止まった世界から送られる次の世界への報告書

Authentic Line

文字の大きさ
1 / 1

止まった世界から送られる次の世界への報告書

しおりを挟む
~日記部分を割愛~

 西暦2023年4月9日、世界の時間が停止した。俺…佐藤優はこの止まった世界に一人放り出された。この止まった世界では、従来の物理法則は『大体』そのままである。というのも、空中に放った水はそのまま落ちもせず、そこで停止する。ではその水をこの体に取り込むとどうなるのか。これまで、生命活動を送るために幾度となくしていることなのだが…まぁ普通に取り込める。どうやら身体の内側の世界は、止まったこの世界とは違って活動し続けているらしい。
 因みに、この記録は2026年の3月(時間を教えてくれる時計どころか太陽も動いていないため、正確にはわからない…この世界は時間が過ぎていないので、2023年の4月ということに変わりはないが)に書いている。さて、話は移るが、俺は生まれも育ちも東北の、これまで一度も修学旅行以外で県外に出たことのない田舎者だったのだが、聞いて驚くな。俺は今、この記録をアメリカのニューヨークで書いている。
 なぜニューヨークにいるのか。これを読んでいる読者の疑問はもっともである。答えは、なんとなくだ。人間、誰しもグランドキャニオンやナイアガラの滝を見に行きたいとは思うだろう?

~自然の豊かさについてばかりなので割愛~
 
 恐らく西暦2040年。この年になるとなんとなくわかってきたことがある。俺の身体は老衰しない。つまりは不老だ。足を擦りむいたり、骨折をしたことも何度もあったが、それは普通に時間を要しての治癒が可能だ。ということは、俺はゾンビのようなものになったのだろうか。

 そういえば、やりたいことリストでも作ってみるか。なにしろ、時間はいくらでもある。荒唐無稽なものこそやってみたい。

①全ての世界遺産を踏破する。
②この世に存在する本の全てを読破する。
③全ての人間を列に並べてみる。
④ユーラシア大陸を徒歩で横断。
⑤自力でロケットを作って月面散歩。

 …こんなところだろうか。やってみよう。

~①、②、③、④をし終わった感想は割愛。重要なのはそこではない~

 恐らく西暦2157か2158年、一つの問題が発生した。俺の近辺の全ての食べ物が俺の腹に収まり、排出されたのだ。
 この止まった世界では作物は不老。しかし、育つことはない。種は地面に埋まったまま、なんの価値もないただの粒のままだ。牛も、豚も、鶏も、近くの海の魚も全て食い尽くした。中国の東岸あたりの省、朝鮮半島、沖縄、日本あたりは全滅だ。
 この世界は有限だ。つまり、このまま行けば、俺がこの世界で餓死するのは決まったも同然だ。考えればわかることだが、その事実が突きつけられると、嫌な気分になってくる。孤独と絶望が、この止まった世界で生きる俺の結末なのだろうか。

 現在、恐らく2170年…辺りだろうか。俺は今、イギリスにいる。人類がこれまで集めた知識や伝統は素晴らしいものだ。だが、その知識が発展する様を、俺は見ることができない。この世界では俺以外の全てが止まり、成長もせず、ただ止まっている。俺はこの世界から早く抜け出したいと切に願っている。

 外に出てみると、そこには何年か前に俺が作ったモニュメントが飾ってある。人が行き交い、仕事に暮れていた街は、俺が作ったモニュメントと食料の貯蔵庫に成り下がっている。街の壁は全て俺が書いた落書きに覆われている。…もちろん、人は一人もいない。何故なら、俺が全て倉庫にしまったからだ。人は皆、裸でそこにいる。裸にしたのは、身につけているものを資材にするためなので、誤解は無用である。

 車を発進させ、俺はイギリスを出た。ヨーロッパは今や俺の国だ。穀物や動物は全て俺の街の周りに置いてある。これら全てを食い潰した後、残っているのは海の魚くらいだろう。

