BL、ときどき天文研究部(仮)

あきら

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4月10日 晴れ

朝の○毛線は嫌だったんだよ

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 「…すみません…」
 「…何で、君の方が謝んの。俺の方こそ」

 改めて、目の前の(目と鼻の先って言った方が、正しいかな)壁ドン相手を観察する。本当に女の子みたいな顔、そして控えめな身長だぁ…。俺自身が180cmあるから、余計にそう思うのかも知れないけど。これでも、バスケ部ではそこまで大きいって方でもなかったんだぜ。
 シャンプーなのかボディソープなのか柔軟剤なのかその全部なのか、何か知らんがいい匂いも漂ってきた。ペロッ。これはボ○ニストの、ボ○ニカルシャンプー&トリートメント…!なんて、言いませんよ。俺は、そんな変態さんじゃないんですから。
 でもまるでBL小説に出てくる受けの、お手本みたいな子だ…。って、前の彼女なら評したかも。言ったっけ。直前の元カノが、いわゆる腐女子だったんだよ。年上の社会人で財力があって、見た目も悪くはなかった。だけどまぁ、付き合っていい思い出がありましたかって言われると…うん。まぁ…うん。
 俺の人生、生まれてこの方こんなんばっかだよ。高身長でバスケやってて、県内でも学力高めの高校に進学して。それこそ見た目も悪くないので、付き合う相手に不足する事もありませんでした。自慢かって?断じて違います。謙遜とか抜きで、あんまりそう思ってもないです。色々と、満ち足りない事が多かったんですよね。ちなみに、恋愛対象ですが…。
 女ですよ。俺は、ストレートですので。まぁ今の高校を含め、男に告白された事も二度や三度ではない…。この話も、やっぱ今はやめときます。色々含めて、他人から「羨ましがられる」存在ではあるのかなぁ。だけどね、常々思うんです。他人と比べて、ちょっとテストの点がいいとか悪いとか。はたまた、ちょっと身長が高いとか低いとか。そんな比較に、何の意味があるんだろうって…。
 ひとまずは、目の前の現実(壁ドン相手)に話を戻しましょうか。無理な体勢を続けている俺を気遣ってか、「もっと楽にしてくれて、いいですよ?」だの「力抜いて下さい」だのと声をかけてくれている。気持ちは嬉しいし実際にいい子なんだろうけど、逆にシャレにならないからやめてほしいねん!何でちょっと、意味深な感じで言うんだよ。
 ほら、遠巻きに眺めている女子高生二人がめっちゃ嬉しそうでしょ!?賭けてもいいが、あの二人は腐女子だな。元カノとの交際経験から、俺レベルになると匂いで分かる!どう見ても手に持ったスマホで俺らの事を撮影してるけど、肖像権って知ってる?画像だか動画だか知らないけど、それ公開するのは頼むからやめてね?
 やっとのことで終点・高崎駅に到着して、この苦行からも解放された。ほうほうの体で、ホームに降り立つ事は出来たぞ。これだから、朝の○毛線は嫌なんだよ!そもそも俺、朝練なくなったんだからこんな早くに来る必要なかったんだ…。どうしても、今までの習慣が抜けなくて。朝も早よから目が覚めて、ヤる事もないので自然と足が学校に向かっていたとさ。満員電車はしょっちゅうだけど、下級生相手に壁ドンかましたのは今日が初めてだわ。
 って、壁ドンで思い出した。例の壁ドンの子は、何かの朝練でもあったんかな。どう見ても、運動部には見えなかったけど。なんて考えてたら、壁ドンの子が律儀に謝ってきたぞ…?君、まだ学校に向かってなかったんかい。そして今更気づいたが、ネクタイの色から一学年下の新二年生であったらしい。
 「本当にすみませんでした。三原先輩…」
 「…俺の名前、知ってんの?君は、一体…」
 「俺ですか?お、おおおお俺は名乗る程の者ではありませんから…。そ、それでは失礼しまっ」
 あぁ。この子の一人称、「俺」なんだ。受け受けしい外見だから、平仮名で「ぼく」あたりだと思ってたわぁ…。って、イカン。こんな所での思考回路も、腐女子の元カノに毒されておるぞ。かつてバスケ部の試合の応援に参加させられたとかで、そこで俺の姿を見たとかそんなんだろう。きっと。向こうもわざわざ「名乗る程の者でもない」って言ってんだし、深く関わり合いになる必要もあるまい…。そう考えて、その場を去ろうとした所。

 壁ドンの子が、特に段差も何もない所で盛大につまづいた。そのまま持っていた荷物の中身を、盛大にホーム一面にぶちまける。おーっと、この子は…。いわゆる一つの、ドジっ子やな?
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