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第21話 母親
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「あとさ、部活はどうするの?」
「入らないよ。うちの神社、見ての通りかなり寂れててさ、経営も結構危ないんだよね。だから私たちでサポートしようかなって思ってる」
「そっか」
確かにここの神社は色々と経年劣化が激しい。何か特別な理由でもない限りは人が集まらないだろう。本殿の近くの売店でお守りや御朱印の販売はしているようだけど先程みた限りでは栄えてるようには見えなかった。
二人が暮らしているこの家もかなり築年数が言っているのだろう。廊下を歩いたとき、床が軋んでいた。個人的にこう言う古びた建物の雰囲気は好きなのだが、この家が全体的にお金がない印象は受けていた。
話をしていると玄関が開いた音がした。
「あっ、お母さん帰ってきた! 今呼んでくるね!」
風花は立ち上がると部屋を出ていってしまった。
(お、おお。こんないきなり対面するのか!)
なんか思っても見なかったほど軽いテンションで驚いてしまう。
「うちのお母さん、副業で人相占いをやってるのよ。神社の経営は厳しいけれど、そっちは結構評判なんだよね。よく当たるらしいわ!」
「そ、そうなんだ!」
「緊張しなくて大丈夫よ。普段は優しいお母さんだから」
親を彼氏に合わせると言うのに凛花もすごく落ち着いている。
(普通もっと改まった空気感の中で対面するものじゃないのか?)
まるでペットの犬にでも合わせるかのような軽いノリに少し戸惑ってしまう。
やがて、引き戸が空いて、風花とお母さんが入ってきた。昨晩と同様にジーパンに白いTシャツといったシンプルな服を着ている。
俺はすぐに立ち上がり、頭を下げた。
「初めまして。伊庭遥斗と言います」
「初めまして、二人の母の千景です。そんなに改まらなくて大丈夫ですよ。座ってください」
お母さんからは物腰は柔らかいが芯が通っている印象を受けた。
「遥斗さん、お会いできてうれしいわ。毎日あなたの話は娘たちから聞いていましたから。大体の事情は娘たちから聞きました。凛花と風花の二人と付き合うことになったんですよね」
お母さんは穏やかな微笑を浮かべているが、その瞳からは心の中まで覗いてくるような鋭い視線が感じられた。
「はい」
「交際にいたる経緯は二人から聞きましたが、今回の場合は仕方ないでしょう。私は遥斗さんが2人を大切にしてくれるなら付き合うことに何か言うつもりはありません」
「ありがとうございます」
「確認ですが、遥斗さんは凛花のことも、風花のこともどちらも好きなんですよね?」
「はい。大好きです。心の底から」
「そうですか。なら何も心配いりませんね。2人のことをしっかり幸せにしてあげてください」
「分かりました」
「私は普段占いをやっているので、相手の人相を見れば大体の人となりが分かるんです」
俺の目をじっと見つめてきていたお母さんの瞳が、急に柔らかいものになるのを感じた。
「ふふ、あなたはとても優しい目をしていますね。それでいて誠実さと、真面目さ、そして熱い心を持っている。とても素晴らしい相をしていますよ」
「あ、ありがとうございます!」
「まだ先の話かもしれませんが、遥斗さんは二人との結婚は考えていますか?」
「当然考えています。大好きなので!」
俺の言葉を聞いた二人が少し照れているのがわかった。こうした質問に対しては変に濁さないでまっすぐに答えるようにしていた。
「そうですか。なら一つアドバイスをさせて下さい。将来は800万は頑張って稼ぐようにしてください。結婚する相手が一人ならそこまでいらないかも知れませんが、二人と生まれてくる子供たちを幸せにしていくためには最低限、それぐらいのお金は必要です!」
「お母さん、そんなリアルな話なんてしないでよ! まだ付き合ったばかりだよ!?」
「そうだよ!!」
風花と凛花が不満を漏らした。
「ごめんなさい。遥斗さんが思った以上にいい子だったから、これは本当に将来の相手になるかと思って、つい話しちゃいました。でもね。やっぱり生きていく上でお金は大切なのよ?」
「それはそうだけどさー、そんなこと言われても、遥斗くんがびっくりしちゃうじゃん! ただでさえ相手の家って緊張するのに。ごめんね! 遥斗くん!」