 さて、ここまで読んだ人の中に気になる人もいるかもしれないから書くが、この止まった世界の中で車につっかえ棒を取り付け、エンジンを踏ませ続ければ果たして車は動くのか?答えはNOだ。俺が車から離れた瞬間に、車は止まる。つまり、俺が使っているものだけに時間は流れる…ということなのだ。俺が使えば車に関わらずスマホも、懐中電灯も作動する。
 俺は今、この謎の仕組みを研究している。この止まった世界から出れるヒントがあるかもしれない。

~変わらない止まった日常。研究は低迷。割愛~

 恐らく西暦3000年。0が3つになった。外にあるパンの山も、少なくなってきた。…3年後には全てのパンがなくなる。この頃、食べ物を食べると泣くようになった。俺の死が見えてきたからだ。遠い未来だとしても、その死は確実に迫ってくる。

~全てが止まった日常。悲嘆に暮れる毎日。意味がないので割愛~

 恐らく西暦320ろく年。さいきん、最、最近…最近、文字がむずかしくなってきた。げーいんは明白。記おくのよーりょーが狭まってきているのだ。下らない記おく、いらないきおくは全て思い出せなくなた。けさ何を食べたかとか、すぐに抜けおちるようになてしまつた。どうしようもない。どうしようも。何か手はないかとさがしまわている。

~恐怖に震える毎日。割愛~

 おそらくせいれきさんぜんよんひゃくごじゅうにねん。かん字がほとんどかけない。ぜんぶぬけおちた。みんなががんばてつくた、すべてのちしきをわ…なんだったかわ…や、わすれ…た。そうだ。わすれただ。も字をかけないので、これは、なんとか…なんとか…というそーちでろくおんしている。

 そして、いま、目のまえにあるボタンをおせば…おれのちのーはもどる…らしい。むかしのおれがかいたペラペラのかみに、ひらがなでそうあった。このおっきなそうちをつくったのは、おれであるはずだけど、おもいだせない。なんにもわからない。つらい。おさない方がいいともかいているが、もうかい方されたい。ダメだ。ぬけおちるのはもうダメだ。

 恐らく西暦3452年、俺はとんでもないことをしてしまった。俺が作った装置は、健康な人間の脳を俺自身の意識で塗りつぶし、乗っ取るものだった。俺は、殺人を犯した。俺が今乗っ取っている今村義和という人間はもう二度と目を覚ますことはない。最悪だ。俺はなんてことをしてしまったんだ。
 この世界で止まっている人間全てを残機と捉えれば、俺の容量の低下はなんとかなるだろう。そんなこと、俺はしない。したくもない。

~この世界から抜け出す方法を再研究。だが成果は出ず。割愛~

 恐らく西暦4003年。幻覚が見え始めた。佐藤優の身体の『俺』が街中で語りかけてきた。
「なぁ、俺よ。その研究に意味がないことなんてもう察してるんだろ?惰性でやってるだけだ」
 ちがうと俺は怒鳴って逃げた。
「いいやそうだ。お前は自殺するか、食糧がなくなって餓死するか。この二択のうち一つを選ばなきゃならない」
 俺は失せろと叫びながらその幻影に物を投げた。
「乱暴な野郎だな。…これまでお前はこの世界を楽しむことで孤独を誤魔化してきた。だが、もうお前は飽きたんじゃないか?見慣れた景色に」
 幻影は懐から缶スプレーを出すとそれを振り、側の壁に向けた。
「世界はもはや俺たちの意のままだ。だが、それに飽きたんだろお前は。全てがつまらない。全てが面白くない」
 幻影が壁に描いたのはドアだった。ドアには『escape』と書かれており、その前には階段がある。
「お前はこのドアを通ってこの世界から逃げ出したい。だが、お前はその前に階段を登る必要がある。しかし、この階段はなんと存在しない」
 幻影が階段に大きなバツをつけた。
「存在しない階段を登った気になってるだけだよお前は」
 カランカランと音を立てながら俺の足元に缶スプレーが転がった。
「ほら、拾えよ。お前は街にゴミを落とさないと自分で決めていたな」
 俺は震えながら頭を抱えた。黙れと搾り出すように声を出す。
「黙れ?お前は自分に嘘をついてばかりだ。誰も目を覚まさず、誰も動かない。誰も咎めない。お前は倫理を守った気になって酔ってんだよ。犯罪ってのは、誰かに見つかって初めて犯罪になるんだ。…この世界を楽しむ方法はもっとあるんだ。二択が来るまで…お前は楽しむべきだろうが」
 黙れ!俺はそう叫びながら幻影に向かって殴りかかった。しかし俺は幻影をすり抜け、escapeの扉の落書きがある壁に激突してしまった。
 …これを音声テープに録音している最中もずっと頭がおかしくなりそうだ。退屈で首が絞められているこの感覚が苦しくて仕方がない。誰か俺と話してくれ。誰か俺と…

