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目覚め

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入学式。首席の彼は最初に言葉を述べる。
「晴天の…」
スピーチが終わり教室に向かう。
この学園は貴族や平民など関係なく受験によって選抜される。平民にも可能性ができるように試験は基本的に別々となっている。SクラスからDクラスまでのいずれかに全員が配属される。平民は最高でも原則としてBクラスからだ。学ぶ環境にいなかった平民がここまでくること自体が大変名誉となっていた。
だが今年は少し違った。
ガラガラ
「よう!俺はスウェート。よろしくな!」
「ゼロ。」
Sクラスは合計で15人。入学した時点では貴族しかいないこのクラスも定期テストによって入れ替わり卒業時にはそこまで比率は変わらなくなる。
「これで全員揃ったな。俺はこのクラスの担任のシエロだ。これからよろしくな…それにしても今年のSクラスは凄まじいな。戦場の英雄に勇者、おまけに全員それぞれ家の神童とまで言われるほどの奴らとは。こりゃ教えることないだろ。」
そう。勇者がいるのである。平民でありながら勇者の能力に覚醒した人間。






今日は特に何もなかったのでそれで終わりだったがゼロはいつものように戦場へと向かう。
「皇帝陛下。今日は?」
「一旦停戦だ。」
「はい。」
初めての休戦命令。
「魔王がついに目覚めた。勇者がお前のクラスにいただろう。各国は一旦停戦。協力して魔王を討つことにした。魔王は別格だ。お前を派遣してもいいがそれで失うわけにはいかない。嬉しいことに我が国は勇者が発見された。それを派遣すればいいだろう。」
「はい。」
「今日は休め。」
「はい。」
帝国に損失を出させるわけにはいかない。
ひとまずゼロは魔王を見に行った。






意識はない。ただ暴れ回っているだけだ。まだ目覚めたばかりの興奮状態となっている。
勇者たちではこれはおそらく倒せないだろう。
今倒すこともできるが国の近くに来るギリギリまで放置することにした。
侵略された土地を根こそぎ奪う為だ。
転移して戻ってくると目の前に父親がいた。
「どこにいっていた。」
「いえ。」
「うーん。まあいい。休めと言ったら休んでくれよ。」
「はい皇t…!」
「うん?どうした。」
「これは今すぐに対応すべきでしょう。国益に影響する。」
「何を言っている。ぜ…「皇帝陛下!」ろ?どうした。そんないあわてて。」
「魔神が!」
「何を言っている。魔神なんて伝承上のものじゃ…「いいえ。」?」
「この圧倒的な魔力は神の領域ですね。」
「なんだと!?それならば今すぐ各国と連絡を取らねば!」
「!」
「まだあります!」
「エンシェントドラゴンが眠りから目を覚まし、3方向からの攻撃です!」
「はぁ!?」
「近くの国は全て壊滅いたしました!」
「これはまずいな…「パチン」どうした?」
「今この国に結界を張り巡らせました。これでこの国の中にいる限り安全でしょう。」
「本当か?」
「ええ。」
「よくやったぞ。わしは少し調べ物をしてくる。代わりに各国と対談をしてくれ。」
「はい。」
「それじゃあ後は頼んだぞ。」
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