隣で死んでた騎士に転生した元聖女は神子のお兄さんとむふふのふ

風巻ユウ

文字の大きさ
1 / 10

隣で死んでた騎士に転生した

しおりを挟む

ありえなーーーーーーーいいいいい

まじでありえないことが色々いろいろ起こりますた!
なんかもういっぺんにありえないことが起こり過ぎて、どれから整理つけていけばいいのやらやらやらやらやら!

お、お、おおおお落ち着いて私、ひとつひとつ、現状把握しましょう。

いち、に、さん、はい。
手の指は何本?
はーい、五本です。
イエス正常。

冒頭からパニクってごめんなさい。

まず最初のありえないこと。
私こと、真殿つば沙(17)(本名が源氏名みたいと思ったやつ表に出ろ)は異世界人召喚の儀式とかいうのに巻き込まれ、まさに学校帰りに謎の渦に巻き込まれ、異世界のアッタレスク王国にやってきました。

ありえないよね。

異世界召喚された先では『聖女』として祭り上げられ、凶暴な魔獣が暴れて人々が困っているというので退治しに行けと命じられました。横暴な王様だ!

お供にはヘタレ王子と、チキン騎士と、ビッチ魔導士がついてきました。駄メンズばかりです。

ヘタレ王子のヘタレっぷり。
どんだけヘタレかというと、旅の途中でへこたれる。
一人、豪華な馬車に乗っておきながら、酔ったとか尻痛いとかで何度も休憩を入れる。休憩の度に伸びてる。体力なし。体貧弱。時々ゲホゲホ、ゼハゼハしてる。
剣すらまともに振れない箱入りもやし息子だけど、白い肌に白い毛髪の神秘的で美しい容姿だけが唯一の取り柄。

チキン騎士のチキンぶり。
魔物に襲われると必ず逃げを選択するチキン。おそらく彼の戦闘行動メニューには(→逃げる)一択しかない。この人も顔はいいし、体も鍛えて引き締まってるしで、見てくれだけが唯一の取り柄。

ビッチ魔導士のビッチぶり。
毎夜、男を漁って朝帰り。昼まで寝てる。たとえ旅の途中でも、自動で走る魔馬の上で寝てる。
呪文唱えてる間は盾になれと聖女を前面に出す鬼畜魔導士でもある。戦闘能力が高いのだけが唯一の取り柄。

こんな『ヘタレチキンビッチ~誰か僕たちを養って』というユニット結成してもいいくらいの駄メンズたちと一緒に、凶悪凶暴恐怖の魔獣が棲むという山を目指しました。

この時点で逃げても良かったんじゃないかと後で思いました。
でも困ってる人たちを見捨ててはおけず、立ち寄る村々での惨状を目の当たりにすると、引き返すという選択はありえません。

助かったのはビッチ鬼畜魔導士がマジ滅茶苦茶強えええことです。
彼が操る魔導は第一級ばかりで、襲い来る魔獣の眷属だとかいう魔物の殆どを、彼がSATUGAIしました。

聖女の私は聖女らしく癒しパワーで怪我人を癒し、手遅れだった人には涙します。
いくら癒しチートな聖魔法を使えたとしても、治せるのは四肢損壊までで、心臓もぎとられたような人は救えません。首チョンパも無理でした。
聖女の力には限界があり、万能ではなく、私自身も女子高生だった頃と体力が変わらなく、慣れない旅を続け、とうとう目的の魔獣の棲みかまで辿り着いたのです。

そこで起こったありえないこととは…!つづく!
と、期待持たせて引いたところで何も変わりませんので説明を続けますと、私は魔獣に食い殺されました。頭からカプッですよ。

あ り え な い よ ね
うら若き乙女、まだ処女、未開通で新品な私。
恋すらしてないぞ。
なのに、なのに────ここで、死亡。
アリエナーイ。

おお聖女よ こんなところで死ぬとはなにごとだ

自分でも理不尽だと思ったのでしょうか。
気づいたら私は、隣で死亡してたチキン騎士へと乗り移ってたんです。

はい、これもありえなーい!
常識では考えられない。アンビリーバボーですね。
今死亡したというのに、即転生。
しかも隣の騎士へ。

チキン騎士はどうしたって?
彼、完全にショック死ですよ。この人は別に魔獣に食われたとかじゃないからね。私が死んだショックで心臓止まっちゃったっぽい。儚すぎ!

チキン騎士、どうやら私に懸想してたみたいですよ。
想いを告げてくるとかいうイベント無かったですけどね。

しかしそんなチキン騎士の体を乗っ取っちゃった私も私です。

チキン騎士は男。私は女。
体は筋肉ムキムキ男、心は乙女聖女という化け物がここに爆誕してしまったのです。

あまりの出来事に、私(肉体は騎士)はしばし呆然としてました。

騎士in私がボケーとしている間に、生き残ったビッチ鬼畜魔導士が、聖女の躯を埋葬してくれました。
魔獣が棲みかにしていたのは大きな洞穴で、その行き当たりに祭壇みたいなのがあって、祭壇前は広いホールになってました。ここで戦闘したのです魔獣と。
その時は気づかなかったのですが、祭壇の下には多くの棺があったみたいで、中でも空の棺を選んで、そこに私(聖女)の死体を放り込み蓋を閉め、祭壇前に安置してくれました。

ああ、黒髪清楚系清純派女子高生だった私の死体が石棺の蓋に隠され、暗闇に消えていく…。

葬ってくれたのは魔導士なので、弔いの祈りとかは無かったんですが、きちんと埋葬してくれただけでもありがたいと思わねば…やってけない。

騎士になってしまった私=元聖女がボ~~とし続けているのがウザかったのか──魔導士は騎士の頭を杖でバコン。叩いた。

「あーもー面倒くせえ。さっさと立って歩けやコラ」

吐き捨てるような台詞で促され、歩いて洞窟を出ます。

魔獣はどっか行っていないようだ。
ヘタレ王子もどっか行ったようだ。

この時、頭が回ってれば、魔獣や王子が消えたことを問題視できただろうに…。
如何せん。転生したてで現状に脳内処理が追いついていかず、ただただ黙々と歩くだけの私でした。
チキン騎士の格好で。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

悪役令息に転生した俺は推しの為に舞台から退場する

スノウマン(ユッキー)
BL
前世の記憶を思い出したアレクシスは悪役令息に転生したことに気づく。このままでは推しである義弟ノアが世界を救った後も幸せになれない未来を迎えてしまう。それを回避する為に、俺は舞台から退場することを選んだ。全てを燃やし尽くす事で。 そんな俺の行動によってノアが俺に執着することになるとも知らずに。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された

楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。 何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。 記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。 ---------- ※注) かっこいい攻はいません。 タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意! 貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。 ハッピーエンドです。 激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします! 全16話 完結済み/現在毎日更新予定 他サイトにも同作品を投稿しています。 様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。 初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由

スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。 これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。 無自覚両片想いの勇者×親友。 読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。

追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜

たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

処理中です...