上 下
19 / 89
三柱の世界

朝チュンですよ*

しおりを挟む
 
 朝チュンを迎えてしまった………。
 私の人生で、それはないないそんな尻軽にゃならないと拒否ってたのに、結婚してもいないし彼氏にした覚えもない男と同衾して、迎えてしまったわけだ。
 朝チュン。

 窓の外から差し込む日の光が眩しい。
 ここのカーテン薄手だから朝日という名の光源に逆らえないようだ。
 遮光カーテン買ってきたのに付け替えるの忘れてただけともいう。
 どうせなら全部晒してしまえとばかりに、私はカーテンを勢いよく開けた。

 …朝日に照らされたナイスハンサムが私のベッドで寝そべってこっち見てる。
 気づいてたなら声くらいかけるべきだと思うのナイスハンサム。

「…おはようございます」
「おはようハツネ殿。輝く朝日に照らされた君の肢体が眩しいよ。まるで女神だね」

 朝から歯の浮く台詞をありがとう。
 ルークスさんはあれだね、息を吸うように賛辞の言葉が吐けてすごいよね。
 そのスキルこそ便利だと思う。

 まあ、真っ裸でカーテン開けてた私も悪いだろう。寒いし、さっさと布団の中に戻ろう。ルークスさん、ちょっと隙間あけてちょうだい。そこに入るから。

「ああ、柔らかい…」
「どーこー触ってんですかあ」

 布団に潜った途端ルークスさんの腕が伸びて私は抱え込まれる。
 胸と胸がくっついてしまったのだが、その間にルークスさんの手が挟まってるのは…わざとなのだろう。おっぱいもみもみ朝から精力的だ。

「君が魅力的な格好してるから…襲いたくなる」
「脱がせたのあなたでしょうが…あ、朝から、駄目ですよ…や、そこ」

 胸を揉みながら下半身にまで手を伸ばされ、お股の割れ目にルークスさんの男らしい節くれだった指が入ってきた。

「愛らしい声で誘ってるんだね小鳥さん」

 小鳥ってなんだーーっ!あ、私のことか…そういう比喩表現は日本人は慣れてないので分かりづらいんだよ。そして誘ってない。断じて誘ってないから。
 誘ってないはずなのに私の体はしっかり反応してる。「濡れてる」とルークスさんの声が鼓膜を揺らし、陰核を的確に弄る手には潤いをもたらしているらしい。
 私は恥ずかしさのあまりお股をギュッと締めてしまった。

「愛らしい…ハツネ殿……」

 お股に指挟まれてるくせにまだ動かせるらしい。
 しかも何かツボったらしくて興奮したご様子で私の大して大きくもない胸の頂きを啄んでくる。

「あ、ん…やあ…っ」

 このままじゃいつまで経ってもベッドから抜け出せない。
 昨夜、処女を散らしたばかりの身の上で、また朝からいたす体力はない。
 私の体力の無さをなめるな。柔軟性はあるみたいだけどな。
 そう、そのおかげで股間もあまり痛くないのだ。処女膜破れると血が出てすんごい痛いと聞いていたけど、痛みは少ないし血もそんなに出てないみたい。
 破瓜の血対策で敷いたバスタオルには血よりも他の液体の方が多く付着している。
 今もまさに女唇から染み出た愛液が太腿を滑り落ちタオル地へと吸い込まれた。

「ふあ…!」

 私の体がビクついた。敏感な肉芽を苛められまくった上で乳首まで齧られてしまえば、イくしかないだろう。
 ピリピリと背筋を駆けていく快感に、堪らず腰を浮かせてルークスさんへと縋り付く。

「んんっ、ん…っ」

 すかさず口を塞がれて深いキスを繰り返した。
 甘く、蕩けるようなキスがとどめとなって、私の理性も溶かされたようである。

「ルークスさあん…」
「ハツネ殿…」

 受け入れるつもりなどなかったはずなのに、私の体は再びルークスさんを欲した。
 濡るつく秘所に充てられた熱。ルークスさんも昂奮してくれてるんだと思うとなんだか嬉しい。ググッと入ってくる熱量に、私の体も悦んで応えた。
 グイグイと良いところを突かれる度に腰が跳ねる。昨夜に処女を喪失したばかりの狭い膣道を、これでもかと広げられて、その圧迫感に呻いた。

「あーん、おっきいよう…」
「……………………光栄だ」

 誰と比べたわけでもないけど、お腹いっぱいに咥えさせられたら、でかいとしか言いようがない。
 このサイズ感…絶対にでかいんだぜ。日本人女子にはキツいことこの上ないって。その証拠にルークスさんだって苦しそうだよ。