~現実逃避の模索。意味がないので割愛~

 恐らく西暦4178年、女を犯した。我慢ができなかった。卑劣なことをしたかったのだ。一度犯罪の沼に沈むと戻れなくなる。俺は適当に女を倉庫から引き摺り出すと適当に犯すようになった。いけないことをする快楽は俺の脳を麻痺させ、それが当然かのように錯覚させた。

 恐らく西暦4179年、ようやく理解した。…そうだ。この止まった世界に犯罪など存在しない。全て俺の思うままだ。殺すも犯すも全てが‼︎
 
~『旧時代のいけないこと』に耽る日々。割愛~

 恐らく西暦4211年、殺した人の生首でピラミッドを作ってみた。今にも動き出しそうな表情で前を見たり横を見たり上を見たりしながら、さも自分が生きているという表情で生首になっているのがなんとも滑稽で仕方がない。それから、生首遊びは俺のお気に入りになった。生首を踏み潰したり、生首を車で轢き潰したり、とてもスカッとする遊びだ。
 俺は周りのゴミ人間たちを自分の残機として使うのが当たり前と感じ始めている。いやはや、驚くべきことだ。動かない人間など物と同じだ。何を躊躇っていたのだろうか。
 人間を使い潰していると頭が冴えてくる。この世界から抜け出す方法がわかるかもしれない。

~研究に精を出しつつ、やりたい放題の日々。割愛~
 
 恐らく西暦4580年、他人の記憶を追体験する装置を俺は作った。これを使えばさらに退屈凌ぎに使える。まぁ記憶を読むには脳の重要な部分を取らなきゃいけないため、その人間は脳死は免れない。
 俺はストローでジュースを吸うように多くの人間の記憶を吸っていった。人間が紡ぎ出す実体験という極上の料理は、俺の退屈心を打ち倒すには十分過ぎるほどの娯楽だった。

~記憶を読み、やりたいことを忘れる日々。割愛~

 恐らく5785年、多くの人間の記憶を見たことで俺の頭脳はさらに先へ進んだ。そして、俺は世界に生きる70億人のうち、3分の1ほどの人口を俺のために使った。
 問題は食糧だ。食料はあと300年ほどで尽きる計算だ。ならば、別惑星に行き、食料を取るしかあるまい。俺の科学力を持ってすれば、宇宙に行くことなぞ造作もない。

 恐らく5785年4月、俺は初めて宇宙へ飛び立った。俺が作った宇宙船は豪華客船ほどの大きさである。それに人間を積めば道中退屈はしないだろう。真なる支配者たる俺が宇宙を支配するための旅路に退屈は許されない。

~宇宙を旅する日々。罪なき人を啜り続ける。割愛~

 恐らく5797年、遂に人間ほどの知能を持った生命体のいる惑星に降り立った。…時間が停止したまま動かないのが難点だが。俺は今飛び上がりそうなほど喜んでいる。この屈強な生命体を装置で乗っとれば、俺の記憶の寿命は飛躍的に伸びる。

 脆弱な人間の体を捨て、俺はエネルギーに満ちた最高の体を獲得した。これを使えばどんなことだってできそうだ。さて、この惑星のご飯はなかなかピリッとした刺激が癖になる。これも全て宇宙船に乗っけてしまおう。道中の退屈凌ぎ用の奴らも見つかったことだし。

~星々を食い潰す日々。割愛~

 恐らく5866年、俺はある星で動く影を見た。俺は希望に胸が躍った。
 俺は胸をドキドキとさせながら走った。ああ。ようやく俺の悩みを聞いてくれる相手が見つかる。いや、聞いてくれなくてもいい。とにかく孤独を癒してくれる話し相手が欲しいのだ。一緒に話をして、一緒にゲームをしたい。君と一緒に、いつまでも、俺と一緒に。

