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「ご助力頂き大変助かった、僕はアーロン・オータムと申します。
こちらは従兄弟のリッキーです。ご明察の通り我々はお忍びで来ていた為、あのままだと厄介なことになる所でした。ありがとうございました。」
ピンクを基調とした内装の個室は商品であるお菓子をイメージしているのか、とても可愛らしかった、そこで3人と侍女1人はお茶を囲んで対峙している。
怪我をした男の子はなんとこの国の宰相であるオータム公爵のご子息だった、子爵のクララでは学院に進んだとて交流が出来るような方ではとてもない。
オータム家は元々文官を多く輩出しており、アーロンもメガネをかけ、黒髪を撫で付けた利発そうな子供であった。
切長の目と通った鼻は将来を期待せざるおえない美しさだと思う。
店の前の貴族の男性を父に任せ、お腹が空いたから泣いただけだと誤魔化し店内に1人で戻ったのは正解だった様だ、さすがに公爵家に勝手に絡んだとあっては、娘を溺愛する父もこれからのクララの行動を制限しなければと考えただろう。
幸いにも怪我は足を軽く捻っただけの様で、クララの優秀な侍女の応急処置により、このまま馬車で帰れば問題なさそうとのことだった、安心である。
「まあとんでもないですわ、困った時はお互い様と言いますでしょう、
それよりもお怪我が大丈夫な様でしたらコチラのお店はアップルパイがとても美味しくてございますのよ、ぜひお召し上がりになってくださいませ」
後ろに立つ侍女にこの子達の件は後ほど口止めをしっかりしようと思いながらも、一見何事もなかったかのように紅茶を口にした。
「うむ、アーロ是非いただこう!」
先程までの怒りはとうに消え、可愛いらしい子供の笑顔のリッキーを見て、こちらは綺麗な顔立ちを艶々の赤髪がサラリと彩る美少年で、従兄弟とは言われたが2人の作りはだいぶ違うなとクララは軽く違和感を感じた。
「ありがとうございます、もし今後何かお困りの事がございましたらお申し出くださいませ、オータム家の人間は決して恩をそのままにしておくことはございません。」
鋭い視線でリッキーとは違った魅力のある微笑みをアーロンは浮かべ、アップルパイを口にした。
穏やかやなお茶会はこの後は何事もなく過ぎ、解散となった。
この時のクララは、特にこの縁を何に使うつもりもなかった、しかしこの後すぐに兄が巻き込まれた王妹がらみのトラブルをアーロンに相談し
お父上の宰相様のご推薦で兄は王太子の側近となったのだった。
回り回って、情けは人の為ならずを実感するクララ。
そして市井に出るたびにどこから聞くのかリッキーが顔を出す様になり、あれよあれよと決まったドレスショップの手伝いまでしてくれる様になったのだった。
やはり身分の力は大きかった様でクララが始めた服飾事業は、リッキーやアーロンの助けを借りて王都で1番と言って良いほどのドレスショップとなり、様々な顧客とその顧客のトラブルが毎日の様にクララへ運び込まれることとなった。
「で、結局リカ様のドレスは何で作ることにしたんだ?」
算盤を見ながらニヤつくクララに、しっかり現実に引き戻す一言を休憩用のクッキーを咥えながらリッキーが言った。
彼は甘党だな、なんて考えながらまだ現実に返り切らないクララも甘いものが欲しくなり一緒になって休憩の姿勢になる。
おそらく身分差は伯爵になったとてあるのだろうが、リッキーはクララに距離のある関係は求めなかったし、クララもだんだん面倒になって素を出す様になっていった。
「迷ってはいるんだけどね、レースが使えなくなったから生花を使って豪華さを出そうかと思うけど、色が明るくなりすぎると大きさが目立つでしょう、それはいけないからまあ難しいところよね」
リカ様は顧客の1人で、実はアミーに譲ったレースは自分ではなくリカ様に使う予定だった。
女性としては高身長のリカ様は似合うドレスがなかなか無いと困っていたそうだが、当店が隣国の技術を仕入れて様々なラインを発表していたことを聞きつけて来店してくれたのだ。
何点かドレスを仕上げた頃には、使わないで欲しい色の指定のみでクララに任せてくれる程の信頼を頂けたとてもありがたいお客様であった。
従業員曰く「ドレスよりオーナーが気に入ったんじゃないですか」とのことだが、なんの理由でも顧客が増えることはいいことだろう。
クララは拘りは仕事にしかなく、お客様のご事情にはさほど興味がなかった。
「お前の目は確かだろうから、まあ言ってもそんなに心配はしてない。結局上手くまとめれるからな」
リッキーの、軽口なのに信頼が見える言葉に、長年の付き合いが感じられつい笑顔になる。
「ずっとそういう笑顔でいて欲しいんだが」
美しい顔を夕日の様に染めながらボソボソと口にした言葉はクララには残念ながら届かなかった。
