。
「どうしたの?
大丈夫??
」
「う、うん・・・平気だよ」
無理やり笑顔を作って答えると立ち上がりながら言った。
「それじゃあ私帰るね!
」
逃げるようにその場を後にすると駅に向かって歩き出した。
その途中何度も振り返ってみたがやはり追いかけて来る様子はなかった。
ホッと一安心して改札を抜けようとした時だった!
突然後ろから誰かに抱きつかれてしまったのである!
突然の事にパニックになりかけたがすぐに冷静さを取り戻した。
何故なら相手が誰なのか分かっていたからだ。
恐る恐る振り返るとそこに立っていたのは私の上司である女性社員だった。
「せ、先輩・・・どうしたんですか?
」
そう聞くと彼女は何も言わずに体をまさぐり始めた。
最初は何をやっているのか分からなかったけど次第に理解し始めた。
そして理解した途端に顔が青ざめていくのが分かった。
それでも何も言えずに黙っているとようやく先輩が口を開いた。
「ごめんなさいね、こんな形でしかあなたを助ける事が出来なくて・・・」
その言葉に驚きつつも私は聞き返した。
「ど、どういう意味ですか?
助けるって一体どういう事なんですか!?
」
動揺しながら尋ねると先輩は悲しげな表情で見つめてきた。
そんな彼女にドキドキしているといきなり唇を重ねられたのだ!
あまりの衝撃的な出来事に頭が真っ白になっていると、今度は服の中に手を入れてきて直に胸を●んできたのだ!
その瞬間我に返った私は慌てて突き放そうとしたがビクともしなかった。
それどころかさらに強く抱き締められてしまったのだ。
まるで自分の存在を確かめているかのように・・・。
しばらくして唇を離すとそのまま私の耳元に顔を近づけて囁いた。
「お願い・・・このまま大人しくしていてちょうだい」
それだけ言うと再びキ●をしてきた。
しかも先程とは違い舌を絡ませる濃厚なキ●だったので抵抗する事も出来ずされるがままになっていた。
しばらくすると満足したのか唇を離した時には既に体に力が入らなくなっていた。
そんな私を支えながら優しく微笑む先輩に見惚れていると不意に視界が真っ暗になってしまった!
驚いたのも束の間、今度は柔らかい感触が伝わってきたので目を閉じていると耳元から先輩の声が聞こえてきた。
「大丈夫よ、すぐに終わるからね・・・」
その直後首筋にチクッと痛みが走ったかと思うと意識が遠のいていったのだった・・・。
薄れゆく意識の中で最後に聞こえたのは聞き覚えのある声だった。
(お、お前は・・・)
しかしそれが誰だったのか思い出す前に私の意識は完全に途切れてしまった・・・。
次に目を覚ました時、最初に目に飛び込んできたのは知らない天井だった。
ボーっとする頭で周囲を見回してみるとそこはどこかの部屋のようだった。
そこでふとある疑問が浮かんだ。
(あれっ?
ここどこだろう??
確か私は先輩と会って話をしていたはずなんだけど・・・それでその後どうなったんだっけ?
)
そんな事を考えていると部屋のドアが開いて誰かが入ってきたのだ!
ビックリして目を向けるとそこにいたのはなんと夫の姿だったのである!
訳が分からず混乱していると彼が近づいてきてこう言ってきた。
「目が覚めたようだな・・・」
その声に反応するように顔を向けると彼はニヤリと笑って言った。
「気分はどうだ?
」
「えっ?
あ、あの・・・ここはどこですか?
それにあなたは一体・・・」
戸惑いながら質問すると彼は呆れた顔で答えてくれた。
「おいおい、まだ寝ぼけているのかよ?
ここは俺とお前の愛の巣だろぉ~がよぉ~」
「へっ!?
な、何を言って・・・そ、それより私達離婚したはずですよね?
それなのにどうしてあなたがここに居るんですか!?
」
困惑しながらも何とか反論してみたのだが彼は平然とした顔でこう言った。
「ああ、それなら心配しなくてもいいぞ?
ちゃんと弁護士を通して正式に受理されたからな」
「ど、どういうことですか!?
何で勝手にそんな事を・・・ま、まさか私が寝ている間にやったんですか!!
」
「おう!
その通りだぜ♪いやぁ~大変だったんだぞぉ~?
何せお前がなかなか起きないからさぁ~仕方なく●を使って眠らせたんだよ♪」
「なっ・・・なんて事をしてくれたのよ!!
