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第1巻 異世界でもギターしかなかった ~迷わずの森とバーウの村~
第28話「バーウの村での異世界ライブ開始直前」
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ステージには煌々と明かりが灯っている。
家々の割れた窓の隙間から、明かりがほのかににじみ出て、村全体は真っ暗と言うほどでもないが、それでも、それは浮遊するかの様に、輪郭がはっきりと浮き出ていた。
もう間もなく開演ではあるのだが、ステージには誰もいない。
ステージの上にいたのでは、これから演奏が始まることが丸わかりである。
そうなると、演奏を聴く前に人々が帰ってしまうことが明白なので、幸達はステージの裏で、待機し、演奏と同時にステージに上がる算段となっている。
ステージの下の観客はと言うと……。
元ミスリルのセットアップ3人組。もとい、仕事が終わった警備兵3人。
そして、その警備兵が無理やり酒場から連れてきた、客3人ほど。その中にスキンヘッドのマスターもいた。
さらに、おそらく紙飛行機のチケットを開けて見に来た人であろう村人が5人ほど来ていた。
もしかすると投げられた石に付いたチケットから見に来た奇特な人間もいるかも知れない。
とにかく約10人ほどが“素晴らしい催し物”を待っている。
ステージ裏では……。
4人と一匹が、本番直前の空気をそれぞれに味わっていた。
「はぁ……。いよいよだね。
ここからじゃお客さん見えないから、怖いね。
一人でも来てくれてるかな……。」
キヨラはお客さんの心配。
「あぁ、幸君とライブかぁ……。
一緒にやりたいと言ったものの、いざやるとなると、不安になって来た……。
あんな素晴らしいライブが俺達に出来るのか……。」
リズム隊は、徐々に緊張に蝕まれて来ている。
「幸!
寒くないか?
俺が羽で温めてやる。」
ピーネは、幸の心配。
背中から肩口を両手で抱いてコートみたいになっている。
「ピーネありがとう。大丈夫だよ。
今から、みんなで演奏するんだから。
楽しみで心が燃えて、逆に暑いくらいだよ。」
幸はライブすることが楽しみで楽しみで仕方がない。
“チャァキッ!”
幸が合図かの様にミュートしながら弦をこすった。
「みんな、大丈夫。
楽しんで行こう。
せっかくだから円陣……組んでみる?」
幸は現実世界で、文化祭の時、体育大会の時、クラスで自分以外のみんながやっていたあれを、心を一つにするあれをやってみたい。
それぞれ、みんなで肩を組み合う。
「ライブ絶対成功させるぞ!!」
「「「「おう!!!」」」」
ステージ下にも微かに届く声であった。
何かが始まることが伝わる。
いよいよ開演である。
…………。
……。
**************************************
ちなみに悪ガキ達はというと……。
“ジュウゥ……”
「タック、何してんだよ!
ライブ前だろ!」
カイセはニヤニヤとしながら言う。
誰もいないピーマン屋台でタックはおもむろにピーマンを焼いていた。
「なんだよ、ピーマン焼いてんだろうが。
今日はふざける気分じゃねーんだよ。」
タックはぶっきらぼうに言い放つ。
真緑のピーマンが熱で弾けて、格子の鉄網に触れた部分が焦げ付き、香ばしい匂いを漂わせている。
良い感じに完成したピーマンの丸焼き。
「よし!
ピーマン届けんぞぉ!」
満足そうに完成したそれらを皿に乗せ、走り出す。
ステージまでは200メートルくらい離れている。
「おい、もう始まるぞ!」
道中で待機していたツーヤとブーノが叫ぶ。
二人はおもむろにタックの持つ、焼かれたおいしそうなピーマンを掴んでかじりながら一緒に走り出す。
「癖の強い観戦の仕方だなぁ。」
もうステージに着くという所で、キーアとロタンも合流し6人でステージを最前列で観戦するために走り出すのだった。
…………。
……。
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ステージには煌々と明かりが灯っている。
家々の割れた窓の隙間から、明かりがほのかににじみ出て、村全体は真っ暗と言うほどでもないが、それでも、それは浮遊するかの様に、輪郭がはっきりと浮き出ていた。
もう間もなく開演ではあるのだが、ステージには誰もいない。
ステージの上にいたのでは、これから演奏が始まることが丸わかりである。
そうなると、演奏を聴く前に人々が帰ってしまうことが明白なので、幸達はステージの裏で、待機し、演奏と同時にステージに上がる算段となっている。
ステージの下の観客はと言うと……。
元ミスリルのセットアップ3人組。もとい、仕事が終わった警備兵3人。
そして、その警備兵が無理やり酒場から連れてきた、客3人ほど。その中にスキンヘッドのマスターもいた。
さらに、おそらく紙飛行機のチケットを開けて見に来た人であろう村人が5人ほど来ていた。
もしかすると投げられた石に付いたチケットから見に来た奇特な人間もいるかも知れない。
とにかく約10人ほどが“素晴らしい催し物”を待っている。
ステージ裏では……。
4人と一匹が、本番直前の空気をそれぞれに味わっていた。
「はぁ……。いよいよだね。
ここからじゃお客さん見えないから、怖いね。
一人でも来てくれてるかな……。」
キヨラはお客さんの心配。
「あぁ、幸君とライブかぁ……。
一緒にやりたいと言ったものの、いざやるとなると、不安になって来た……。
あんな素晴らしいライブが俺達に出来るのか……。」
リズム隊は、徐々に緊張に蝕まれて来ている。
「幸!
寒くないか?
俺が羽で温めてやる。」
ピーネは、幸の心配。
背中から肩口を両手で抱いてコートみたいになっている。
「ピーネありがとう。大丈夫だよ。
今から、みんなで演奏するんだから。
楽しみで心が燃えて、逆に暑いくらいだよ。」
幸はライブすることが楽しみで楽しみで仕方がない。
“チャァキッ!”
幸が合図かの様にミュートしながら弦をこすった。
「みんな、大丈夫。
楽しんで行こう。
せっかくだから円陣……組んでみる?」
幸は現実世界で、文化祭の時、体育大会の時、クラスで自分以外のみんながやっていたあれを、心を一つにするあれをやってみたい。
それぞれ、みんなで肩を組み合う。
「ライブ絶対成功させるぞ!!」
「「「「おう!!!」」」」
ステージ下にも微かに届く声であった。
何かが始まることが伝わる。
いよいよ開演である。
…………。
……。
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ちなみに悪ガキ達はというと……。
“ジュウゥ……”
「タック、何してんだよ!
ライブ前だろ!」
カイセはニヤニヤとしながら言う。
誰もいないピーマン屋台でタックはおもむろにピーマンを焼いていた。
「なんだよ、ピーマン焼いてんだろうが。
今日はふざける気分じゃねーんだよ。」
タックはぶっきらぼうに言い放つ。
真緑のピーマンが熱で弾けて、格子の鉄網に触れた部分が焦げ付き、香ばしい匂いを漂わせている。
良い感じに完成したピーマンの丸焼き。
「よし!
ピーマン届けんぞぉ!」
満足そうに完成したそれらを皿に乗せ、走り出す。
ステージまでは200メートルくらい離れている。
「おい、もう始まるぞ!」
道中で待機していたツーヤとブーノが叫ぶ。
二人はおもむろにタックの持つ、焼かれたおいしそうなピーマンを掴んでかじりながら一緒に走り出す。
「癖の強い観戦の仕方だなぁ。」
もうステージに着くという所で、キーアとロタンも合流し6人でステージを最前列で観戦するために走り出すのだった。
…………。
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