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第二章 クリスタルエレメント
第15話 ラプーモとポルタール
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階段を下りた先には、大きなベッドがひとつ置かれていた。卵形をしたベッドには白い綿のようなものが敷きつめられ、見るからにフカフカそうだ。そのベッドも脚がなく、宙に浮かんでいた。
ベベをベッドに降ろすと、べべは『歩きにくい』と言ってベッドの上でもがいた。
クレアが『貸して』と言って、クリスの手からテステクを取り上げた。それからベッドの向かいの壁に向かって「ムルスペリオ」と言った。
すると壁が透き通って、その向こうに浴室のような部屋が現れた。そしてその隣には、壁に謎の器具が取り付けられた小部屋が出現した。
『これがラプーモとポルタールだよ』
浴室のような部屋と、その隣の小部屋をテステクで示してクレアが言った。
『ラプーモ?あとポ・・・何?』と、クリスが聞き返した。
『ラプーモとポルタール。地表世界でいうところの、お風呂とトイレみたいなものだよ。ラプーモは、フォンソワ・・・えっと、地球から湧き出すお湯のことなんだけど・・・』
言葉が思い付かないのか、クレアが助け船を求めた。
『温泉のこと?』
紗奈が答えると、すっきりしたようにクレアはうなずいた。
『そうそう。オンセン。それを溜めて入浴するの。ポルタールは、排泄される便の掃き出し口のこと。地表世界って、たしか排泄物をお尻から出して水で流すんだよね?前に図書館で見たことあるけど』
『こっちは違うの?』
クリスが聞き返すと、クレアは『ちょっと来て』と頭で合図した。
それからテステクでポルタールの扉を開けると、中に入るようクリスに指示した。指示されるまま、クリスはポルタールの中に入った。ポルタールの中は、一般的な個室トイレと同じくらいの広さだった。
『向こう側を向いたままちょっと待ってて』
ホルンのような器具を正面にクリスが気をつけの姿勢をすると、クレアが「ポルタディエーロ」と唱えた。
すると、その器具がゆっくりと音もなく下に下がってきた。そしてホルンでいうベルの部分がクリスの下腹部あたりまで下りてくると、下降が止まった。
『そのまま、じっとしててね』
言われた通り、クリスは気をつけの姿勢で待機した。すると間もなくして、ホルンのベルの部分が青い光を発した。その光がクリスの下腹部を少しの間照射すると、光は消えてホルンはまた音もなく元の位置まで上昇した。
ポルタールから出てきたクリスを、クレアがにやついた顔で見た。
『どうしたの?』
青い光で何かされたのかと不安になり、クリスは自分のズボンを見た。ところが、特に変わった様子はなかった。クレアは相変わらずにやついている。
『何も感じない?』
『何もって?』
『おなかの具合はどう?』
そう言われて、クリスはおなかに手を当てた。たしかに、おなかがスッキリしたような気がする。少し我慢していたおしっこも、もうしたくなくなっていた。
『え?何これ。どういうこと?』と、クリスは聞き返した。
『ポルタールはね、溜まった排泄物を粒子に分解して吸い込んで、異空間へ掃き出すゲートみたいなものだよ』
『へーえ』
仕組みは理解できなかったが、とにかく“うんち”や“おしっこ”を吸い取ってくれる便利な物だということなのだろう。
『でもこれって、体の上からその・・・排泄物を吸い込むことができるの?』
『うん。体の上からでも、服の上からでも分解できるよ』
『動物もできる?』
『もちろん』
腕組みをして得意気にクレアはうなずいた。
『それじゃあ、とりあえずベベもやっておこう』
そう言って、クリスはベベをポルタールに入れて排泄を済ませた。
それからラプーモの使い方も教えてもらい、バッグの中から着替えを取り出してベッドの奥にあるクローゼットにしまった。
『そういえば、地底世界ってテレビはないの?』
階段を上がって、クリスが気づいたように質問した。メシオナは広くなんでも揃っているというのに、リビングにも部屋にもテレビが見当たらない。『テレビ?ああ、地表世界で人々が娯楽や情報収集のために観るものね。学校で教わったことある。特定の電気信号で大衆をマインドコントロールするための機械装置だよね』
クレアは振り返って腕を組んだ。
『そんなのは、もちろんこの地底世界にはないよ。その代わり、図書館へ行けばマルガモルもあるし、娯楽には事欠かないよ』
『何の話?』
眉をひそめて、紗奈がクリスの顔を見た。クリスが『さあ?』と首を傾げると、『なんで?』とクレアがとがめるように言った。
『マルガモルには、クリスも入ったことあるでしょう?覚えてないの?』