そんなの犯罪じゃない!!
」
怒りに任せて叫ぶと彼が鼻で笑いながら言ってきた。
「ふん、何が犯罪だ!
そもそも先に裏切ったのはお前だろうが!!
」
「うっ・・・で、でもあれは仕方なかったんです!
だってあの人ったら毎日のように求めてきて全然満足してくれなかったからつい魔が差してしまったというかなんというか・・・」
必死に言い訳をしていると夫が近寄ってきた。
そして私をベッドに押し倒しながら耳元で囁いてきた。
「安心しろよ、これからは俺が毎日相手してやるからさ!
」
そう言いながら服を●がそうとしてくる彼に恐怖を感じた私は必死で抵抗しようとしたけど力では敵わず結局最後までされてしまったのだった・・・。
それから数日後、私達は結婚しました。
もちろん相手は彼です。
あれからすぐに籍を入れたのですが、夫は私に優しかったのです。
これまでのような束縛もなく自由にさせてくれました。
おかげで今は仕事にも復帰出来て充実した日々を過ごしています。
ただ一つだけ不満があるとすれば、
毎晩のように求められてしまう事でしょうか。
夫はこの春に転勤で越してきたばかりのサラリーマンだ。
結婚して三年になるが、まだ子供はいない。
夫の両親と同居しており、仲は良いと思う。
夫も優しいし、不満はない。
ただひとつ、夫が出張の時を除いて毎日セッ●スを求めてくることを除けば……。
「お義母さん、おはようございます」
朝食の準備のために台所に向かうと、義母のミヨさんがテーブルを拭いていた。
「あら、おはよう。
今日は早いのね」
「ええ、今日から出張なので……」
「そう、気を付けていってらっしゃい」
義母は私を見ると微笑んだ。
私もつられて微笑む。
義母は私にとって理想の母親像だった。
義父のタカさんは寡黙な人で、あまり話したことはないけれど、悪い人ではないと思っている。
いつもにこにこしていて、家族想いのいい人だ。
「あ、そうだわ。
これ、昨日焼いたクッキーなんだけど、良かったら食べてちょうだい」
そう言って差し出された紙袋の中には、可愛らしい包装紙に包まれた箱が入っていた。
「いいんですか?
ありがとうございます!
」
お礼を言って受け取ると、その重みからして結構入っているようだ。
「そんなに気を遣わなくていいのよ。
うちの旦那なんか、私が作ったお菓子なんて全然食べないんだから」
少し拗ねたように唇を尖らせる仕草が可愛らしくて、思わず笑ってしまう。
「あはは、それはきっと、タカさんもミヨさんの手作りだからですよ。
それに、こんなに美味しいもの、食べない方が勿体ないです」
「……ありがとう。
それじゃあ、行ってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
玄関を出て車に乗り込むと、運転席に座る夫と目が合った。
「おはよう」
「うん、おはよう」
彼はそれだけ言うとすぐに視線を前に戻す。
「忘れ物ない?
」
「大丈夫。
ちゃんと確認したから」
「そっか」
短い会話の後、車内には沈黙が流れる。
(気まずいなぁ……)
別に喧嘩をしているわけではないのだが、最近ずっとこんな調子なのだ。
きっかけは些細なことだったが、お互い意地を張ってしまい、今日まで仲直りできていなかった。
ちらりと横目で彼を見る。
彼の視線は相変わらず前方を向いていて、何を考えているのか分からなかった。
そのまま特に会話をすることもなく会社に着くと、私達はそれぞれの部署へと向かった。
仕事中も何となく集中できなくて、何度も時計を見たり、意味もなく席を立ったりしてしまっていた。
その度に上司に注意されて、同僚達に笑われた。
そんな調子で一日の仕事を終えた頃には、すっかり疲れてしまっていた。
「はぁ……」
溜息をつく私の肩を誰かが叩いた。
振り返ると、そこには同期の男性社員が立っていた。
「お疲れ様。
どうしたの?
元気ないみたいだけど」
彼は心配そうに私の顔を覗き込んだ。
私は慌てて笑顔を取り繕う。
「ううん、何でもないよ!
ちょっと疲れただけ」
そう言うと、彼は安心したように笑った。
「それならいいけどさ。
あんまり無理するなよ?
」
ぽんっと軽く頭を叩くようにして撫でられる。
「うん、ありがとう」
笑顔で返すと、彼も嬉しそうに笑ってくれた。
そして、自分のデスクへと戻っていった。
「……よし!
