侯爵殺人事件

のま

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プロローグ

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先程まで鳴り響いていた雷雨は鳴りを潜め、暗闇に閉ざされた部屋には、床に倒れた男。


男を見下ろす女は震えながら、その震えが喜びなのか恐れなのか判断がつかない。

だって自分はついている、世界に愛されている。

あの人もそう言っていた、
全ての事柄がこうあるべきという様に、状況が出来ていく様はまるで人には預かり知らない力が働いている様で。

自分がやらずともこの男はいつか殺されていた。

それ程愚かな人間だった。



後は静かに立ち去るのみ。


けっして振り返らずに。






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