「ハツネ殿の中は…本当に…たまらない……」

 狭いんだからルークスさんのナニも締め上げられるに決まってるよねえ。
 ルークスさんの大きな手が私の手に重なる。ぎゅっと両手を掴みあったまま下半身も繋がっている。熱い。揺さぶられては嬌声を上げ、腰が勝手に跳ねるほどの快楽まで与えられて、二人で果てた。

「また…なかに…」

 出されたのは間違いない。
 駄目と言っても聞かないだろうけど、一言くらい注意すれば良かったかなあ。
 責任はとるとか格好良いこと言ってたね。あてにはできない。なんせこの人は皇族だからね。彼自身が良くても、しがらみが多過ぎるだろう。

「ハツネ…ハツネ……」

 果ててからもルークスさんは私の名を呼びながら腰や尻を撫でつつ肌を舐めてくる。
 胸とかお臍とか太腿とか、チュッチュ吸いつかれて赤く腫れていく。
 キスマークをいたるところに付けられてるのは分かったけど、どれだけされたのか見届ける前に私は意識を閉じた。ね、眠いわー。

 そんな訳で気づいたらお昼だった罠。なんで誰も起こしてくんないかなあ…。
 ベッドから重い腰を上げて部屋着に着替える。それからのろのろ洗面してリビングへと向かう。向かう途中、なんか騒がしい声が聞こえるなあと思ったら、男二人がマ○カーしてた。

「あー!スリップした!誰だこんなとこにバナナの皮を置いたのは!」
『ホーホホホホ!引っかかったわね鈍臭い子。御免あそばせ~』
「くそう!聖霊様の仕業か!ハメられたーー!」

 楽しそうだね君たち。確かに、引き篭もり中アザレアさんにマ○カー教えたのは私だよ。アザレアさんも気に入ってなんだかやり込んでいた気はする。
 だがしかし。君までハマるとは思わなんだよルークスくん。
 私の桃色ハンドルで操作してんのドンキーかよ。いいけどね別に…。

「あ、おはようハツネ殿。この"ウイー"とやらは面白いな」
「楽しんでくださってるようで何よりです…」
『ホホホ隙あり!』
「ああああ抜かされたあああ」
『余所見なんかしてるからよ。んねえハツネちゃん』
「そうですね。マ○オザワールドは理不尽な上に厳しいのです」
「やられたあ…しかも逆走して落ちた。もう一度仕切り直しだ」

 釣り上げられたドンキー。
 余裕の表情で微笑むアザレアさんのピーチな姫を猛然と追いかける。

 その様を横目で見やりつつ私は台所まで行き、何か作ろうと食材を探した。
 うーんと、パスタにトマトにパンチェッタを見つけて昼食はナポリタンに決定。

 いそいそとお鍋に水いれて沸騰させパスタを茹でる。
 パスタはパスタ専門店もあるくらいこの世界ではメジャーな食べ物である。地球のと変わらず美味しいので重宝している。

 玉ねぎやピーマンなどの野菜を切って材料を揃える。パンチェッタは細切りだ。卵を溶く。塩胡椒は少なめに。パンチェッタの塩気があるからね。
 フライパンで薄焼き卵をつくってお皿に敷く。
 トマトソースを作る。ホールトマト缶があれば便利なのにと思いながら、トマトと各種ハーブと調味料を放り込んでミキサーにかける。トマトピューレの出来上がりである。
 熱した油にガーリック。香りが出てきたら乱切りトマトをフライパンで炒め、トマトピューレと昨夜の残りであるアザレアさん特製ベジブロスを入れて煮詰める。
 トロトロっとしてきたら蜂蜜と塩胡椒で味を整えて、仕上げに港町でもらった魚醤を回し入れればソースの完成だ。

 さあ、パスタが茹で上がったぞ。
 パスタはフライパンで軽く炒めて水分を飛ばし、そこへ事前に炒めておいた具材を投入。トマトソースを絡めて薄焼き卵の上に盛りましょう。

 これぞ名古屋風鉄板スパゲティもどき。鉄板の代わりにプレート盛りなのでもどきなんである。それとパンサラダが入った大きなサラダボールも食卓へ。
 皆でわいわい取り分けて食べようね。ちなみにパンサラダには、サニーレタスとセロリが入ってます。