」
気合いを入れ直してパソコンに向き合う。
すると、ポケットの中でスマホが震えた。
画面を確認すると、彼からメッセージが届いていた。
『今日何時くらいに帰れそう?
』という簡素な内容だった。
『八時くらいかな』
短く返信をして、再びキーボードを打ち始める。
早く仕事を終わらせて家に帰ろう。
そして、彼とゆっくり話がしたい。
そう思った。
「ただいまー」
玄関のドアを開けると、カレーの匂いがした。
どうやら彼が先に帰っているようだ。
靴を脱いでリビングに入ると、キッチンに立つ夫の後ろ姿が見えた。
「おかえりなさい」
振り返って笑顔を見せる彼に、私も笑顔を返す。
「今日は早かったんだね」
「ああ、うん。
仕事が思ったよりも早く片付いたんだ」
「そうなんだ」
そこで会話が途切れてしまう。
何か話さなければと思うのだが、上手く言葉が出てこない。
結局何も言えないまま、夕食の時間になった。
食卓の上に並べられたのは、カレーライスだった。
二人揃って手を合わせて、いただきますと言う。
スプーンで一口分掬って口に運ぶと、スパイシーな味が口いっぱいに広がった。
とても美味しいはずなのに、どこか味気なく感じてしまうのは何故だろう。
食事を終え、後片付けを済ませると、いよいよすることがなくなってしまった。
いつもならこの後テレビを見ながらお喋りをしたり、ゲームをしたりして過ごすのだが、今はそんな気分にもなれない。
(どうしよう……)
ソファーの上で膝を抱えて座っていると、夫が隣に座ってきた。
「ねえ、何かあった?
」
突然の質問に驚いて顔を上げる。
夫は真剣な表情をしていた。
「え……?
」
「だって、ずっと浮かない顔してるからさ。
俺、心配なんだよ」
そう言って私の手に自分の手を重ねる。
「悩みがあるなら相談に乗るし、愚痴ならいくらでも聞くよ?
」
その言葉に、胸が締め付けられるような感じがした。
「……私、もう我慢できない!
」
気付いた時には叫んでいた。
驚いたように目を見開く夫を真っ直ぐに見つめる。
「どうして我慢する必要があるの?
好きなら好きって言えばいいじゃない!
なんで隠そうとするの!?
」
「チヨコ……」
「私にはあなたの気持ちが分からない!
あなたはいつも何も言わないんだもの!!
」
一度溢れ出した言葉は止まらなかった。
涙と一緒にぽろぽろと零れ落ちていく。
「あなたが何考えてるのか、全然分かんないよ……!
」
叫ぶように言って俯く私に、彼は優しく言った。
「……ごめん」、「他の男に抱かれてほしい・・・」
なんて言われて喜ぶ女はいないと思う・・・いや・・いるかもしれないけど・・・・少なくとも私は喜ばない・・・。
なんであんな事言われたんだろう・・・??
もう1ヶ月以上も前の出来事なのに思い出すたびに涙がこぼれそうになる。
あれは忘れもしない3月13日のこと・・・・・ ***
***
3月12日のお昼頃のことだった。
その日は日曜日で仕事は休みだったので午前中は部屋の掃除や洗濯などをしていたんだけど午後からは暇になってしまったから久しぶりに実家へ帰ることにしたのだ。
2年前に結婚した時に実家を出て一人暮らしを始めたけどたまには両親の顔を見たいと思っていたからだ。
それにもうすぐ子供が産まれるから出産前にもう一度会っておきたかったというのもある。
1年ぶりに会った両親は相変わらず元気そうで、特にお母さんは妊娠8か月目だというのに以前と変わらない感じでビックリしてしまった。
お父さんと2人で居酒屋に行って朝まで飲んでたとか、旦那さんの悪口ばかり言ってるようなイメージがあったんだけど実際は毎日散歩したり買い物に行ったりと結構アクティブに過ごしてるらしい。
まぁ私が知らないだけで色々あったんだろうけどね・・・。
そんな訳で久しぶりの実家を満喫していたのだけど、夕方頃に母が言った一言が私を困惑させたのだった。
「そういえばアンタ、結婚生活はどうなのよ?
」
「えっ?
」
いきなりそんな事を聞かれて思わず聞き返してしまった。
母は少しニヤニヤしながらこっちを見ている。
「だからぁ~、今の彼氏と結婚してからどうなのかって聞いてるのよ~」
「・・・どうって言われても別に普通だよ?