 追いつくと、俺はそいつの肩に手を置いて、そっとこっちを振り返らせた。
 そいつは、故郷の星の女だった。
「…滑稽ね。あれだけ私に酷いことした癖に今更優しく振る舞うなんて」
 俺は落胆しつつ、さっさとこの幻影を消そうとした。
「消せないわよ。私は貴方でもあるからね。私は貴方の漠然とした不安が見せている幻覚ということは貴方はわかっているんでしょ?」
 俺は無言で歩く。
「貴方は多くの『いけないこと』を通して、多くの人を痛ぶり、自分の心を癒してきた。だけど、それと同時に他者と自分との間に上下格差を感じるようになって、より一層孤独に苛まれるようになった…」
 俺は幻覚の方を見向きもせずに歩いた。
「貴方はこの事実に興味がないふりをして、心に蓋をし続けてる。けど、段々蓋から不安が漏れてきちゃって、私みたいなのが見えちゃったわけね」
 いつしか俺の足は止まっていた。幻影はニヤニヤと笑いながら俺に近づいてきた。
「貴方、自分の名前覚えてる?自分がいた惑星の名前は?好きなアーティストの名前は?」
 覚えているわけがなかった。名前など、他者と関わりのない自分にとって必要性は薄く、抜け落ちていたのだ。…そうだ。昔大事に思っていた名前は全て抜け落ちてしまっている。
「本当に悲しい人ね~。悪役を演じているだけのただの可哀想な人。この状況が苦しくてもがいているだけの弱虫」
 黙れ。俺はそう叫ぼうと口を開いた。が、出たのは謎の唸り声だった。
「会話の仕方を忘れた末路ね。まぁ、貴方は人間じゃないし、どっちみちもう故郷の言葉は発声できないでしょうけど」
 ゲグゲゲゲゲ…俺の声紋からはそのような唸り声しか出なかった。その時、俺は突然襲ってきた恐怖に背中を押され、鏡を求めて走り出した。
 湖に到着し、少しした後、湖面に顔を近づけてみる。湖面には、カマキリのような顔をした化け物が映っていた。身体には服一枚も身につけていない。
「度重なる改造、倫理を度外視した行い…全てが貴方から前の貴方の要素を削ぎ落として行った。…ははははははははは」
 女が高笑いをする。言い返そうとしたが、言葉が言えない。唸り声しか出せない。
「ねぇ~、貴方って一体誰なの?ばけものさん」
 女にそう問いかけられた瞬間、俺は厚い緑色の皮膚に覆われた自分の手に目を落とし、呆然とした。

~ぼーっとする日々、割愛~

 恐らく6124年、俺は誰なのだろうかと、そう悩む日が続いている。俺は人間ではなくなったし、そのような倫理観もない。俺はむしゃくしゃする感情を他人の記憶に浸ることで解消しようとしたが、やる気になれなかった。幻影が言った、『度重なる改造、倫理を度外視した行い…全てが貴方から前の貴方の要素を削ぎ落として行った』という言葉が頭から離れないのだ。名前を忘れ、旧時代にどのように過ごしていたかすら忘れた俺は、正に空っぽになっていた。

 今、幻影が俺に話しかけてきた。
「お前って災害みたいだよな」
 どういうことだと頭の中で話しかける。
「災害には意思がない。関わった人間や生物にひたすら迷惑をかけるだけだ。ほら、お前とそっくりじゃないか」
 悔しいが、言う通りだと俺は思ってしまった。
「…何故、他人に迷惑をかけちゃいけないか、わかるか」
 わからない。俺はそう答えた。
「人を殺したら復讐をされるからとかいう斜めからの答えは求めちゃいない。答えは、お前みたいになるからだ」
 どういうことだ?そう思うと、幻影は呆れ返ったように笑った。
「人間というのは生まれてからずっと親や教師に倫理や道徳を教わって生きるもんだ。その育てられた確固たる倫理観は心の枷となり、はやる心を抑え、自我をコントロールする手助けとなる。…しかし、一度倫理観がねじれると心はその倫理観に添った歪んだものに容易く変貌してしまう。そうすれば昔の自分と今の自分とで乖離が起きて、自我がお前みたいに分かたれるのさ。俺の片割れはどこ行った!昔の俺はどこ行った‼︎そう悩んでるお前とまるで一緒だ」
 俺は何も言い返せなかった。

