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第三章・我校引線
8話 いつだって、子を思う親はマジ最強
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出水は目覚めると、真っ白な部屋にいた。
「鏡の間…?何の用だクソ柱」
鏡の柱がニヤニヤと出水に笑いかける。
「貴方に討伐案件を渡します」
「は?…今は忙しいからダメだ。他を当たってくれ」
「貴方が探している黒幕が、討伐の対象なんですがね…」
その言葉に出水は、帰ろうと背後をむきかけた視線を鏡の柱に戻した。
「…本当か?」
「はい。恐らく、今回の討伐案件の敵は、貴方がこれまで出会った中で1番残虐な敵になるでしょうねぇ…殺した方が世の中のためになるんですよそいつは」
「…実際見てから考える」
出水はそう言うと、今度こそ背を向けて出ていった。
「本当にいいのですか?奴の討伐案件を出して…」
鏡の柱は、そばの虚空に向かってそう言った。すると、そこに黒いモヤのようなものが溢れ、そこから一つの人影が姿を表した。それは文字通り影のような存在であり、漆黒の衣服を着ている漆黒の男であった。
「いい。奴は少々手が過ぎるからねぇ、それに、殺した方が面白い。だろ?柱」
「そうですね…フフフフ!」
朝、出水は布団から身を起こすと、ぼりぼりと頭を掻いて洗面台に向かった。そして水を頭にかけて寝癖をなおし、事務所の机で琵琶持ちが作ってくれた朝食を食べ、また寝癖をなおし、制服に素早く着替える。
「よし、琵琶持、行こうか」
「わかりました」
車に乗り、学校の近くで降ろしてもらうと、出水は今日の予定を反芻し始めた。
今日出水がやること、それは狩野の調査である。出来るだけ狩野の身の回りを探り、出来れば能力の有無、そして時墺について知りたい。それと、敵を殺すか殺さないかを決める。
そんなことを考えていると、いつの間にか学校についていた。
「さて、潜入、と行きますか」
出水は大きく体を伸ばすと閘門を潜った。
「一限目…美術か」
教室の中で出水は1人でワクワクしていた。美術は好きだ。理由は、何も考えずに没頭できるからだ。ただ、自分の心のまま、景色のまま、緻密な筆運びを行う。それが出水に取ってはなかなか楽しい。
美術室に行き、そこでスケッチブックを受け取った出水は、誰もいない植物園で写生を始めた。
そして、数分経過した後、不意に背後に気配を感じた出水は、立ち上がって後ろを見た。
背後にいたのは、黒のジャージを着た能面の男だった。
「…一身上の都合により、貴方を殺す。悪いとは思っている」
男はそれだけ言うと、スタンガンを取り出し、出水の方に走り寄ってきて、それを勢いよく突き出してきた。
それを懐から出したトンファーで軽くいなすと、出水は自分の空いている左拳を男の腹に入れた。
「ぐぶっ…!」
出水はため息をついた。
「舐めんなよ私を」
痛みに悶絶して地面に転がる男を出水は見下ろした。
「こ、こんなのっ…痛くなんか…ないっ‼︎」
男はふらふらと立ち上がると、またスタンガンを構えた。
「『バスケットアイズ』‼︎」
男がそう叫ぶと、男の背後から急にバスケットボールが『落ちた』。落ちたボールは地面に弾み、柔らかな曲線を描いてまた地面へと落ちてゆく。そしてボールは『2つになった』。出水の目にはそう見えた。突然にボールが1つ増えたのだ。ボールは弾むごとにバクテリアのように増殖し続ける。
「『アイズ・シュート』‼︎」
男がそう言い放つと、出水の側で弾んでいるボールの目の模様から、突然レーザーが出た。
「…ッ‼︎マジかよ‼︎」
出水はそれを体を捻ってなんとかかわし切った。
「『アイズ』第二波‼︎」
そしてまたもや出水の近くのボールからレーザーが射出される。
「俺はな、高校生の頃に鏡の柱からこの能力を授かった」
男は、レーザーから逃げ惑う出水を見て呟く。
「当時の俺はバスケが好きだったからこんな能力を貰えたんだろう。まぁ、その後怪我して二度とバスケットボールなんて見たくなくなったんだが…」
男は出水に向かって指を差した。
「息子のためだ。お前を殺す‼︎」
「鏡の間…?何の用だクソ柱」
鏡の柱がニヤニヤと出水に笑いかける。
「貴方に討伐案件を渡します」
「は?…今は忙しいからダメだ。他を当たってくれ」
「貴方が探している黒幕が、討伐の対象なんですがね…」
その言葉に出水は、帰ろうと背後をむきかけた視線を鏡の柱に戻した。
「…本当か?」
「はい。恐らく、今回の討伐案件の敵は、貴方がこれまで出会った中で1番残虐な敵になるでしょうねぇ…殺した方が世の中のためになるんですよそいつは」
「…実際見てから考える」
出水はそう言うと、今度こそ背を向けて出ていった。
「本当にいいのですか?奴の討伐案件を出して…」
鏡の柱は、そばの虚空に向かってそう言った。すると、そこに黒いモヤのようなものが溢れ、そこから一つの人影が姿を表した。それは文字通り影のような存在であり、漆黒の衣服を着ている漆黒の男であった。
「いい。奴は少々手が過ぎるからねぇ、それに、殺した方が面白い。だろ?柱」
「そうですね…フフフフ!」
朝、出水は布団から身を起こすと、ぼりぼりと頭を掻いて洗面台に向かった。そして水を頭にかけて寝癖をなおし、事務所の机で琵琶持ちが作ってくれた朝食を食べ、また寝癖をなおし、制服に素早く着替える。
「よし、琵琶持、行こうか」
「わかりました」
車に乗り、学校の近くで降ろしてもらうと、出水は今日の予定を反芻し始めた。
今日出水がやること、それは狩野の調査である。出来るだけ狩野の身の回りを探り、出来れば能力の有無、そして時墺について知りたい。それと、敵を殺すか殺さないかを決める。
そんなことを考えていると、いつの間にか学校についていた。
「さて、潜入、と行きますか」
出水は大きく体を伸ばすと閘門を潜った。
「一限目…美術か」
教室の中で出水は1人でワクワクしていた。美術は好きだ。理由は、何も考えずに没頭できるからだ。ただ、自分の心のまま、景色のまま、緻密な筆運びを行う。それが出水に取ってはなかなか楽しい。
美術室に行き、そこでスケッチブックを受け取った出水は、誰もいない植物園で写生を始めた。
そして、数分経過した後、不意に背後に気配を感じた出水は、立ち上がって後ろを見た。
背後にいたのは、黒のジャージを着た能面の男だった。
「…一身上の都合により、貴方を殺す。悪いとは思っている」
男はそれだけ言うと、スタンガンを取り出し、出水の方に走り寄ってきて、それを勢いよく突き出してきた。
それを懐から出したトンファーで軽くいなすと、出水は自分の空いている左拳を男の腹に入れた。
「ぐぶっ…!」
出水はため息をついた。
「舐めんなよ私を」
痛みに悶絶して地面に転がる男を出水は見下ろした。
「こ、こんなのっ…痛くなんか…ないっ‼︎」
男はふらふらと立ち上がると、またスタンガンを構えた。
「『バスケットアイズ』‼︎」
男がそう叫ぶと、男の背後から急にバスケットボールが『落ちた』。落ちたボールは地面に弾み、柔らかな曲線を描いてまた地面へと落ちてゆく。そしてボールは『2つになった』。出水の目にはそう見えた。突然にボールが1つ増えたのだ。ボールは弾むごとにバクテリアのように増殖し続ける。
「『アイズ・シュート』‼︎」
男がそう言い放つと、出水の側で弾んでいるボールの目の模様から、突然レーザーが出た。
「…ッ‼︎マジかよ‼︎」
出水はそれを体を捻ってなんとかかわし切った。
「『アイズ』第二波‼︎」
そしてまたもや出水の近くのボールからレーザーが射出される。
「俺はな、高校生の頃に鏡の柱からこの能力を授かった」
男は、レーザーから逃げ惑う出水を見て呟く。
「当時の俺はバスケが好きだったからこんな能力を貰えたんだろう。まぁ、その後怪我して二度とバスケットボールなんて見たくなくなったんだが…」
男は出水に向かって指を差した。
「息子のためだ。お前を殺す‼︎」
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