今年に入ってからまだ一度もエ●チしてないもん・・・。
」
そう、私と彼は結婚してからも月に1~2回程度しかエ●チしていないのだ。
しかも、挿●無しで終わる事もしばしば・・・。
「えぇっ!?
それってもしかして倦怠期ってやつじゃないの??
」
「ん~~・・どうだろう?
別に嫌いになった訳じゃないし不満がある訳でもないんだけどね」
そう答えると母は呆れた顔をして大きなため息をついた。
そして諭すような口調で話し始めた。
「あのね、夫婦っていうのはお互いに支え合ってこそなんだから相手の事を思いやる気持ちが無いとダメでしょ?
それなのにセックスレスだなんて信じられないわ」
「そ、それはそうだけどさぁ・・・」
「だいたい貴女は昔から恋愛に関しては奥手で鈍感過ぎるんだから!
学生時代なんか告白されても『好きな人がいる』って言って断り続けてたじゃない!
」
「うっ!
」
「社会人になってからだってそうよ!
職場の飲み会に誘われても絶対に行かないって言うし!
」
「うぅぅっ!
」
「挙げ句の果てには婚活パーティーにまで行ったくせに結局誰とも付き合わなかったでしょう?
」
「だ、だってぇ・・・」
そこまで言うと母は今度は悲しそうな顔をした。
そして私の手を握りながら優しい声で言った。
「でもね、やっと幸せになれたんでしょう?
だったらその幸せを大事にしなきゃダメよ?
分かったわね?
」
「うん・・・ありがとう母さん」
母の言葉で私の心が温かくなっていくのを感じた。
やっぱりこの人の娘になって良かったなぁと思った瞬間だった。
それからしばらく話をしてそろそろ帰ろうかと思った時だった。
母がまたとんでもないことを言い出したのだ。
「そうそう、そう言えば今度お隣の山田さん家の奥さんが赤ちゃんを産むんだって!
」
「へぇ~そうなんだぁ」
正直あまり興味が無かったので適当に返事をしているとさらに衝撃的な言葉を聞いてしまった。
「でね、産まれたらウチにも見せに来るって言ってたわよ」
「へっ?
ウチの子を見せにくるの?
」
「ええ、何でも『ぜひうちの子を抱かせてあげたい』って張り切ってたわ!
」
それを聞いて私の顔が引きつったのが分かった。
何故ならこのセリフには心当たりがあったからだ。
そう、あの言葉である。
((お前の子供を、抱かせてくれ))
あの言葉が頭の中で再生された。
それと同時にあの時の光景を思い出してしまい体が震えだした。
「ど、どうしたのよ急に顔色が悪くなってるわよ!?
」
「う、ううん!
なんでもない!!
それじゃあ私もう行くね!!
」
そう言うと慌てて玄関へ向かった。
後ろから何か言っているようだったけど聞こえないフリをして逃げるように家を後にしたのだった。
そしてその夜・・・ 私はベッドの上で一人悩んでいた。
(もし本当にあの子を連れてくるつもりならどうすればいいのかなぁ・・・)
もちろん会わせるつもりは無いし向こうの家に返すつもりだ。
でももしもの時の為に心の準備をしておかなければならないと思ったのだ。
だけどどうすれば良いのか分からないまま時間だけが過ぎていくのだった・・・。
次の日の仕事中もその事が頭から離れず仕事どころではなかった。
ミスはしなかったものの上の空になってしまい何度も注意されてしまった。
そんな調子で昼休みになりお弁当を食べようとした時スマホが鳴った。
見ると彼からだった。
「もしもし、どうしたn・・・」
『あ ゙~~~!!!
俺のチヨコタンマミコちゃんんんんんん!!!!
今すぐ会いたいよぉぉぉぉ!!!!!!!!
』
ブツッ!!
ツーッツーッ・・・・プーップーップーッ・・・
(き、切られた・・・?
というか最後何て言ってたんだろ??
)
あまりにも酷い内容だったので何を言っていたのか聞き取れなかったけどとにかく変な事は言っていなかった気がする・・・。
気を取り直してメールを見るとこう書いてあった。
『今度の土曜日にそっちに帰る事になったから会おうぜ!
