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罰ゲームでクラス一の陰キャに告白して付き合う話

親父にも殴られた事ねーのによ

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 「そ、それは…全部だよ。って言ったら、いかにも逃げてるみてーだな。でも、本当の事だから仕方ないじゃん」

 「全部…?」
 「そうだよ。オレたち、出会いは最悪だったよな。罰ゲームの告白とかって。あの時、思ってた以上の塩対応されて…。ショックだったけど、思った事をハッキリと言う意思の強い子だなと思った。それから、カラオケで色々あってさ…。加藤くんにも、色んな一面があるんだって事を知った。声いいし歌うめーし顔いいし笑ったら可愛いし、性格いいしで嫌いな所ないよ。全部好き」
 「そっ…そこまで言います?ボクは、そんな大層な人間では…」
 そう言いながらも、加藤くんは満更でもなさそうな顔をした(見えないけど)。いわゆるメス顔と言うやつだ。うわぁちょれぇ!
 「で…でも、嫌な気分はしません。いえ、むしろ嬉しいです。レオ君、ボクだってあなたの事を…」
 よし、ここは更なる追撃を入れよう。とっておきのダメ押しと言うやつだッ!
 「あと正直に言うと、もともと黒髪の美少年に対して一種のフェティシズムを持っていた。天使の輪ってやつ?あれを見ると、手でガシガシとかき乱したくなってくる。オレ、新雪とか土足で踏みにじりてータイプだからさ。まさか、同級生にそんな子がいるなんて。しかも、性格ツンとか最高じゃん?こう、肉体的にも精神的にも屈服させたくなってくる。いや、むしろ蹂躙…」
 それ以上は言えなかった。加藤くんのアッパーカットが、見事にオレの顎にヒットしたからだ。
 「いってーな!今いい事言ってんだろうが!親父にも殴られた事ねーのによ」
 「それはボクの台詞です。今までの人生で、人を殴ると言うのは初めての機会ですよ。本当に、殴った手の方が痛いものなのですね…。いいですよ。都合よく、前半部分だけが聞こえてきたものとしておきましょう」
 そう言って、加藤くんはスタスタと前を歩き出した。うぅ、追撃の一手が余計だったかな。でもでも、好感度自体はしっかり上がったものと信じたい。

 「あと、これも聞いておきたかったんですが…。ヤるとかラブホに行くとか、本気で言ってるんです?」
 「本気に決まってんじゃん?男とは経験ないけど、顔も声も女の子みてーなもんだし大丈夫イけるイける。あーっと…。言うて、女の子ともそう言う経験はないですよ?」
 「ものすごく説得力がない!いいです。そちらも、信じておきましょう…」
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