こちらは従兄弟のリッキーです。ご明察の通り我々はお忍びで来ていた為、あのままだと厄介なことになる所でした。ありがとうございました。」
ピンクを基調とした内装の個室は商品であるお菓子をイメージしているのか、とても可愛らしかった、そこで3人と侍女1人はお茶を囲んで対峙している。
怪我をした男の子はなんとこの国の宰相であるオータム公爵のご子息だった、子爵のクララでは学院に進んだとて交流が出来るような方ではとてもない。
オータム家は元々文官を多く輩出しており、アーロンもメガネをかけ、黒髪を撫で付けた利発そうな子供であった。
切長の目と通った鼻は将来を期待せざるおえない美しさだと思う。
店の前の貴族の男性を父に任せ、お腹が空いたから泣いただけだと誤魔化し店内に1人で戻ったのは正解だった様だ、さすがに公爵家に勝手に絡んだとあっては、娘を溺愛する父もこれからのクララの行動を制限しなければと考えただろう。
幸いにも怪我は足を軽く捻っただけの様で、クララの優秀な侍女の応急処置により、このまま馬車で帰れば問題なさそうとのことだった、安心である。
「まあとんでもないですわ、困った時はお互い様と言いますでしょう、
それよりもお怪我が大丈夫な様でしたらコチラのお店はアップルパイがとても美味しくてございますのよ、ぜひお召し上がりになってくださいませ」
後ろに立つ侍女にこの子達の件は後ほど口止めをしっかりしようと思いながらも、一見何事もなかったかのように紅茶を口にした。
「うむ、アーロ是非いただこう!」
先程までの怒りはとうに消え、可愛いらしい子供の笑顔のリッキーを見て、こちらは綺麗な顔立ちを艶々の赤髪がサラリと彩る美少年で、従兄弟とは言われたが2人の作りはだいぶ違うなとクララは軽く違和感を感じた。
「ありがとうございます、もし今後何かお困りの事がございましたらお申し出くださいませ、オータム家の人間は決して恩をそのままにしておくことはございません。」
鋭い視線でリッキーとは違った魅力のある微笑みをアーロンは浮かべ、アップルパイを口にした。
穏やかやなお茶会はこの後は何事もなく過ぎ、解散となった。
この時のクララは、特にこの縁を何に使うつもりもなかった、しかしこの後すぐに兄が巻き込まれた王妹がらみのトラブルをアーロンに相談し
お父上の宰相様のご推薦で兄は王太子の側近となったのだった。
回り回って、情けは人の為ならずを実感するクララ。
そして市井に出るたびにどこから聞くのかリッキーが顔を出す様になり、あれよあれよと決まったドレスショップの手伝いまでしてくれる様になったのだった。
やはり身分の力は大きかった様でクララが始めた服飾事業は、リッキーやアーロンの助けを借りて王都で1番と言って良いほどのドレスショップとなり、様々な顧客とその顧客のトラブルが毎日の様にクララへ運び込まれることとなった。
「で、結局リカ様のドレスは何で作ることにしたんだ?」
算盤を見ながらニヤつくクララに、しっかり現実に引き戻す一言を休憩用のクッキーを咥えながらリッキーが言った。
彼は甘党だな、なんて考えながらまだ現実に返り切らないクララも甘いものが欲しくなり一緒になって休憩の姿勢になる。
おそらく身分差は伯爵になったとてあるのだろうが、リッキーはクララに距離のある関係は求めなかったし、クララもだんだん面倒になって素を出す様になっていった。
「迷ってはいるんだけどね、レースが使えなくなったから生花を使って豪華さを出そうかと思うけど、色が明るくなりすぎると大きさが目立つでしょう、それはいけないからまあ難しいところよね」
リカ様は顧客の1人で、実はアミーに譲ったレースは自分ではなくリカ様に使う予定だった。
女性としては高身長のリカ様は似合うドレスがなかなか無いと困っていたそうだが、当店が隣国の技術を仕入れて様々なラインを発表していたことを聞きつけて来店してくれたのだ。
何点かドレスを仕上げた頃には、使わないで欲しい色の指定のみでクララに任せてくれる程の信頼を頂けたとてもありがたいお客様であった。
従業員曰く「ドレスよりオーナーが気に入ったんじゃないですか」とのことだが、なんの理由でも顧客が増えることはいいことだろう。
クララは拘りは仕事にしかなく、お客様のご事情にはさほど興味がなかった。
「お前の目は確かだろうから、まあ言ってもそんなに心配はしてない。結局上手くまとめれるからな」
リッキーの、軽口なのに信頼が見える言葉に、長年の付き合いが感じられつい笑顔になる。
「ずっとそういう笑顔でいて欲しいんだが」
美しい顔を夕日の様に染めながらボソボソと口にした言葉はクララには残念ながら届かなかった。
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