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隣で死んでた騎士に転生した
しおりを挟むありえなーーーーーーーいいいいい
まじでありえないことが色々いろいろ起こりますた!
なんかもういっぺんにありえないことが起こり過ぎて、どれから整理つけていけばいいのやらやらやらやらやら!
お、お、おおおお落ち着いて私、ひとつひとつ、現状把握しましょう。
いち、に、さん、はい。
手の指は何本?
はーい、五本です。
イエス正常。
冒頭からパニクってごめんなさい。
まず最初のありえないこと。
私こと、真殿つば沙(17)(本名が源氏名みたいと思ったやつ表に出ろ)は異世界人召喚の儀式とかいうのに巻き込まれ、まさに学校帰りに謎の渦に巻き込まれ、異世界のアッタレスク王国にやってきました。
ありえないよね。
異世界召喚された先では『聖女』として祭り上げられ、凶暴な魔獣が暴れて人々が困っているというので退治しに行けと命じられました。横暴な王様だ!
お供にはヘタレ王子と、チキン騎士と、ビッチ魔導士がついてきました。駄メンズばかりです。
ヘタレ王子のヘタレっぷり。
どんだけヘタレかというと、旅の途中でへこたれる。
一人、豪華な馬車に乗っておきながら、酔ったとか尻痛いとかで何度も休憩を入れる。休憩の度に伸びてる。体力なし。体貧弱。時々ゲホゲホ、ゼハゼハしてる。
剣すらまともに振れない箱入りもやし息子だけど、白い肌に白い毛髪の神秘的で美しい容姿だけが唯一の取り柄。
チキン騎士のチキンぶり。
魔物に襲われると必ず逃げを選択するチキン。おそらく彼の戦闘行動メニューには(→逃げる)一択しかない。この人も顔はいいし、体も鍛えて引き締まってるしで、見てくれだけが唯一の取り柄。
ビッチ魔導士のビッチぶり。
毎夜、男を漁って朝帰り。昼まで寝てる。たとえ旅の途中でも、自動で走る魔馬の上で寝てる。
呪文唱えてる間は盾になれと聖女を前面に出す鬼畜魔導士でもある。戦闘能力が高いのだけが唯一の取り柄。
こんな『ヘタレチキンビッチ~誰か僕たちを養って』というユニット結成してもいいくらいの駄メンズたちと一緒に、凶悪凶暴恐怖の魔獣が棲むという山を目指しました。
この時点で逃げても良かったんじゃないかと後で思いました。
でも困ってる人たちを見捨ててはおけず、立ち寄る村々での惨状を目の当たりにすると、引き返すという選択はありえません。
助かったのはビッチ鬼畜魔導士がマジ滅茶苦茶強えええことです。
彼が操る魔導は第一級ばかりで、襲い来る魔獣の眷属だとかいう魔物の殆どを、彼がSATUGAIしました。
聖女の私は聖女らしく癒しパワーで怪我人を癒し、手遅れだった人には涙します。
いくら癒しチートな聖魔法を使えたとしても、治せるのは四肢損壊までで、心臓もぎとられたような人は救えません。首チョンパも無理でした。
聖女の力には限界があり、万能ではなく、私自身も女子高生だった頃と体力が変わらなく、慣れない旅を続け、とうとう目的の魔獣の棲みかまで辿り着いたのです。
そこで起こったありえないこととは…!つづく!
と、期待持たせて引いたところで何も変わりませんので説明を続けますと、私は魔獣に食い殺されました。頭からカプッですよ。
あ り え な い よ ね
うら若き乙女、まだ処女、未開通で新品な私。
恋すらしてないぞ。
なのに、なのに────ここで、死亡。
アリエナーイ。
おお聖女よ こんなところで死ぬとはなにごとだ
自分でも理不尽だと思ったのでしょうか。
気づいたら私は、隣で死亡してたチキン騎士へと乗り移ってたんです。
はい、これもありえなーい!
常識では考えられない。アンビリーバボーですね。
今死亡したというのに、即転生。
しかも隣の騎士へ。
チキン騎士はどうしたって?
彼、完全にショック死ですよ。この人は別に魔獣に食われたとかじゃないからね。私が死んだショックで心臓止まっちゃったっぽい。儚すぎ!
チキン騎士、どうやら私に懸想してたみたいですよ。
想いを告げてくるとかいうイベント無かったですけどね。
しかしそんなチキン騎士の体を乗っ取っちゃった私も私です。
チキン騎士は男。私は女。
体は筋肉ムキムキ男、心は乙女聖女という化け物がここに爆誕してしまったのです。
あまりの出来事に、私(肉体は騎士)はしばし呆然としてました。
騎士in私がボケーとしている間に、生き残ったビッチ鬼畜魔導士が、聖女の躯を埋葬してくれました。
魔獣が棲みかにしていたのは大きな洞穴で、その行き当たりに祭壇みたいなのがあって、祭壇前は広いホールになってました。ここで戦闘したのです魔獣と。
その時は気づかなかったのですが、祭壇の下には多くの棺があったみたいで、中でも空の棺を選んで、そこに私(聖女)の死体を放り込み蓋を閉め、祭壇前に安置してくれました。
ああ、黒髪清楚系清純派女子高生だった私の死体が石棺の蓋に隠され、暗闇に消えていく…。
葬ってくれたのは魔導士なので、弔いの祈りとかは無かったんですが、きちんと埋葬してくれただけでもありがたいと思わねば…やってけない。
騎士になってしまった私=元聖女がボ~~とし続けているのがウザかったのか──魔導士は騎士の頭を杖でバコン。叩いた。
「あーもー面倒くせえ。さっさと立って歩けやコラ」
吐き捨てるような台詞で促され、歩いて洞窟を出ます。
魔獣はどっか行っていないようだ。
ヘタレ王子もどっか行ったようだ。
この時、頭が回ってれば、魔獣や王子が消えたことを問題視できただろうに…。
如何せん。転生したてで現状に脳内処理が追いついていかず、ただただ黙々と歩くだけの私でした。
チキン騎士の格好で。
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