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第1章、碧編
【17】彷徨うココロ *R18
しおりを挟む「コンドーム?」
「そー。6個入りだって」
「へえー」
17歳という年頃なのに、月経周期や排卵に疎かったので、自分の危険日など知らなかった。小中と性教育の時間はあったが、そんなに熱心でもなかったので、知識はゼロに近かった。
千晴はそういうことも知っていたかもしれないが、まだ相談できる状況でもなかったし……。
「碧、前の生理いつ?」
「えっと……3月の……いつだっけ。でも今日明日には来ると思う」
「あ、そうなの?じゃあ安全日じゃん」
嫉妬よりも、そんなことよく知ってるなぁと感心した。私、男の人の体なんてもっと知らないよ。
「じゃ、今日はナシでしよ」
と、浅野君は箱を置き、私の肌を隠していた掛け布団を剥いで、自分も布団の中に入った。
私のおっぱい目掛けて顔を埋め、片手は大きく揉み、舌が、ぷくっと膨らむ先端を舐めはじめる。
ああ、この感じ。気持ちいい。何もかも忘れられる快感。
ちゅっと乳首を吸い上げられて、「あん」と甘い声を出した。
浅野君はにやっと笑って、「エロいなぁ」と嬉しそうに私の下へ手をやった。
彼の指が、淫らな粘膜を掻きわけ、溶けているそこにゆっくり入ってゆく。
ちゅく・・・と音が聞こえて、顔が上気してきた。
「碧……何でこんなエロいの。処女ん時もひとりでしてたの?」
ふるふると首を横に振りながら、彼の指の動きを中から味わう。
オナニーなどした事はない。興味もなかったぐらいなのに、突然性に目覚めてしまった。浅野君の手によって。
「俺も手コキして」
人間の体とは思えないほど硬い浅野君のそこに導かれて、先日のように上下に手で扱きあげた。
手首を返しながら、リズミカルに上下させていると、浅野君は私の手をギンギンのそこから離させた。
「エロっ、なんでそんな上手くなってんだよ。昨日練習した?」
「えっ?練習なんかしてないよ。どうやって練習すんの?」
「他の男の握んじゃねーぞ」
充分な愛撫をしないままに押し倒されて正常位になり、私は蛙になる。
浅野君は勃起したものを私の潤みに当てがって、ぐっと沈めていった。体は悦んで彼を迎え入れて離さない。
浅野君の瞳の中には、淫乱な顔をしている私が映っていた。
浅野君は苦しげに私の唇を貪り、余裕なさげに腰を打ちつける。
奥に当たるごとに、私の口からは甘ったるい女の声が出て、浅野君のくぐもった声も聞けた。
「はあ、碧、中すげーよ……。気持ちいい?」
「うん……っ」
浅野君の腰の動きだけじゃ足らずに、蟹挟みの様に絡みつき、彼のものに擦りつけるように腰をうねらせる。手は背中に回してぴったりとくっつく。
確かに、裸でするセックスは、何も妨げがなくて気持ちよくて、汗ばむ肌にキスをする。
「ちょっと腰止めて、やべーから」
がしっとお尻をたっぷりとつかまれて動きを封じられてしまった。
浅野君は、私の中に入りながら何かに耐えるようなポーズを取り、息を止めている。
「浅野君、だ、大丈夫……?」
「ん~…乗り切った……。イクのもったいねーからな」
「もったいない……?」
「せっかく碧の中入ってられるのに、終わりたくねぇじゃん……」
浅野君の、愛情に似た囁きに、私の胸の中と浅野君と繋がっている所がきゅんとする。
腰の動きを止めて、浅野君は自分の親指を舐め、繋がる粘膜にその指を近づけてゆく。
少し剥けている蕾を見つけ出し、親指でぐいと押された。
「ああっ、やっ……浅野君」
ヌル……という感覚は浅野君の唾液だけではない。私の蜜を掬い取って、蕾に塗りたくる。
ヒクヒクと小刻みに痙攣をする小さな口は、浅野君のものの形に広がって受け容れている。
その境界からは、とろりとした透明がとめどなく滴っていて、彼に腰を大きく動かされた時に、粘りのある水音が鳴る。
親指をしっかりと押し当てられたと思ったら、すごい速さで動かされ始めた。
「あ、ああああ、何これっ……」
「気持ちいいだろ?イカせてやるよ」
浅野君の大きなものが入ったままなのに、無意識にぎゅっぎゅっと締め付けてしまって、顔を覆った。
「隠すなよ、顔見せろ」
「やだ……っ、ああん!やだ、そこ……」
「クリトリスって言うんだよ、これ。すっげー勃起してるよ、ピンクだし…」
恥ずかしい言葉を羅列されながら、浅野君の親指は素早くクリトリスを往復する。