風花が申し訳なさそうな表情を向けてくる。
「全然大丈夫だよ! 生きていく上でお金は大切だと思うし……。二人ともし結婚できるならお金で苦労をかけないようにするよ」
「「ありがとう」」
俺の言葉を聞いて凛花も風花も嬉しいような恥ずかしいような表情を浮かべていた。お母さんもにっこりとしている。
二人の軽いテンションに比べて、お母さんはかなり真面目なトーンだった。でも、考えて見ればそれが当たり前だとも思う。
(そりゃあ。大事に育ててきた二人の娘の彼氏だもんな。心配するのが当然だよ……。彼氏がもしいい加減な奴だったら娘二人を不幸にされてしまうかもしれないんだから……。むしろ、しっかりしたいいお母さんだな)
夜中会ったときも感じたがこのお母さんはかなりちゃんとした人だと思う。俺の中でのお母さんの評価とても高かった。
(お母さんに心配かけないように誠実に付き合って行こう。お金の条件は問題なくクリアできるだろうしな。後は俺がどれだけ二人を大切にできるかだ……)
「さて、じゃあそろそろ、お昼ご飯にしようかしら。良さそうなメロンも買ってきたので、食後にみんなで食べましょう」
「えー、メロン好き!!」
嬉しそうに風花が呟いた。
「じゃあ、凛花と風花はメロンを切るのを手伝ってちょうだい! 遥斗さん、テレビでもつけて少しだけ待っていて下さいね」
「ありがとうございます!!」
3人は部屋を出ていった。
♢ ♢ ♢
「で、どうだった? お母さんのことだから、さっき占ったんでしょ!?」
凛花と風花は緊張の面持ちを浮かべながら母親である千景の言葉を待っている。
「すっっっっっごく良い子じゃない!!! びっくりしたわ!! 占ったけどさ、結果は最高だよ! 今まで占ってきた人の中で確実に1番だわ! まず、高校一年生とは思えないぐらいしっかりしてるし、すっごく爽やかだし、誠実だわ。第一、心からあなたたちのことが好きなことが伝わってきて、私までドキドキしちゃった!!」
「良かったぁーー!! お母さんにダメって言われたらと思ってそわそわしちゃったよ! 自信はめちゃくちゃあったけどさぁー」
風花はほっとした様子でそう口にした。
「本当それ! でも、いきなりお金の話とかやめてよね! 絶対遥斗くんびっくりしたと思うよ!!」
凛花も同様に安心した表情を浮かべている。
「ごめんごめん、いい子すぎてさ、ひょっとしたら本当に結婚するかもと思っちゃってつい言っちゃった! でもすごいのよ。遥斗くん。話す言葉に全く嘘や迷いや澱みがないの。全て心のままを言ってたわ! めちゃくちゃ素直な子ね。多分本当にあなたたちのことが好きなんだと思う!」
千景は興奮した様子でそう口にすると、冷蔵庫から麦茶を取り出し、コップにいれ一口飲んだ。
「あの子なら大賛成よ。なんか……すごく大物になりそうな予感がするわ! 物腰は柔らかいけど、凄く熱いものを持ってると思う! 精神年齢もかなり高いわね」
「でも、遥斗くん。少し、体が弱いみたいなの。前も言ったけど、よく学校休んだり、早退したりしてるわ」
凛花が心配そうに口にした。
「それは変ね……。私の感覚が狂ったのかしら。見たところ、健康そのものだし、むしろ生命力がめちゃくちゃ強いように思えたけど……」
「だといいんだけどさ……。でもお母さんに気に入ってもらえて良かったよ!」
風花が呟いた。
「ええ、あの子なら多分、あなたたちを不幸にすることはないと思うわ。我が娘ながらいい人を見つけたわね!」
3人は楽しそうに会話をしながら昼食の支度をしていった。
「入らないよ。うちの神社、見ての通りかなり寂れててさ、経営も結構危ないんだよね。だから私たちでサポートしようかなって思ってる」
「そっか」
確かにここの神社は色々と経年劣化が激しい。何か特別な理由でもない限りは人が集まらないだろう。本殿の近くの売店でお守りや御朱印の販売はしているようだけど先程みた限りでは栄えてるようには見えなかった。
二人が暮らしているこの家もかなり築年数が言っているのだろう。廊下を歩いたとき、床が軋んでいた。個人的にこう言う古びた建物の雰囲気は好きなのだが、この家が全体的にお金がない印象は受けていた。
話をしていると玄関が開いた音がした。
「あっ、お母さん帰ってきた! 今呼んでくるね!」
風花は立ち上がると部屋を出ていってしまった。
(お、おお。こんないきなり対面するのか!)
なんか思っても見なかったほど軽いテンションで驚いてしまう。
「うちのお母さん、副業で人相占いをやってるのよ。神社の経営は厳しいけれど、そっちは結構評判なんだよね。よく当たるらしいわ!」
「そ、そうなんだ!」
「緊張しなくて大丈夫よ。普段は優しいお母さんだから」
親を彼氏に合わせると言うのに凛花もすごく落ち着いている。
(普通もっと改まった空気感の中で対面するものじゃないのか?)
まるでペットの犬にでも合わせるかのような軽いノリに少し戸惑ってしまう。
やがて、引き戸が空いて、風花とお母さんが入ってきた。昨晩と同様にジーパンに白いTシャツといったシンプルな服を着ている。
俺はすぐに立ち上がり、頭を下げた。
「初めまして。伊庭遥斗と言います」
「初めまして、二人の母の千景です。そんなに改まらなくて大丈夫ですよ。座ってください」
お母さんからは物腰は柔らかいが芯が通っている印象を受けた。
「遥斗さん、お会いできてうれしいわ。毎日あなたの話は娘たちから聞いていましたから。大体の事情は娘たちから聞きました。凛花と風花の二人と付き合うことになったんですよね」
お母さんは穏やかな微笑を浮かべているが、その瞳からは心の中まで覗いてくるような鋭い視線が感じられた。
「はい」
「交際にいたる経緯は二人から聞きましたが、今回の場合は仕方ないでしょう。私は遥斗さんが2人を大切にしてくれるなら付き合うことに何か言うつもりはありません」
「ありがとうございます」
「確認ですが、遥斗さんは凛花のことも、風花のこともどちらも好きなんですよね?」
「はい。大好きです。心の底から」
「そうですか。なら何も心配いりませんね。2人のことをしっかり幸せにしてあげてください」
「分かりました」
「私は普段占いをやっているので、相手の人相を見れば大体の人となりが分かるんです」
俺の目をじっと見つめてきていたお母さんの瞳が、急に柔らかいものになるのを感じた。
「ふふ、あなたはとても優しい目をしていますね。それでいて誠実さと、真面目さ、そして熱い心を持っている。とても素晴らしい相をしていますよ」
「あ、ありがとうございます!」
「まだ先の話かもしれませんが、遥斗さんは二人との結婚は考えていますか?」
「当然考えています。大好きなので!」
俺の言葉を聞いた二人が少し照れているのがわかった。こうした質問に対しては変に濁さないでまっすぐに答えるようにしていた。
「そうですか。なら一つアドバイスをさせて下さい。将来は800万は頑張って稼ぐようにしてください。結婚する相手が一人ならそこまでいらないかも知れませんが、二人と生まれてくる子供たちを幸せにしていくためには最低限、それぐらいのお金は必要です!」
「お母さん、そんなリアルな話なんてしないでよ! まだ付き合ったばかりだよ!?」
「そうだよ!!」
風花と凛花が不満を漏らした。
「ごめんなさい。遥斗さんが思った以上にいい子だったから、これは本当に将来の相手になるかと思って、つい話しちゃいました。でもね。やっぱり生きていく上でお金は大切なのよ?」
「それはそうだけどさー、そんなこと言われても、遥斗くんがびっくりしちゃうじゃん! ただでさえ相手の家って緊張するのに。ごめんね! 遥斗くん!」
風花が申し訳なさそうな表情を向けてくる。
「全然大丈夫だよ! 生きていく上でお金は大切だと思うし……。二人ともし結婚できるならお金で苦労をかけないようにするよ」
