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再びスノウとウララ

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「スノウ今日はありがと」
「こちらこそ本日はありがとうございました」
「それでね、スノウに話しておきたい事があったの」
「なんでしょうか?」
「私、ルイと別れたから」
「えっ、、、」

ウララ様が寂しげな表情で語り出す。

「実はね、ちょうどよかったの。ルイには秘密だけど、私、来週婚約するの、、、オバリー家、名前くらい聞いた事あるでしょ」
「はい、存じております」


オバリー家は上級貴族で、
フィースト家に並ぶ貴族だ。
そして、オバリー家の旦那様も私の患者様だったことがある。


「少し前から、決まっていたの。でもルイにもなかなか言えなくて、、、」
「そうだったのですか」
「だから、、もしスノウがルイの事好きなら、私の事は気にしないでいいから」
「ウララ様、、、」


きっと、いや、初めからウララ様は
私の気持ちに気付いていたのだろう。


「あっ、ルイ来たわよ」


ルイ様が走ってこちらにやってくる。

「じゃあルイも来たし、私帰るわね」
「ウララ今日はありがとう」
「ルイ、、、私こそありがとう。いい思い出になったわ」

ウララは本当は離れたくないと言わんばかりに、
ルイへと最後のキスをした。
私は二人の姿に目を伏せた。

「あっ、、、言い忘れてた。スノウ、、、」
「はい?」














「あの時、助けてくれてありがとう」


ウララはニコッと笑い馬車に乗り屋敷へと帰った。








「あの時って?」
「、、、秘密です」

私とルイ様も馬車へと乗り込み屋敷へ戻る。
ルイ様がそっと私の手を握った。


約束の時間は一刻と近づいていた。






馬車が屋敷に着く。

「じゃあ、スノウ」
「はい」

ルイ様が握っていた手を離す。

「君が来るまで、ずっと待ってるから」

ルイ様は私の耳元で呟くと、
自室へと歩いて行った。





「さぁ、スノウ様も支度始めましょうか」
「アクト、、、」

アクトはどこからともなく現れた。

「まさか、行かないおつもりじゃないですよね?」
「行くに決まってるでしょ」
「ならよかったです、、、心配しなくても大丈夫ですよ」
「えっ?」
「絶対いい話に決まってますから」



アクトは私にニコっと笑った。
    
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