『うん。それは覚えてるよ』
前世でセテオスの図書館へ行って入ったことがある。他人の人生を見たり、体験したりするための装置だ。
『そうじゃなくて、テレビでマインドコントロールするとかどうとかっていうのが』
『ああ、そう。知らないのね』
クレアはうなずき、ソファに座った。クリスと紗奈もその向かいのソファに座った。
ベベをベッドに降ろすと、べべは『歩きにくい』と言ってベッドの上でもがいた。
クレアが『貸して』と言って、クリスの手からテステクを取り上げた。それからベッドの向かいの壁に向かって「ムルスペリオ」と言った。
すると壁が透き通って、その向こうに浴室のような部屋が現れた。そしてその隣には、壁に謎の器具が取り付けられた小部屋が出現した。
『これがラプーモとポルタールだよ』
浴室のような部屋と、その隣の小部屋をテステクで示してクレアが言った。
『ラプーモ?あとポ・・・何?』と、クリスが聞き返した。
『ラプーモとポルタール。地表世界でいうところの、お風呂とトイレみたいなものだよ。ラプーモは、フォンソワ・・・えっと、地球から湧き出すお湯のことなんだけど・・・』
言葉が思い付かないのか、クレアが助け船を求めた。
『温泉のこと?』
紗奈が答えると、すっきりしたようにクレアはうなずいた。
『そうそう。オンセン。それを溜めて入浴するの。ポルタールは、排泄される便の掃き出し口のこと。地表世界って、たしか排泄物をお尻から出して水で流すんだよね?前に図書館で見たことあるけど』
『こっちは違うの?』
クリスが聞き返すと、クレアは『ちょっと来て』と頭で合図した。
それからテステクでポルタールの扉を開けると、中に入るようクリスに指示した。指示されるまま、クリスはポルタールの中に入った。ポルタールの中は、一般的な個室トイレと同じくらいの広さだった。
『向こう側を向いたままちょっと待ってて』
ホルンのような器具を正面にクリスが気をつけの姿勢をすると、クレアが「ポルタディエーロ」と唱えた。
すると、その器具がゆっくりと音もなく下に下がってきた。そしてホルンでいうベルの部分がクリスの下腹部あたりまで下りてくると、下降が止まった。
『そのまま、じっとしててね』
言われた通り、クリスは気をつけの姿勢で待機した。すると間もなくして、ホルンのベルの部分が青い光を発した。その光がクリスの下腹部を少しの間照射すると、光は消えてホルンはまた音もなく元の位置まで上昇した。
ポルタールから出てきたクリスを、クレアがにやついた顔で見た。
『どうしたの?』
青い光で何かされたのかと不安になり、クリスは自分のズボンを見た。ところが、特に変わった様子はなかった。クレアは相変わらずにやついている。
『何も感じない?』
『何もって?』
『おなかの具合はどう?』
そう言われて、クリスはおなかに手を当てた。たしかに、おなかがスッキリしたような気がする。少し我慢していたおしっこも、もうしたくなくなっていた。
『え?何これ。どういうこと?』と、クリスは聞き返した。
『ポルタールはね、溜まった排泄物を粒子に分解して吸い込んで、異空間へ掃き出すゲートみたいなものだよ』
『へーえ』
仕組みは理解できなかったが、とにかく“うんち”や“おしっこ”を吸い取ってくれる便利な物だということなのだろう。
『でもこれって、体の上からその・・・排泄物を吸い込むことができるの?』
『うん。体の上からでも、服の上からでも分解できるよ』
『動物もできる?』
『もちろん』
腕組みをして得意気にクレアはうなずいた。
『それじゃあ、とりあえずベベもやっておこう』
そう言って、クリスはベベをポルタールに入れて排泄を済ませた。
それからラプーモの使い方も教えてもらい、バッグの中から着替えを取り出してベッドの奥にあるクローゼットにしまった。
『そういえば、地底世界ってテレビはないの?』
階段を上がって、クリスが気づいたように質問した。メシオナは広くなんでも揃っているというのに、リビングにも部屋にもテレビが見当たらない。『テレビ?ああ、地表世界で人々が娯楽や情報収集のために観るものね。学校で教わったことある。特定の電気信号で大衆をマインドコントロールするための機械装置だよね』
クレアは振り返って腕を組んだ。
『そんなのは、もちろんこの地底世界にはないよ。その代わり、図書館へ行けばマルガモルもあるし、娯楽には事欠かないよ』
『何の話?』
眉をひそめて、紗奈がクリスの顔を見た。クリスが『さあ?』と首を傾げると、『なんで?』とクレアがとがめるように言った。
『マルガモルには、クリスも入ったことあるでしょう?覚えてないの?』
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