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陰キャの彼氏と二回目のデートをする話

読者さんが離れる

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 そう言って加藤くんが手を広げたので、オレはお言葉に甘えて心置きなく抱きしめさせて頂いた…。うーん、加藤くん何だかいい香りがする。柔軟性の匂いかな。

 「こんな、鳥ガラみたいな身体抱きしめて楽しいんですか…?別にいいですけど」
 「めっちゃ気持ちいいよ。加藤くんとずっと、こうしたかったから。あのさぁ…」
 「何ですか?ハグに飽き足らず、今度はキスさせて下さいとでも?」
 「何で分かるの?加藤くんて、やっぱエスパー?」
 「分からいでか。うーん、でもちょっと心の準備が…。それにお互いお昼食べてから、歯磨いてなくありません?」
 「そう言やそうだっけ。オレは、別に気にしないよ。それに…」
 「それに?」
 「これはBL小説なんだから、ちょっとはそう言う事しなきゃ読者さんが離れる…」
 「また、メタな事を言いだした!そっち方面から、攻めてきます!?えぇ…でもこんな所で済ませてしまったら、本編で『初キス』の下りを書けなくなるのでは?」
 「それな。諸刃の剣だよな。でも、オレはどうしても加藤くんと今キスしたい…」
 そう言って、彼の鬱陶しい前髪を指でどかした。オレしか知らない、彼の素顔…。やっぱ今日も、スゲー可愛いわ。
 「…いいでしょう。こうなりゃ、なるようになれです。どうぞ、お好きなように…」

 加藤くんが、可愛いその瞳を閉じた。こう言う、割とチョロい所も彼の魅力だ。オレは、少し開いた彼の唇に自分の唇を重ねて…。
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