13 / 64
回想 勇者ジークという男について
しおりを挟む
俺達三人はいわば上京した形となった。
目的地は首都バーハラにおられる勇者ジークのところ。
謀叛者による内乱によって灰燼に帰した都であったが、もう戦いは終わり人々は復興へと進んでいる。
全ては勇者ジークのおかげである。
彼はグラン・ベルン王国の第二王子であり、外国に留学中の時期に不良貴族らによるクーデタからの内乱の報を聴きその地にて解放軍を結成。
その後は紆余曲折の末に東の龍山にて龍と契約を結ぶ「勇者」となり首都バーハラ解放戦争を発動。
これによって占領されていた首都と囚われの第一王子が解放され、グラン・ベルンは晴れて元の秩序を取り戻した。
その勇者ジークが布告を出した。
「反乱貴族であり現在魔王となった奴らを倒す戦士を集う」と。
これに乗った各地の若者たちがバーハラを目指す。
祖国解放の戦いから世界解放の戦いへ。
各地で支配を続ける魔王に対抗する各地の勇者と戦士たちの旅に後の伝説に俺達も列なるために、風で埃が舞いいまだ燻る焼き焦げた戦火の臭いを嗅ぎながらアレクとノイスは前へ前へと歩みを進め俺もその後についていく。
街の郊外の草原にそれがあった。軍隊のテントであり人々の声が聞こえる。
ここが解放軍の本拠地かと俺は期待で胸が一杯になっていくのを感じながら中へと入ろうとすると、入口のいわば門番が現れそれから俺達は幹部たちのいるという点とへと向かうその途中で男が一人見えた。
説明はなくとも勇者ジークが誰だかはすぐに分かった。
壁ではなく人がいる。デカい。とにかくデカい男だった。
家の屋根を見上げるような背丈にその厚みのある身体、俺たちとは段違いの堂々男子そのものだった。
さてその周辺には屈強な強者たちが……いない?
小さな従者がひとり侍るだけであり、他には誰もいない。
というか勇者ジークの陣営にそもそも人があまりいない。
ポツポツと人はいるのはいるが、どこか最初のイメージと違っている。
もう少し多くてもいいのに意外とこじんまりとしていた。
首都を解放したのがこの規模なのか? 主力は外出でもしているのか? 俺がそこを気にしても仕方がなく勇者ジークのところへたどり着くと、
ノイスが代表して口上を述べて跪くと勇者様は鷹揚に頷いた。
そのまま黙っているが、二人もそうだろうが俺は満足した。
言葉がなくても満足した。
一緒に戦わせてください、いいよ。これ以外の言葉は特に必要はなく求めてはいなかった。
心が通じ合っているのなら言葉は特に必要はないはずだ。
うん、これでいいと思い立ち上がると勇者様の傍らにいる従者が前に出た。
巨漢の勇者様の傍にいるから小さいのかなと思ったが、近距離から見ても身長の低いこの従者……にしては身なりは良くて顔も気品が漂わせている。
ひょっとして従者ではなかったのでは?
それどころかこの人はもしかして、勇者様の兄の第一王子!?
俺がそんな予感を以て戸惑っているとその男はこちらの怯えに気付いたように微笑んだ。
するとやはりそうなのか!
「よく来てくれたね若き戦士諸君! 我々は君たちの参戦をここらから歓迎するよ。
こちらは見た目通り勇者ジークでありこの僕は見た目とは違って勇者の兄のフリートだ」
やはりそうだと俺の予感通りでありアレクとノイスは事の重大さにすぐに気づき再び跪こうとするとフリート王子は手でそれを制した。
俺は反射が遅くて中腰となってそれを見ていた。
「気を遣わなくて良いのだよ。いまの僕は勇者の兄でありその代弁者でもある。
王子扱いは魔王を倒して世界が平和になってからにしてくれ。
奴がいる限り僕は勇者の従者なのだ。僕はどちらかに仕える運命にあるものであるのだからね」
フリート王子の最後の言葉が妙に聞こえた?
