66 / 85
第二章★
059:もうひとり。
しおりを挟むーー同時刻
■線路上(草壁 真司)
真っ暗な線路上で私、上杉と謎の人物で対峙している。男は未だフードを被り、得体が知れない不気味な雰囲気を漂わせていた。
「あなたは何者なんです?」
私はランスを構えながら男に聞く。
無動作での移動系能力…そしてひしひしと伝わってくる存在力。相手を観察ながら思う。彼の存在力の大きさは間違いなく現時点最強クラスですね。うちの会長前後くらいのLvはありそうです。
「何かいったらどうだ? 」
上杉が指輪の形状を変え拳銃にしていた。耳を貫くような発砲音がする。弾丸が男に向かっていく。
「……せっかちな人達だねー」
男の手元から鎖鎌が飛び出し、素早く弾丸を切り落とす。あの鎖鎌…どこかで見覚えが…それは上杉も同じようだ。
「……!! 」
男はフードを脱ぐ。
まるで小動物のような可愛いルックスが現れる。この人以前、真君と一緒にいた男子生徒ですね…。もっとも今は不気味な笑顔と得体の知れない雰囲気をしていますけど。
「あ、あなたは確か大和 真と大凶高校戦では共に行動していたナルとかいう人物では?」
「へー、さすが副会長さんだね。あなたとは直接お話ししたことはなかったけど、大和君といたことは覚えててくれてたんだね。そっちの上杉さんは僕のこと知ってるもんねー」
「お前何してるんだ?それにその雰囲気」
「我々の味方に手を出した時点で敵と判断すべきでしょう。それに今のあなたの存在力は異常な数値です。今まで戦闘力を隠していたんですか?」
「まあ、そんなとこだね。ちょっと見ときたかった人物がいてね。色々観察させてもらったよ。そしてね元々、僕は違う学校の人間なのさ。今は星華高校で「彗星」を名乗っている」
ーーバシャ
「ーー!!!」
足元にはいつの間にか水が溜まっている。いや…薄く水没している。どこからか水が流れてきていて、どす黒く禍々しい水が辺りを覆う。これって……
「おいおい! この能力どこかで…」
ナルの手には鎖鎌ではなく、いつの間にか刀が握られている。
これまでで一番の身の危機を感じた。
身体がやけに震える。
背筋からは汗が止まらない。
━━━━━━━━━━━
※奥義発動!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★水神の神殿
━━━━━━━━━━━
ナル…いや彗星の刀からは禍々しい音声が流れ、刀身からはさらにとめどなく水が溢れて出てくる。線路上だけじゃない。付近の駅のホームや街中にまで水が敷かれていく。
「その刀は大和のじゃねーか!!まさかあいつも殺したのか!? 」
上杉は拳銃を構えながら、彗星に聞く。
「いや、少し違うよ」
「…? 」
「この刀の名前は【草薙刀(左)】だよ。ちなみに大和君が持っているのは【草薙刀(右)】さ」
「お、お前は何者なんだ?草薙刀とその膨大な存在力……」
辺りに敷かれたどす黒い水が揺れ始め、異変を感じる。
「うーん。そろそろ立心館との終戦が近づいてるみたいだね」
2人は彗星から明らかな殺気を感じていた。
「もう正直、うちの高校は負けるからもう、どうにかしようみたいな気はないんだけどね。でも君達は死んでもらうね。僕の気まぐれで」
彗星の辺りの水が盛り上がり、まるで竜のような形が何体もできていく。その水の竜が2人を囲む。
「最後に教えてあげるよ。僕の名前は“ナル”でも"彗星"でもない……」
水の竜が急速に動きだし、2人に容赦なく迫っていく。
「……我が本当の名前は“タケル”」
凄まじい轟音が辺りに鳴り響いた。
しかし、その音は戦闘中の会長達に届くことはなかった。
…………
……
…
0
あなたにおすすめの小説
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる