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EPISODE113

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目を覚ますとそこは知らない天井だった。
硬いベッドで病院のベッドを思い出す。
ここはどこなのだろうか?・・・・と言っても答えはほとんど出ているのだがな。
「ゔーん」
腹筋に力を入れ、起き上がると椅子に座って寝ている実莉の姿が目に映る。それとついでに掛け時計も。今は何気に2時なんだな。時の進みは遅いのぅ。
てか待てよ、俺が倒れたあとの劇ってどうなったんだ? ま、どうでもいいか!
「すーすー」
寝息を立てながら寝ている実莉には申し訳ないが起こさせてもらう事にする。じゃないと物語が進まなi・・・・な、なんでもないよ。
「実莉、おーい。実莉!」
肩を揺らしながら声をかけるが、意外と起きない。
こいつも疲れが溜まってるんだな。
「・・・あ・・・あ、修!起きたの?」
「うん」
すると、実莉は自分の額を俺の額に当ててきた。
・・・・待って、なにこれ、恥ずかしい!けど、少し良い!
「よし! 熱は下がったみたい!」
「そう・・・・なのか? てか、劇! 劇どうなったんだよ」
「劇は早美怜ちゃんが何とかしてくれたよ。それがすごくて、よく咄嗟にあんな設定とまじ合わせてすごい言葉がスラスラ出てくるよねってレベルでヤバかった! 多分ビデオ撮ってるから後で見てみたら」
あ・・・これは中二病モードのおかげですね。はい、分かります。
ま、助けてもらったことには違いない。後でお礼を言っとこう。
そんな事よりもだ!
俺は誘うぞ、実莉を文化祭に!
「あのさ、実莉」
「どうしたの?」
「いやさ、今からでも俺と一緒に文化祭回らない?」
いやぁー、言っちゃった!恥ずかしい!てか、我慢しなきゃなのになんで誘ってんだよ!
「嫌ならいいんだけどさ! 俺ら昨日は劇で回れなかったからどうかなぁーって!」
何言っちゃってんの! こんなに言うって、もうどうしても一緒に回りたい人じゃん!
「私も・・・・誘おうとしてた・・・」
照れながら言う実莉に俺の心臓は大きく音を鳴らす。
これが恋なのだと自覚しているが、抑え込まなきゃ行けない。これが兄妹の嫌な所だ。
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