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見てないくせに、見てるふうなあの男の視線
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小さな劇場の廊下で、私は彼を見つけた。
あの男。舞台に立つ私を、ただ見ていただけの観客。
声もかけてこなければ、拍手もしなかった。
でも、忘れられなかった。
その目が、私の“名を脱いだ姿”を確かに追っていたから。
再会は偶然だった。
私が次の公演の打ち合わせに来ていたとき、彼はロビーの隅で一冊の冊子を読んでいた。
声をかけるつもりはなかった。
でも、すれ違いざま──
彼の視線が、私の腰のあたりをなぞった。
ほんの一瞬。
目が合わない。なのに、身体がざわついた。
彼は見てないふりをして、見ていた。
私を「選ばないまま、値踏みする視線」。
それが、妙に快感だった。
その夜、私はなぜかメイクも落とさずに帰宅した。
ヒールを履いたまま、玄関をくぐり、
鏡の前で、スカートのすそをゆっくりと上げた。
彼は命じてない。
でも私の中に、もう“従う準備”ができてしまっていた。
ストッキングの内側に手を差し入れる。
彼に見せるわけでもないのに、
その指の動きは、「誰かに見せる用」に調整されていた。
──もしかして、あの男の前に立ったら、
私は、自分で自分を脱がせてしまうかもしれない。
恥でも、媚びでもない。
もっと奥の、
「自ら進んで従ってしまう」欲望の正体。
それが、はっきりと立ち上がってきた。
あの男。舞台に立つ私を、ただ見ていただけの観客。
声もかけてこなければ、拍手もしなかった。
でも、忘れられなかった。
その目が、私の“名を脱いだ姿”を確かに追っていたから。
再会は偶然だった。
私が次の公演の打ち合わせに来ていたとき、彼はロビーの隅で一冊の冊子を読んでいた。
声をかけるつもりはなかった。
でも、すれ違いざま──
彼の視線が、私の腰のあたりをなぞった。
ほんの一瞬。
目が合わない。なのに、身体がざわついた。
彼は見てないふりをして、見ていた。
私を「選ばないまま、値踏みする視線」。
それが、妙に快感だった。
その夜、私はなぜかメイクも落とさずに帰宅した。
ヒールを履いたまま、玄関をくぐり、
鏡の前で、スカートのすそをゆっくりと上げた。
彼は命じてない。
でも私の中に、もう“従う準備”ができてしまっていた。
ストッキングの内側に手を差し入れる。
彼に見せるわけでもないのに、
その指の動きは、「誰かに見せる用」に調整されていた。
──もしかして、あの男の前に立ったら、
私は、自分で自分を脱がせてしまうかもしれない。
恥でも、媚びでもない。
もっと奥の、
「自ら進んで従ってしまう」欲望の正体。
それが、はっきりと立ち上がってきた。
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