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14話 ミリオンパーティーの行く末は 2
深い眠りについているミリオンたちに、忍び寄る影があった。眼は赤く光り、グルグルとのどを鳴らして、鋭い牙ある口からは獲物を見つけて涎を垂らしている。
獰猛なブラッドウルフの群れだ。
サウザンは魔獣たちの息づかいに、気づいていない。ミリオンたちの周りは、すでに取り囲まれている。
ミリオンはふと肌寒さを感じて目を覚ます。隣に寝ているティーンが、掛布を独り占めしていたのだ。
「……寒っ」
ティーンに寄り添って、また眠ろうとした時だ。紅い光が無数にあるのが、ミリオンの視界に入ってきた。
一瞬なにかわからずに、瞳を閉じた。でも、それがその場所にあってはいけないものだと気づき、眠気は吹きとんだ。
————嘘だろ!? 魔獣に囲まれてる!!
「全員、起きろ! 魔獣だ!」
その言葉にパーティーメンバーたちは飛び起きた。
「え!? 魔獣ってなんで?」
「うわっ、マジかよ!!」
「チッ……いつの間に!」
イラッとしたミリオンは、思わず声を荒げる。俺が起きた時には、ガッツリ寝てたじゃねぇか!!
「サウザンが居眠りしてるからだろ! ふざけんな!!」
「チッ! うるせえ! さっさと倒すぞ!」
一匹目のブラッドウルフを倒しながら、サウザンは怒鳴り返した。ティーンとトレットもすでに応戦していて、余裕はなさそうだ。
「もう、やだ! 早くやっつけてよぉ!!」
「しゃべってる暇があったら、魔法打てよ!」
「トレット、うるさい! 今やるわよ!」
お互いに罵り合いながら、ブラッドウルフの群れを倒した頃には、東の空が明るくなり始めていた。
ほんの2時間ほどの睡眠しかとれていない。
回らない頭でミリオンは考えていた。
何かがおかしい。何かがいつもと違う。この依頼はただの魔獣の討伐じゃないのか? 邪魔だったFランクのカイトを追い出して、これからSSSランクを目指すつもりなのに……魔獣に重大な異変が起こっているのか?
……待てよ。それなら、この調査を進めて、いち早くギルドに報告すれば、俺の名声は上がりまくりじゃないか!!
やっぱりカイトがいなくなって正解だな。俺に運が向いてきた……!!
「きっと、魔獣に何か起きてるに違いない。これからは魔獣を討伐しながら、その調査もしよう。そうすれば、伝説級のSSSランクパーティーに一歩近づくぞ」
「えっ……魔獣を討伐しながら……?」
「チッ! 面倒くせぇなぁ!」
「でもSSSランクのパーティーになったら、もう討伐に出なくても一生食っていけるぜ」
トレットの一言に、ムクムクと欲望がわきあがってくる。
「そ、それもそうね!」
「ガハハ! それならやってやる!」
盛大な勘違いに気づかないミリオン一行は、パラリシスベアーを討伐するために、山の中へ進んでいった。
獰猛なブラッドウルフの群れだ。
サウザンは魔獣たちの息づかいに、気づいていない。ミリオンたちの周りは、すでに取り囲まれている。
ミリオンはふと肌寒さを感じて目を覚ます。隣に寝ているティーンが、掛布を独り占めしていたのだ。
「……寒っ」
ティーンに寄り添って、また眠ろうとした時だ。紅い光が無数にあるのが、ミリオンの視界に入ってきた。
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————嘘だろ!? 魔獣に囲まれてる!!
「全員、起きろ! 魔獣だ!」
その言葉にパーティーメンバーたちは飛び起きた。
「え!? 魔獣ってなんで?」
「うわっ、マジかよ!!」
「チッ……いつの間に!」
イラッとしたミリオンは、思わず声を荒げる。俺が起きた時には、ガッツリ寝てたじゃねぇか!!
「サウザンが居眠りしてるからだろ! ふざけんな!!」
「チッ! うるせえ! さっさと倒すぞ!」
一匹目のブラッドウルフを倒しながら、サウザンは怒鳴り返した。ティーンとトレットもすでに応戦していて、余裕はなさそうだ。
「もう、やだ! 早くやっつけてよぉ!!」
「しゃべってる暇があったら、魔法打てよ!」
「トレット、うるさい! 今やるわよ!」
お互いに罵り合いながら、ブラッドウルフの群れを倒した頃には、東の空が明るくなり始めていた。
ほんの2時間ほどの睡眠しかとれていない。
回らない頭でミリオンは考えていた。
何かがおかしい。何かがいつもと違う。この依頼はただの魔獣の討伐じゃないのか? 邪魔だったFランクのカイトを追い出して、これからSSSランクを目指すつもりなのに……魔獣に重大な異変が起こっているのか?
……待てよ。それなら、この調査を進めて、いち早くギルドに報告すれば、俺の名声は上がりまくりじゃないか!!
やっぱりカイトがいなくなって正解だな。俺に運が向いてきた……!!
「きっと、魔獣に何か起きてるに違いない。これからは魔獣を討伐しながら、その調査もしよう。そうすれば、伝説級のSSSランクパーティーに一歩近づくぞ」
「えっ……魔獣を討伐しながら……?」
「チッ! 面倒くせぇなぁ!」
「でもSSSランクのパーティーになったら、もう討伐に出なくても一生食っていけるぜ」
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