~どうにかして自分を探そうともがく日々。割愛~

 恐らく6609年、俺は故郷の近くの衛星の上にいた。なぜここに降り立ったかはわからない。だが、幻影たちがあそこに行けと囃し立てるのだ。
 もはや真空状態でも生きていられる体になっていた俺は、生身で空気のない衛星上に立つことができた。今、俺は青い惑星を眺めている。あの青い惑星にはどのような景色が広がっていたのだろうか。記憶を蘇らせようといつものように悩む。そして、ふと、なんとなく太陽を見た。…そうだ。俺が今いるこの衛星の名前は月と言ったか。あの青い惑星は地球だ。突然開いた記憶の扉に俺は感動しながら、地球を眺めた。 
 俺はその時、やりたいことリストを思い出した。俺がやっていなかった最後の願いが、ようやく叶ったのだ。月面散歩は俺の夢だった。…俺は、全てを思い出した。…俺は、俺の名前は佐藤優だ。俺は記憶の本流が流れてくるままに独り言を呟いた。話し相手は止まった惑星達である。昔夢みたことに触れたことで、俺の記憶の枷が外れたんだ‼︎

~延々と続く身の上話。長いので割愛~

 恐らく6610年。月の上で、俺は二択のうち一択、自殺を選ぶことにした。俺は過ちを犯し続けた。そこに言い訳は必要ない。過ちを犯したから償いたいのだ。
「本当にいいのか?死ぬのが怖くないのか?」
 幻影…ではない。不安になった俺自身が尋ねてくる。
「いいんだ。というか、もっと早くこうするべきだった。限界まで溜めていたのが悪い」
「ようやく自分自身を掴んで最初にする大作業が自殺とはね…」
「ああ。変えるつもりはないから、お前ら幻影達も覚悟を決めてくれ」
「…わかった」
 …俺の声を聞いた幻影は、宇宙の闇に溶けるように消えていった。今出した声は果たして、頭の中で響いたものなのか、宇宙空間に実際に響いたものなのかは分からない。
 俺は地球をもう一度眺めた。青と緑が輝く地球にとって、俺の存在はノイズでしかない。この止まった世界は、俺がいなくなって初めて完成する。ようやく気がついたのだ。

 毒の入った瓶の蓋を開ける。そして、俺はそれを飲んだ。…眠い。薬の効果だろうか。俺の目の前に、魚が泳いでいる。…そう言えば、地球の海にはあまり手をつけていなかった。手をつける前に宇宙に行ったからだ。なんで泳いでいるのか。ああ…何匹も泳いでいる。

~収集された記録はここで終了している。世界に多大なる損害を与えた災害である佐藤優はここで死んだと見なされている。月面にて遺体を発見した宇宙飛行士の一人はその遺体を丁重に弔い、どこかに埋めたと言われている。何故佐藤優が死んでから世界が動き出したのかは不明のままである~

















作者後書き
authentic lineです。どうでしたでしょうか。本作は刻刻というアニメを見て出た刺激をここに吐き出した作品ですが、食料問題の計算や物理の問題などは結構適当にやっているので、そこは申し訳ないと勝手に思っております。さて、何故佐藤優が死んだ後に時間が動き出したのか、という問題は、読者の想像に任せてほしいと思っております。私としては、世界が止まったのはたまたまで、すぐ動き出すはずが『佐藤優』というバグによって、時間がずっと進まなくなったのではないかと思っています。佐藤優の最後の言葉にある『この止まった世界は、俺がいなくなって初めて完成する。』という文言がそれを表しているのか…な?と創作した者ながら想像しております。あと、これは書いてて気がついたんですが、誰が読むのか分からない報告書をマメに書いていた佐藤優はメチャクチャお労しい人ですよね。自分が生きていた証が欲しかったのかな?
 最後に、すき!や感想を頂ければ幸いです。ここまで読んでくれてありがとう!
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

処理中です...