僕の存在は偽物で

裕雨(ゆう)

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クローン人間

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 僕はごく普通の高校生だった。友達とも普通に仲良くやれていて、学校の成績もそこそこ良かった。そんな僕だが、実はもう満足すぎる生活に飽き飽きしていた。でも僕が学校から帰っている途中事件は起きた。

「今日も終わった。帰って一緒にゲームしようぜ」

 一緒によく帰る友達の寛太が僕が背負ったリュックを叩きながら言った。

「別にいいけど……お前明日テストだぞ?勉強しなくていいのか?」

「だーいじょうぶ!赤点さえ回避すれば!てかいいよなお前は、勉強してなくても点数取れるから」

「そんな事はないよ。少しはちゃんとやってるって」

 自分で言うのは何だが、勉強に関しては特に頑張っているわけでもないのに、学年でtop 10を維持し続けている。
 そんな他愛も無い話をしている時。後方から来た黒いワゴン車が僕たちの眼の前で急停車した。

 僕たちはびっくりして黙り込んでしまった。すると、中からごっつい黒ずくめの男が三にでてきて僕たちの方に向かってくる。

「寛太行くぞ!」

 危険を察知した僕は寛太の手を握って走り出した。

「お、おい!どこへ行くんだ?」

「見たらわかるだろ!あれは明らかにやばい奴だ!もう自分で走ってくれ!」

 そう言って寛太の手を離そうとすると、今度は寛太が僕の手をぎゅっと握りしめて離さなかった。

「おい!どうしたんだ?」

 僕がそう言うと寛太は急に走るのを止めた。

「おい離すか走るかしろ!何で止まるんだよ?」

 僕はそう言って寛太の顔を覗きこんだ。

「何で泣いてんだ?」

 僕がそう言葉を漏らすと背後で足音がした。
 僕は急激な痛みを覚えその場に倒れた。
 


 しばらく経ったのだろうか。ベットから起き上がると、窓の外はとっくに日が暮れていた。

「やっと目覚めたか」

 聞いたことの無い声に、いま自分がどういう状況なのかを思い出した。

「あんたは、誰なんだ……」

「私は君だよ」

「は?」

 私は君だよ?ふざけてんのか?明らかに十代の顔つきじゃない、ちょっと老けて……
 僕は彼の顔を観察しているとあることに気がついた。

「お、やっと気づいた?私はねえ右目の下に少し大きなほくろがあるんだよ。君と同じね」

 僕の体がぶるっと震えた。恐る恐る僕は無意識に自分のほくろに触れた。

「ね?声も顔も、私は、いや、僕は15年後の君なんだよ」

 にたっと笑ったその顔を僕は知らない。僕が大人になったらこんな人間になってしまうのかと、考えたくもないことを勝手に考えてしまう。

「う、嘘に決まってるさ。何で未来の君がここにいるんだよ」

「ふふ、誰も未来から来たなんて言ってないよ。まあ、ゆっくり話をしよう。二人っきりで」

 僕はごくっと唾を飲み込んだ。

「君は今十六だよね?後、一年で君は自分の病気を知ることになる」

「はあ?あんた何を言って──」

「まあまあ、落ち着け。これは事実。僕が高校二年生の時思い心臓の病気をわずらった。進行が遅いせいもあって、四十歳までしか生きられないとの事でな。僕は今三十五、後五年でこの心臓は止まる。そんな時僕は思いついた。自分のクローンを作って、そいつから移植すればいいことに」

 僕の背筋は凍り付いた。普通に考えれば信じがたい事実だが、僕はすんなり信じれてしまった気がした。

「そんなことできるわけないだろ!」

「できるんだよ。僕は十九歳のときに親が金持ちだったから、世界中から人を集めてクローンを作る計画をたて、実行した。知ってるか?千九百九十七年に羊のクローンが誕生したことを。羊でできて人間でできない理由なんてなくないか?」

「そ、そんなばかな。僕は僕だ!お前と一緒にすんな!」

 僕はベットから飛び上がり威嚇した。

「落ち着け。とりあえずベットに座って」

 僕は仕方なくベットに座り込んだ。

「まあ、大体分かったでしょ?君の家族は偽物。ついでに友達もね?」

 その時、僕は寛太が最後泣いていたのを思い出した。

「お前、一体どうして……」

「別に、わかってくれると思ったんだけどなあ。多分君は僕だから、病気が発覚したら同じことを──」

「するわけ無いだろ!人の人生をもて遊びやがって!」

 僕は怒った。今まで以上に。僕の生活は偽物で、僕も偽物で……

「あーあー、泣かないで?僕のため、自分のためになるんだよ?いいじゃないか!それはそれで。大丈夫。まだ長生きできるようにアメリカで2号も育ててあるから」

 僕はカッとなって自分に飛びついた。その瞬間この部屋で銃声が鳴り響いた。
 
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