どちらかというのは勇者と誰なのか? それはジーク様とどんな関係が? 全ては謎のままであったがこのことは心に残った。
「代弁者というのは弟は龍の血の契約の代償に言葉を失い死ぬまで口が利けなくなったからだ。
まぁ御蔭で僕にも役割が出来たからいいんだけどさ。一国の王子としてこれに勝る栄光もないものだ」
お道化ながら言うフリートに立ち上がったノイスとアレクは苦笑いで反応するが、俺も自然につられ笑うが王子をとても良い人だと感じた。
無理はしているがそれでも卑屈になったり気負ったりはしてはいないその態度。
なるほど勇者の兄といったところであり、未来の王かもしくは勇者様に王位を譲るといった平和的解決ができる御仁であるとも確信できた。
「改めてよろしく三人の戦士アレクにノイスに、ええっと」
「アッアーダンです!」
「そうかアーダンだったね。よし我がパーティを案内しよう、といっても君たちがここに来るまでの間に見たのがほぼ全てだね」
「えっ! こんな小世帯で」
「無論魔王に立ち向かうんだよ! まぁこれからだこれから。まだグラン・ベルンという一つの地域を解放したに過ぎずはじまったばかりだ。
これから旅を続けていき支配地を解放していき仲間たちが増えそして魔王のところへと辿り着く。
同じく仲間である同志諸君、共に戦おう、と勇者ジークは言っているはずだ」
「はい!」
と俺達三人は声を合わせて応えると勇者兄弟は頷いた。
そう俺達は、いや俺は勇者と共に戦いそして英雄となるんだ。
その為に俺は旅立ったのだから。
目的地は首都バーハラにおられる勇者ジークのところ。
謀叛者による内乱によって灰燼に帰した都であったが、もう戦いは終わり人々は復興へと進んでいる。
全ては勇者ジークのおかげである。
彼はグラン・ベルン王国の第二王子であり、外国に留学中の時期に不良貴族らによるクーデタからの内乱の報を聴きその地にて解放軍を結成。
その後は紆余曲折の末に東の龍山にて龍と契約を結ぶ「勇者」となり首都バーハラ解放戦争を発動。
これによって占領されていた首都と囚われの第一王子が解放され、グラン・ベルンは晴れて元の秩序を取り戻した。
その勇者ジークが布告を出した。
「反乱貴族であり現在魔王となった奴らを倒す戦士を集う」と。
これに乗った各地の若者たちがバーハラを目指す。
祖国解放の戦いから世界解放の戦いへ。
各地で支配を続ける魔王に対抗する各地の勇者と戦士たちの旅に後の伝説に俺達も列なるために、風で埃が舞いいまだ燻る焼き焦げた戦火の臭いを嗅ぎながらアレクとノイスは前へ前へと歩みを進め俺もその後についていく。
街の郊外の草原にそれがあった。軍隊のテントであり人々の声が聞こえる。
ここが解放軍の本拠地かと俺は期待で胸が一杯になっていくのを感じながら中へと入ろうとすると、入口のいわば門番が現れそれから俺達は幹部たちのいるという点とへと向かうその途中で男が一人見えた。
説明はなくとも勇者ジークが誰だかはすぐに分かった。
壁ではなく人がいる。デカい。とにかくデカい男だった。
家の屋根を見上げるような背丈にその厚みのある身体、俺たちとは段違いの堂々男子そのものだった。
さてその周辺には屈強な強者たちが……いない?
小さな従者がひとり侍るだけであり、他には誰もいない。
というか勇者ジークの陣営にそもそも人があまりいない。
ポツポツと人はいるのはいるが、どこか最初のイメージと違っている。
もう少し多くてもいいのに意外とこじんまりとしていた。
首都を解放したのがこの規模なのか? 主力は外出でもしているのか? 俺がそこを気にしても仕方がなく勇者ジークのところへたどり着くと、
ノイスが代表して口上を述べて跪くと勇者様は鷹揚に頷いた。
そのまま黙っているが、二人もそうだろうが俺は満足した。
言葉がなくても満足した。
一緒に戦わせてください、いいよ。これ以外の言葉は特に必要はなく求めてはいなかった。
心が通じ合っているのなら言葉は特に必要はないはずだ。
うん、これでいいと思い立ち上がると勇者様の傍らにいる従者が前に出た。
巨漢の勇者様の傍にいるから小さいのかなと思ったが、近距離から見ても身長の低いこの従者……にしては身なりは良くて顔も気品が漂わせている。
ひょっとして従者ではなかったのでは?
それどころかこの人はもしかして、勇者様の兄の第一王子!?
俺がそんな予感を以て戸惑っているとその男はこちらの怯えに気付いたように微笑んだ。
するとやはりそうなのか!
「よく来てくれたね若き戦士諸君! 我々は君たちの参戦をここらから歓迎するよ。
こちらは見た目通り勇者ジークでありこの僕は見た目とは違って勇者の兄のフリートだ」
やはりそうだと俺の予感通りでありアレクとノイスは事の重大さにすぐに気づき再び跪こうとするとフリート王子は手でそれを制した。
俺は反射が遅くて中腰となってそれを見ていた。
「気を遣わなくて良いのだよ。いまの僕は勇者の兄でありその代弁者でもある。
王子扱いは魔王を倒して世界が平和になってからにしてくれ。
奴がいる限り僕は勇者の従者なのだ。僕はどちらかに仕える運命にあるものであるのだからね」
フリート王子の最後の言葉が妙に聞こえた?
どちらかというのは勇者と誰なのか? それはジーク様とどんな関係が? 全ては謎のままであったがこのことは心に残った。
「代弁者というのは弟は龍の血の契約の代償に言葉を失い死ぬまで口が利けなくなったからだ。
まぁ御蔭で僕にも役割が出来たからいいんだけどさ。一国の王子としてこれに勝る栄光もないものだ」
お道化ながら言うフリートに立ち上がったノイスとアレクは苦笑いで反応するが、俺も自然につられ笑うが王子をとても良い人だと感じた。
無理はしているがそれでも卑屈になったり気負ったりはしてはいないその態度。
なるほど勇者の兄といったところであり、未来の王かもしくは勇者様に王位を譲るといった平和的解決ができる御仁であるとも確信できた。
「改めてよろしく三人の戦士アレクにノイスに、ええっと」
「アッアーダンです!」
「そうかアーダンだったね。よし我がパーティを案内しよう、といっても君たちがここに来るまでの間に見たのがほぼ全てだね」
「えっ! こんな小世帯で」
「無論魔王に立ち向かうんだよ! まぁこれからだこれから。まだグラン・ベルンという一つの地域を解放したに過ぎずはじまったばかりだ。
これから旅を続けていき支配地を解放していき仲間たちが増えそして魔王のところへと辿り着く。
同じく仲間である同志諸君、共に戦おう、と勇者ジークは言っているはずだ」
「はい!」
と俺達三人は声を合わせて応えると勇者兄弟は頷いた。
そう俺達は、いや俺は勇者と共に戦いそして英雄となるんだ。
その為に俺は旅立ったのだから。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる