壊れて、笑って、生きていく③──それでも、笑われたかった。

nana

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取扱説明書を、自分で作った夜

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次に呼ばれた飲み会。
私は、いつものように裸になった。
首にリボンを巻いて、深くお辞儀をする。

でも、今回は――
胸ポケットに、ひとつ、紙を忍ばせていた。

それは、
「ナナ取扱説明書」
だった。

ユウヤたちが驚いた顔をした。

「それ、なに?」

私は、にっこり笑った。

「ナナの、今日の取り扱いガイド♡」
「せっかくレンタルされるなら、ちゃんとサービスしたくて♡」

そう言って、
自分で用意したプリントを、
みんなの前に差し出した。

A4一枚に、手書きでびっしりと書かれた内容。

【ナナ取扱説明書】

◾️基本仕様
・裸+リボン装備
・笑顔、土下座、四つん這い、基本対応可

◾️おすすめ機能
・足舐めサービス(連続可)
・床這い自己紹介(5回まで耐久)
・飲み残し一気芸(強制歓迎)

◾️注意事項
・過度な優しさは禁止
・同情すると泣きます
・逆に厳しくされると喜びます

主友たちは、
爆笑した。

「ナナ、頭おかしいww」
「自分で商品説明とかマジで伝説やろw」

私は、
胸を張った。

恥ずかしさ?
情けなさ?

そんなもの、
もうとっくに振り切れていた。

「じゃあ早速、使わせてもらおか!」

誰かが叫び、
即興の“オーダー大会”が始まった。

🔹土下座して、飲み物おかわりを頼む。
🔹裸で、スリッパにキスをする。
🔹四つん這いで、ひとりずつ自己紹介し直す。

私は全部、
笑顔で、
きっちりやりきった。

説明書通り、
完璧に。

ふと、
ひとりが呟いた。

「ナナ、ほんま、モノやな。」

それは、
嘲りでも、
称賛でもなかった。

ただの、
事実の確認だった。

私は、
それを聞いて、
胸の奥が熱くなった。

「うん、
 ナナ、モノになれた。」

誰にも頼まれてない。
誰にも求められてない。

でも私は、
自分から“売られる存在”になった。

それが、
嬉しかった。

飲み会が終わるころ、
みんながポツポツと帰り支度を始めた。

私は最後に、
テーブルを拭きながら、
そっと、あの取扱説明書を拾った。

裏に、
小さな走り書きがあった。

『また借りたい。次もよろしく。』

たぶん、誰かが酔った勢いで書いたものだろう。

でも私は、
それをそっと胸にしまった。

お守りみたいに。

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