「「ありがとう」」
俺の言葉を聞いて凛花も風花も嬉しいような恥ずかしいような表情を浮かべていた。お母さんもにっこりとしている。
二人の軽いテンションに比べて、お母さんはかなり真面目なトーンだった。でも、考えて見ればそれが当たり前だとも思う。
(そりゃあ。大事に育ててきた二人の娘の彼氏だもんな。心配するのが当然だよ……。彼氏がもしいい加減な奴だったら娘二人を不幸にされてしまうかもしれないんだから……。むしろ、しっかりしたいいお母さんだな)
夜中会ったときも感じたがこのお母さんはかなりちゃんとした人だと思う。俺の中でのお母さんの評価とても高かった。
(お母さんに心配かけないように誠実に付き合って行こう。お金の条件は問題なくクリアできるだろうしな。後は俺がどれだけ二人を大切にできるかだ……)
「さて、じゃあそろそろ、お昼ご飯にしようかしら。良さそうなメロンも買ってきたので、食後にみんなで食べましょう」
「えー、メロン好き!!」
嬉しそうに風花が呟いた。
「じゃあ、凛花と風花はメロンを切るのを手伝ってちょうだい! 遥斗さん、テレビでもつけて少しだけ待っていて下さいね」
「ありがとうございます!!」
3人は部屋を出ていった。
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「で、どうだった? お母さんのことだから、さっき占ったんでしょ!?」
凛花と風花は緊張の面持ちを浮かべながら母親である千景の言葉を待っている。
「すっっっっっごく良い子じゃない!!! びっくりしたわ!! 占ったけどさ、結果は最高だよ! 今まで占ってきた人の中で確実に1番だわ! まず、高校一年生とは思えないぐらいしっかりしてるし、すっごく爽やかだし、誠実だわ。第一、心からあなたたちのことが好きなことが伝わってきて、私までドキドキしちゃった!!」
「良かったぁーー!! お母さんにダメって言われたらと思ってそわそわしちゃったよ! 自信はめちゃくちゃあったけどさぁー」
風花はほっとした様子でそう口にした。
「本当それ! でも、いきなりお金の話とかやめてよね! 絶対遥斗くんびっくりしたと思うよ!!」
凛花も同様に安心した表情を浮かべている。
「ごめんごめん、いい子すぎてさ、ひょっとしたら本当に結婚するかもと思っちゃってつい言っちゃった! でもすごいのよ。遥斗くん。話す言葉に全く嘘や迷いや澱みがないの。全て心のままを言ってたわ! めちゃくちゃ素直な子ね。多分本当にあなたたちのことが好きなんだと思う!」
千景は興奮した様子でそう口にすると、冷蔵庫から麦茶を取り出し、コップにいれ一口飲んだ。
「あの子なら大賛成よ。なんか……すごく大物になりそうな予感がするわ! 物腰は柔らかいけど、凄く熱いものを持ってると思う! 精神年齢もかなり高いわね」
「でも、遥斗くん。少し、体が弱いみたいなの。前も言ったけど、よく学校休んだり、早退したりしてるわ」
凛花が心配そうに口にした。
「それは変ね……。私の感覚が狂ったのかしら。見たところ、健康そのものだし、むしろ生命力がめちゃくちゃ強いように思えたけど……」
「だといいんだけどさ……。でもお母さんに気に入ってもらえて良かったよ!」
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