』
それを見て一瞬ドキッとした。
まさか昨日の話をしてくるんじゃないかと身構えてしまったのだ。
しかしよくよく考えてみれば彼と会う約束はしていなかったはずだと思い直しホッと胸を撫で下ろした。
(ふぅ・・・焦ったぁ~、とりあえず会う約束をしてるわけじゃないから断る理由も無いよね)
そう思ったのは間違いだったと気付くのはもう少し先の事だった・・・。
そして次の日の朝、会社に行くと彼が話しかけてきた。
「よう、おはよう」
「あっ、おはようございます」
いつもの様に挨拶を交わす私達だったが次の瞬間彼がとんでもない事を言ってきたのだ。
「ところでさ、この前の話なんだけど考えてもらえたか?
」
「・・・はい?
」
意味が分からず聞き返す私に彼は不思議そうな顔をした。
「おいおい、忘れたのかよ?
子供が欲しいって話だろ?
」
「え・・・ええっ!?
」
それを聞いた瞬間に頭が真っ白になってしまった。
(こ、この人は何を言ってるの!?
冗談にしても酷すぎるよぉ~!
)
あまりのショックで固まっている私をよそに彼は話を続ける。
「実は昨日帰ってから嫁に相談したら大喜びでな!
さっそく予定日やら名前やらを考えてたんだよ!
それで今日帰ったら早速病院に行ってくるんだ♪」
楽しそうに話す彼の顔を見て目の前が真っ暗になっていくような気がした・・・。
もう何も考えられなかった私はフラフラした足取りで自分の席へと向かい力なく椅子に座った。
すると隣の席にいた同僚が声をかけてきた。
「あれ?
大丈夫?
体調悪いなら医務室に行った方がいいんじゃない?
」
心配そうに言う彼女に何とか笑顔を作って答えた。
「大丈夫だよ♪ちょっと寝不足なだけだから気にしないで」
そう言って誤魔化したけど本当は全然大丈夫じゃなかった。
なぜなら頭の中は昨夜の事でいっぱいだったからだ。
(どうしよう・・・このままじゃ取り返しのつかない事になるかもしれない・・・)
そんな考えが頭をよぎったけどすぐに振り払った。
だって私にはどうすることも出来ないのだから・・・。
ただ黙って成り行きに任せるしかないと思っていたその時だった・・・。
ブーッ!
ブーッ!
ブーッ!
突然バイブが鳴り出したので驚いて画面を見るとそこには夫の名前が表示されていた。
それを見た瞬間心臓が跳ね上がるような感覚に襲われた。
そして恐る恐る電話に出ると聞こえてきたのは彼の声だった。
『おっ、繋がった!
チヨコ!、聞いてくれよ♪さっき病院に行ってきたんだけどさ、どうやら俺の息子は女の子らしいんだよ!
いやぁ~今から楽しみだなぁ~♪』
まるで遠足前の子供のようにはしゃぐ彼に思わず眩暈がしてきた。
それでもなんとか声を絞り出して言った。
「そ、そうなんですね・・・おめでとう御座います」
それだけ言うと電話を切った。
その直後に深いため息をついて机に突っ伏してしまった。
周りから心配そうな声が聞こえてきたけど返事をする気力も湧かなかった。
それからしばらくしてようやく気持ちが落ち着いてきたので顔を上げて窓の外を見た。
空はどんよりと曇っていて今にも雨が降り出しそうだった。
(はぁ・・・今日は残業せずに早く帰ろうかな・・・)
そんな事を考えながら再びため息をつくのだった・・・。
そしてその日の夜、いつものようにお風呂上がりで髪を乾かしていた時だった。
突然電話が鳴り出したのだ。
こんな時間に誰だろうと思いながら出るとなんと相手は夫だったのだ!
慌ててドライヤーを止めて電話に出た。
「もしもし?
」
『おう、俺だ』
「どうしたの?
何かあったの??
」
『いや、別に何もねぇけどさ・・・声が聞きたくなったっていうかなんて言うかさ・・・まぁいいや、それよりお前今何してんの?
』
「えっ!?
えっとぉ・・・お風呂に入ってるところだけど・・・」
咄嗟に嘘をついたのだが彼は特に気にする様子も無く話し始めた。
『そっか、じゃあ邪魔しちゃ悪ぃし切るわ』
そう言って電話を切ろうとする彼を私は呼び止めた。
「ま、待って!
」
『ん?
どした?
』
「い、いえ・・・その・・・何でもないです」
自分でもどうして呼び止めてしまったのか分からない。
でも何となくこのまま切りたくなかったのかもしれない。
そのまま少し沈黙が続いたが彼が先に口を開いた。
『なぁ、明日って暇か?