「浅野君、もうだめ、あそこが変なの、漏れる~……」
「いいよ。漏らすなら漏らせよ。全部舐めてやる」
浅野君は私から目を離さずにニヤリと笑う。
その笑顔を見ながら私は、雌猫のような声を出して、意識を遠のかせた。
「イッた?じゃ、俺も動いていい?」
浅野君の律動で、彷徨った意識はすぐに戻された。
しかし達したばかりの中を掻きまわされるのは苦痛だった。
「やだ、ゆっくりしてっ……」
激しさに耐えられず逃げ出そうとしたら、浅野君は急に腰を引き、私から離れるのと同時に、お腹の上には温かい何かが広がった。
「はあっ、はあっ、はあっ……」
浅野君は私の鎖骨に額をつけて、荒い息を整えている。
私はお腹の上にある浅野君の絶頂の証を指で弄んだ。
「うわ、何やってんだよきったねぇな……ティッシュで拭けよ」
と机上に置いてあるティッシュボックスを放り投げられる。
浅野君のなら、汚いとは思わないのに。
ティッシュできれいにお腹を拭いた。時計はもうすぐ19時。
「あ、帰らなきゃ……」
独り言のようにつぶやき、制服を着ていると、浅野君は私服に着替え出した。
「碧、門限19時なの?早くね?」
「んー、まぁ、そんなとこ」
「なんだよ。はっきりしねぇな」
浅野君にはまだ、義父の話はしていない。
突然仲良くなって、まだ数日しか経っていない。セックスは何度もしているが、会話という会話はあまりない…
「浅野君、週末どこ連れてってくれるの?」
「そりゃあふたりっきりになれるとこだろ」
「本当にエッチのことしか考えてないんだね……」
「は?そんな意味じゃねぇよ、碧こそ頭ん中そればっかりだな」
嘘……私の方がエッチなこと考えてたの?
ぶーっと吹き出したら、浅野君も笑った。
「バカだよなー、おもしれ」
「バカじゃないよ、普通だよ」
こんな感じの浅野君でも成績だけは優秀で、学年では10位ぐらいをキープしている。私はもう少し下のラインをうろうろ……。
そうして、家を出て、ガレージで私の自転車に鍵を入れたら、浅野君がハンドルを取った。
「後ろ乗れよ」
「二人乗り?帰りはどうするの?」
「走って帰るよ。つうかまだ名字で呼ぶの?もういいんじゃねーの」
そう言いながら浅野君は、俯いて自転車の向きを変えている。
えーと、それは……名前で呼んでと言う……。
「……遥?」
ドキドキしながら呼んでみたら、浅野君は何食わぬ顔で振り返る。
「おう。乗れよ、後ろ」
「うん……」
あんなに激しくエッチしたって、好きだなんて一言も言われていない。
浅野君の気持ちはわからない。
自転車に座って、後ろから浅野君を抱きしめた。
彼は私の腕を一度握ってから手を離し、静かにペダルを漕ぎ出す。
朝降った雨はすっかり上がっていて、薄暗くなった空はいつもより澄んでいた。
遥。
きれいな名前だなあ。
掴みどころのない彼の雰囲気を表しているような、そんな名前に思える。
遥のこと、身体だけじゃなくて、どんな事を考えているのか、何が好きなのかとか、たくさん知ってみたいけど、知りたくないようなことまで知るのが怖くて、何も聞くことができなかった。
臆病者の私は、彼の腰に回している手にぎゅ、と力を込め、細身だけど女子よりは広い彼の背中に頬を当てる。
この人を独り占めしたい。
飽きるほど、好きだって囁かれたら、私一体どうなっちゃうんだろう。
やがて自転車は家についた。
「ありがとう、遥……」
お礼を言うのと同じぐらいに遥のスマホが鳴り出し、挨拶もそこそこに彼は着信に出てしまった。
「ああ、今から?いいよ」
そう電話先に返事する遥。
相手は誰だか知らないが、タメ口ということは小林先輩ではない。
……もしかして結愛ちゃん?
そう気付いた途端に、心が嫉妬で掻き乱される。
さっきエッチしたのに、遥はまたこれから他の女の子を抱くの?
通話が終わり、遥はスマホをポケットに入れた。私は、詮索心を抑える事ができずに、鞄を抱きしめながら尋ねてしまった。
「どこ行くの……?これから」
「あー、ちょっとな。じゃ、また明日、学校で」
あしらうような返事をされ、遥は急ぎ足で帰って行った。
どこ行くの?私には言えないような人と、会うの?
胸が痛くてつぶれてしまう。
生まれて初めての嫉妬は、自分自身を丸ごと焼き尽くされてしまいそうだった。
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