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EPISODE13

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下からガヤガヤとはっきりとは聞こえないが声が聞こえる。
その音で俺は起きた。
時計を確認する。12時30分だった。
「2度寝しよっと。」
そして、また瞼を閉じる。
そのまま2度寝するつもりだったが、起こされた。
「お兄ちゃん!」
その声で俺はまた起きた。

「なんだよ、紗奈ちゃん。」
「もう親戚の人たち集まったよ。」
俺にとっては親戚の人などどうでもいい。
「そうか。それじゃ、紗奈ちゃんは先に下に行っといて。」
「何言ってんの?早くこの家から逃げ出すよ。」
そう言われて俺は一昨日のことを思い出した。
「そうだったね。今すぐ準備するよ。だから待ってて。」
「はーい。」
そして紗奈ちゃんは部屋から出ていった。
1通り準備が終わり、紗奈ちゃんの部屋に向かった。


「終わったよ。」
と言うと紗奈ちゃんは部屋から出てきた。
「それじゃ、行きましょうか。」
「そうだね。」
数歩歩くと紗奈ちゃんが何か思い出した様な顔をして言った。
「一応お姉ちゃんの生存確認だけしていこう。」
その言葉に俺は恐怖を感じた。
え?なに、下手したら死ぬの?
「分かった。」

1階に下りて扉の隙間からリビングを覗く。
そこにはべろんべろんに酔った大人たちが実莉や他の親戚の子供たちにダル絡みをしていた様子が見えた。
「わーお、これは逃げ出したい気持ちが分かる。」
「だよね。」
そう観察していると実莉は俺たちに気づいたらしく口パクで何かを伝えてきた。
口の形は…・た・す・け・て。
「良し!お姉ちゃんの生存は確認した! それじゃ、出かけようかお兄ちゃん。」
紗奈ちゃんはめっちゃ笑顔だった。この地獄から解放されるからだろう。
そして玄関に向かう。


紗奈ちゃんが靴を履いて居ると俺たちの耳に1つの声が入ってきた。
「あれー、紗奈ねーどこ行くの? てか隣の人誰?」
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