雨の遊園地

雨の遊園地

君は、雨の遊園地に行ったことがある？

僕は、夏の終わりに行った事があるよ､
お母さんと2人で。

遊園地のゲートもすっかり雨のシャワーカーテンで静まり返っている。

園内に僕たちの入園がキコキコキコって知らされたんだ。

「おやおや こんな大雨の日にお客さんとはめずらしいなぁ」
「ごめんね。ジェットコースターも空飛ぶ魔法の絨毯も残念だけど、今日はお休みだよ」
「でも、今日は ウルトラマンフェスタがあるから楽しんで行って」

ほんとだ    みんな ひっそりと肩をすぼめて目を閉じてるみたいだなぁ
ぼやんとした園内は いつもの鮮やかな色合いの遊具に絵の具の白が混ざったみたいだ。

僕たちは 水色と透明の傘を差しながら歩く。

ビニールシートをかぶったロックンロールが体を丸～くして こっちを見てるよ。

お山の汽車ポッポはホームにべったりと寄り添ってうつらうつら

僕たちはコーヒーカップに乗ることにした。

ビーっと低い音がなる
僕は 重いハンドルをグルグル回して、高速回転してみた。
すごいすごい！目が回る！

周りのカップたちは、それを横目で眺めながら、ゆったりコーヒータイム

お化け屋敷も入んない。

そうだ ウルトラマンフェスタだ！

大きなウルトラマンが両手を腰にあててジュワッと僕たちを見下ろした。

「今日は 宇宙が平和だな」と僕は気づいた！

バルタン星人もハサミが重そうだな（笑）

こんなにも静寂な宇宙があるんだ
僕は ズックがキュッキュと鳴らない様に少しだけ足を忍ばせた。

そして、後ろを振り向き振り向き
宇宙星人たちを見送った。

お土産コーナーには 塩化ビニールの指人形たちが、金魚すくいのケースみたいなのに入れられて、目も動かさない。

僕は お気に入りを一つ選んだけど、あとは手で掬ったのを5、6個カウンターに持って行った。

ウルトラマンのキーホルダーがビニールを着せられて整列している
僕は胸を押すとピコン ピコンと赤く点滅して鳴るウルトラマンを買った。

ちょっと寒くなってきたので観覧車に乗ることにした。

僕は黄色い観覧車が来るのを待って乗り込んだ

お母さんの後ろの窓に雨粒がいっぱいついて1本に流れる。
隣もその隣の雨粒も連れて行く
そんな筋が面白かった！

僕たちは 「そろそろてっぺんだね」ってニッコリした。

君は、雨の遊園地に行った事がある？

僕は行った事があるよ、
僕はもう一度、 雨の遊園地に行ってみたいなぁと思うことがある。