』
「へっ?
あ、うん・・・一応休みですけど・・・」
いきなり聞かれて驚いたけど明日は仕事が休みの日なので正直に答えると彼は嬉しそうな声で言った。
『おおっ!
そうかそうか!
それなら良かったぜ!
』
何が良かったんだろうと思っていると続けてこう言った。
『実はさ、久しぶりに飲みに行きてぇなって思い始めてんだけど一緒にどうだ?
』
それを聞いてドキッとした。
何故ならそれは私と彼との最初のデートと同じシチュエーションだったからである。
あの時はまだ付き合ってすらいなかったんだけどね・・・。
(そう言えばあの時もこんな感じで誘われたんだっけ・・・)
懐かしさに胸を熱くさせていると彼が急かすように言った。
『おい、どうなんだよ?
行くのか行かねえのかハッキリしろよ』
その言葉にハッとして慌てて返事をした。
「行きます!
」
そう答えると彼は嬉しそうに言った。
『よし決まりだな!
それじゃあ場所は後で連絡するから楽しみに待っとけや!
』
そして今度こそ本当に電話を切った。
私はしばらく呆然としていたがハッと我に返って急いで出かける準備を始めた。
(ど、どうしよう・・・こんなことになるなんて思わなかったよぉ~)
心の中で後悔しながら準備を進めるのだった・・・。
***
そして翌日、私は駅前にある居酒屋の前で待っていた。
時間は19時45分を過ぎたところだ。
お店に入ると店員に案内されて個室に入った。
中に入るとすでに夫が座っていて私を見るなり手を振っていた。
私も軽く会釈してから彼の対面に座ることにした。
「おっす!
久しぶり~」
軽いノリで話しかけてくる彼に対して私はぎこちなく笑いながら返した。
「う、うん・・・ひ、久しぶりだね・・・」
ぎこちない返事に違和感を感じたのか夫は怪訝な顔をしながら聞いてきた。
「ん?
どうかしたのか?
」
「ううん、なんでもないよ」
そう言って誤魔化すとメニュー表を見て注文する料理を選び始めた。
その間ずっと夫の視線を感じていたけど気付かないフリをしてやり過ごした。
やがて店員さんを呼んで料理を注文すると今度は彼から話しかけてきた。
「それにしてもまさかお前が来てくれるとは思わなかったぜ」
「そ、そうかな?
私だってたまには息抜きしたい時があるんだよ?
」
笑顔でそう返すと彼も納得したようだった。
その後は特に会話もなく運ばれてきた料理を食べていった。
そして食事が終わるとお互いビールを飲みながら雑談をしていた。
しばらくすると彼が思い出したように言ってきた。
「そうだ、忘れるところだった!
お前にプレゼントがあるんだった」
「えっ、私にですか?
」
意外な言葉に驚いているとカバンの中から何かを取り出してテーブルの上に置いた。
それを見た瞬間私の心臓は飛び跳ねそうになった。
(こ、これって・・・もしかしてアレなんじゃ・・・)
私が固まっているのを見て不思議そうな表情をする彼だったがすぐに笑顔になって言った。
「ほら、開けてみろよ」
そう言われて震える手で包装紙を開けていくとその中身は予想通り避●具の箱だった・・・。
しかも1箱ではなく3つも入っていたのだ。
それを見て私は絶句してしまった。
そんな私を見ながらニヤニヤしている夫の顔を見て確信した。
この人は最初からこのつもりだったのだと・・・
「どうしたんだよ黙り込んで?
嬉しくないのか?
」
「え、ええ・・・嬉しいです・・・」
何とか平静を装って答えてみたが正直言ってあまり嬉しいとは思えなかった。
もちろん避妊の為の道具なのは分かっているけどそれを夫の目の前で開封するのはかなり抵抗があったからだ。
しかし彼はさらにとんでもない事を言い出した!
「ああそれとな、実はもう一個あるんだわ」
「・・・・へ?
」
もう一個?
それってつまり2個ってことだよね?
一体どういうことなんだろうと思っていると彼が鞄から同じ物を取り出した。
そして同じようにテーブルに置くと私に見せびらかすようにヒラヒラさせながら言ってきた。
「これなんだけどさ、俺の知り合いに頼んで作ってもらった特注品なんだぜぇ~♪凄いだろ♪」
得意げに言う彼の言葉が耳に入らないくらい私はショックを受けていた。
なぜなら目の前に置かれた物がどう見ても男性用の貞●帯だったからだ・・・。
それもご丁寧に鍵まで付いているので簡単には外せないようになっているようだ。
(こ、この人本気なの!?