 ジンジャーエールをつくるために生姜を摺りながら「おーい。ご飯だよー」とマ○カーに夢中なやつらを呼ぶ。

 私流ジンジャーエールは生姜たっぷり蜂蜜もたっぷりで炭酸水と割る。
 オマケに柑橘系の果物を絞っていれるのだが、今回はカボスを使用。
 しゅわっと爽やかでいいよね。ちなみに蜂蜜はこの世界に無いので実家からの荷物に入ってた地球産である。

 私は蜂蜜を料理に使うのが好きだ。
 でもこの世界に蜂蜜は無い…。
 実は砂糖も見つけてない。この世界には甘味が無い。あってもクソ不味い。

 ルークスさんに連れていってもらったあのレストランでもらった黒飴っぽいものすら上等であると知ったのは、二回目に町へ行った時である。

 町にはお菓子屋さんやケーキ屋さんが見当たらないからアザレアさんに訊いたのだ。そして知ったこの事実。
 この世界で砂糖として使用されてるのは甘草だけ。甘草を絞った汁を煮詰めたものが、あの黒飴の正体だったのだ。

 そーりゃ苦いわい。
 甘草って漢方とかに使われてるやつじゃん。確かに甘味はあるけど煮詰めたらえぐいでしょ。

 砂糖が甘草だけってどんな拷問だ。この世界には砂糖大根も砂糖きびも無いらしい。そして蜂すらいないという。
 デザートが食べたければ果糖を効率よく摂取する為、干した果物を食べるしかない。道理で、お茶請けにと出されるものは干し果物ばかりだと思ったよ…。

 確かに果物は甘いよね。でもやっぱそれはお菓子とは違うでしょう。

 地球では古代インドで既にあったとされる砂糖の精製法が、自動車さえ発明されてるこの世界には原材料が無いという理由だけで存在すらしていないのである。

 今私が持っている蜂蜜やお菓子類が尽きれば、美味しい甘味を二度と味わえなくなるのだ。これは由々しき事態である。

 なので私は女帝との謁見が終わったら、世界中くまなく甘味類を探してやろうと決心している。もしかしたら代替え品があるかもしれないし。

 え?世界滅亡の危機?知らんよそんなん。私は目先の欲に忠実なんである。
 世界が滅びたら甘味どころじゃないだろと良識な人は言うかも知れない。
 だが、こう考えてみてはどうかね。"世界が滅びる前に旨いもん食おうぜ"と。
 もし滅びるなら、腹いっぱい美味しいもん食べて幸せな気分で滅びたい。
 そんな私はスパゲッティナポリタンを今はただ頬張るのみである。もぐもぐ。

「これまた変わった料理だな」
『そうよねえ。卵の上にパスタ盛るなんて斬新よお』
「器が汚れないようにする工夫だろうか」
『トマトソースもグッドだし、サラダのドレッシングも味わい深いわあ』
「食べたことない味だ。ハツネ殿は料理上手なのだな」

 ベタ褒めやんけ。既存のレシピなのに、こんなに褒められたらまるで自分が天才になった気分だわ。
 言い訳として、この料理は故郷では定番B級グルメであること。元は鉄板料理であり薄焼き卵は他の料理(焼きそば)にも敷かれていて、これまた故郷では定番なことを伝えた。

 ついでにサラダのドレッシングは醤油の代わりに魚醤を、砂糖の代わりに蜂蜜を、それとカボスと砕いたナッツとオリーブ油をシェイクしただけの簡単調味料である。
 味わい深いのは蜂蜜のコクだろうなとは思う。味に奥行が出るものね蜂蜜さんは。

「ハツネ殿の故郷には、このような美味しい料理があるのか…すごいな」
『本当にねえ…聖霊王国にもこんな料理は伝わってないわよ。初代国王とは出身が違うのかしらん?』
「そうだと思いますよ。私の生まれた国は南北に細長いので、同じ国でも出身地によって好みの味が違ったり、その地方にしかない独特な料理も多々あります」
「ああなるほど。我が帝国も東西で味覚が変わるな。東は香辛料がとれるからか辛めの料理が多いし、西は豪雪地帯だからかこってりとした料理が多い。
 中央部は東西の料理が混じり合って洗練された食べ物がある気がするな」

 へえ~。今いる帝国は広いのね。東へ行けば香辛料があるってことは、もしかして稲作もやってるかも。砂糖も探したいし、最初は南と思ってたけど、東を経由して南下してった方が効率良いのかな。

 ごちそうさまの後は再びマ○カーした。今度は私も混じって三人で。
 大の大人が三人も揃って(一人は聖霊だが)夜までゲームに夢中になった。
しおりを挟む

処理中です...