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EPISODE117

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「好きです!」
「ごめんなさい!」
「なんで! これまで58回も告白したのになんで付き合ってくれないんですか!」
後夜祭が始まる直前、さくらは俺に告白をする。今となっては見慣れた光景で慣れてしまった自分がいる。
「いやぁ、何回も告白されてもねぇ・・・・」 
「まぁ、いいです。てか、この学校にはジンクスとかないんですか?」
突如そんな質問をしてくるさくらに俺は首を傾ける。
「良くあるじゃん、アニメとかで。『後夜祭が始まる瞬間に手を繋いでいる2人は永遠にラブラブなカップルになれる』とか・・・」
「そういえば・・・・そんなの無いな・・・うちの学校は」
そう言った瞬間、無理やり俺の手を掴む。
さくらははにかむような笑顔でこう告げた。
「作っちゃおうよ、私たちでそのジンクスを」
今まで何回も告白してくる元ネッ友だとしか思っていなかったが、今この瞬間、一瞬だけは彼女を1人の女の子と見えた。
それと同時にして後夜祭は開幕した。
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