こんなの着けたら絶対に我慢出来なくなっちゃうじゃない!!
)
そんな事を考えていると突然彼の手が伸びてきて私の手を掴んできた!
驚いてビクッと体を震わせると耳元で囁かれた。
「なぁ・・・そろそろいいだろ?
俺さぁ・・・お前の事が好きなんだよ・・・だから頼むよ、コレを着けてくれ!!
」
そう言って貞●帯を握らせてきた。
その手はかなり汗ばんでおり興奮しているのが伝わってくるほどだった。
そんな彼を見て恐怖を感じてしまったがそれと同時に体が熱くなっているのを感じた。
きっとアルコールのせいだろうと自分に言い聞かせながら必死に耐えていたが遂に限界を迎えてしまったのだ・・・。
「す、すいません!
やっぱり無理ですぅぅぅ!!!
」
大声で叫ぶように言うと部屋を飛び出していった。
背後から夫の叫び声が聞こえてきたけど振り返る事なく走り続けた。
そして店から少し離れた所にあった公園に入ってベンチに座り込んだ。
(はぁ・・・どうしてこんなことに・・・)
ため息をつきながらもこれからどうするか考えていたその時だった。
誰かが近付いてくる気配を感じたので顔を上げるとそこには見知った顔の人物が立っていたのだ。
その人物とは他でもない同僚だったのだ。
彼女は私を見ると安心したように微笑んで声をかけてきた。
「良かったぁ~!
やっと見つけたよ!
」
彼女の姿を見て一瞬ホッとしたのだがすぐに表情を引き締めて言った。
「ど、どうしてここが分かったの!?
」
すると彼女は少し言いづらそうにしながらも教えてくれた。
どうやら会社を出た後からずっと私を尾行していたらしい・・・。
それを聞いた私はゾッとしたと同時に背筋が凍るような感じがした。
何故なら彼女がここにいるということは当然夫も知っているはずだと思ったからである。
そう思った瞬間急に不安が込み上げてきたが彼女に気付かれないように平然を装った。
そんな私の心の内を知らない彼女は心配そうに話しかけてきた。
「ねぇ、何があったの?
よかったら相談に乗るわよ?
」
そう言ってくれる彼女を見て思わず泣きそうになったがグッと堪えて答えた。
「だ、大丈夫だよ!
ちょっと飲み過ぎちゃっただけだから気にしないで」
なんとか笑顔を取り繕ってそう言うと彼女もそれ以上は何も聞いてこなかった。
それからしばらくの間沈黙が続いたが突然彼女が口を開いた。
「あっ、そうそう!
さっきスマホにメッセージが届いたんだけど見てみない?
」
その言葉にドキッとしたが断る理由もないので了承して確認することにした。
そして届いたメッセージを確認するとそれは夫からのものだった。
その内容は『今すぐ家に来い』というものだった。
それを見た瞬間に全身が震えだした・・・。
(い、家って・・・も、もしかしてバレたんじゃ!?
)
そんな事を考えながら呆然としていると彼女が心配そうな顔で覗き込んできた。
「どうしたの?
大丈夫??
」
「う、うん・・・平気だよ」
無理やり笑顔を作って答えると立ち上がりながら言った。
「それじゃあ私帰るね!
」
逃げるようにその場を後にすると駅に向かって歩き出した。
その途中何度も振り返ってみたがやはり追いかけて来る様子はなかった。
ホッと一安心して改札を抜けようとした時だった!
突然後ろから誰かに抱きつかれてしまったのである!
突然の事にパニックになりかけたがすぐに冷静さを取り戻した。
何故なら相手が誰なのか分かっていたからだ。
恐る恐る振り返るとそこに立っていたのは私の上司である女性社員だった。
「せ、先輩・・・どうしたんですか?
」
そう聞くと彼女は何も言わずに体をまさぐり始めた。
最初は何をやっているのか分からなかったけど次第に理解し始めた。
そして理解した途端に顔が青ざめていくのが分かった。
それでも何も言えずに黙っているとようやく先輩が口を開いた。
「ごめんなさいね、こんな形でしかあなたを助ける事が出来なくて・・・」
その言葉に驚きつつも私は聞き返した。
「ど、どういう意味ですか?
助けるって一体どういう事なんですか!?
」
動揺しながら尋ねると先輩は悲しげな表情で見つめてきた。
そんな彼女にドキドキしているといきなり唇を重ねられたのだ!
あまりの衝撃的な出来事に頭が真っ白になっていると、今度は服の中に手を入れてきて直に胸を●んできたのだ!
その瞬間我に返った私は慌てて突き放そうとしたがビクともしなかった。
それどころかさらに強く抱き締められてしまったのだ。
まるで自分の存在を確かめているかのように・・・。
しばらくして唇を離すとそのまま私の耳元に顔を近づけて囁いた。
「お願い・・・このまま大人しくしていてちょうだい」
それだけ言うと再びキ●をしてきた。
しかも先程とは違い舌を絡ませる濃厚なキ●だったので抵抗する事も出来ずされるがままになっていた。
しばらくすると満足したのか唇を離した時には既に体に力が入らなくなっていた。
そんな私を支えながら優しく微笑む先輩に見惚れていると不意に視界が真っ暗になってしまった!
驚いたのも束の間、今度は柔らかい感触が伝わってきたので目を閉じていると耳元から先輩の声が聞こえてきた。
「大丈夫よ、すぐに終わるからね・・・」
その直後首筋にチクッと痛みが走ったかと思うと意識が遠のいていったのだった・・・。
薄れゆく意識の中で最後に聞こえたのは聞き覚えのある声だった。
(お、お前は・・・)
しかしそれが誰だったのか思い出す前に私の意識は完全に途切れてしまった・・・。
次に目を覚ました時、最初に目に飛び込んできたのは知らない天井だった。
ボーっとする頭で周囲を見回してみるとそこはどこかの部屋のようだった。
そこでふとある疑問が浮かんだ。
(あれっ?
ここどこだろう??
確か私は先輩と会って話をしていたはずなんだけど・・・それでその後どうなったんだっけ?
)
そんな事を考えていると部屋のドアが開いて誰かが入ってきたのだ!
ビックリして目を向けるとそこにいたのはなんと夫の姿だったのである!
訳が分からず混乱していると彼が近づいてきてこう言ってきた。
「目が覚めたようだな・・・」
その声に反応するように顔を向けると彼はニヤリと笑って言った。
「気分はどうだ?
」
「えっ?
あ、あの・・・ここはどこですか?
それにあなたは一体・・・」
戸惑いながら質問すると彼は呆れた顔で答えてくれた。
「おいおい、まだ寝ぼけているのかよ?
ここは俺とお前の愛の巣だろぉ~がよぉ~」
「へっ!?
な、何を言って・・・そ、それより私達離婚したはずですよね?
それなのにどうしてあなたがここに居るんですか!?
」
困惑しながらも何とか反論してみたのだが彼は平然とした顔でこう言った。
「ああ、それなら心配しなくてもいいぞ?
ちゃんと弁護士を通して正式に受理されたからな」
「ど、どういうことですか!?
何で勝手にそんな事を・・・ま、まさか私が寝ている間にやったんですか!!
」
「おう!
その通りだぜ♪いやぁ~大変だったんだぞぉ~?
何せお前がなかなか起きないからさぁ~仕方なく●を使って眠らせたんだよ♪」
「なっ・・・なんて事をしてくれたのよ!!
そんなの犯罪じゃない!!
」
怒りに任せて叫ぶと彼が鼻で笑いながら言ってきた。
「ふん、何が犯罪だ!
そもそも先に裏切ったのはお前だろうが!!
」
「うっ・・・で、でもあれは仕方なかったんです!
だってあの人ったら毎日のように求めてきて全然満足してくれなかったからつい魔が差してしまったというかなんというか・・・」
必死に言い訳をしていると夫が近寄ってきた。
そして私をベッドに押し倒しながら耳元で囁いてきた。
「安心しろよ、これからは俺が毎日相手してやるからさ!
」
そう言いながら服を●がそうとしてくる彼に恐怖を感じた私は必死で抵抗しようとしたけど力では敵わず結局最後までされてしまったのだった・・・。
それから数日後、私達は結婚しました。
もちろん相手は彼です。
あれからすぐに籍を入れたのですが、夫は私に優しかったのです。
これまでのような束縛もなく自由にさせてくれました。
おかげで今は仕事にも復帰出来て充実した日々を過ごしています。
ただ一つだけ不満があるとすれば、
毎晩のように求められてしまう事でしょうか。
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