4 / 14
マスカレードの女
第3話─会合Ⅱ
しおりを挟む
まだ踊るには早い時間帯だ。
ベリンジャー警部は優雅にお茶を楽しんでいた。
いや、本人も張り切っているのだから、ここはバヌ・ブレディと呼ぶことにしよう。
ブレディが付き人とお茶をしている所に一人の男が近づいてきた。
「やぁ、はじめまして。 僕はピータークリスプと言うんだ。 ピーターと呼んでくれ」
本来なら仮面舞踏会とは見ず知らずの他人とのコミュニケーションを楽しむことも一つの楽しみ方だが、ブレディは付き人との楽しいお茶が邪魔されてよく思っていないようだ。
ほら、その証拠に彼の右手には食べかけのクッキーが粉々になっている。
「君のような人間を厚かましいと言うのだろうな」
「…」
「バヌ・ブレディだ」
嫌味を言いながらも、名乗ることからも彼がバヌ・ブレディという名を気に入っているのがよくわかる。
「ブレディ君、よろしく」
差し出された左手にブレディも、左手で返した。
ついでに付き人とも握手を交わすピーターをブレディはじろりと睨んだ。
「仮面舞踏会は楽しいかい?」
「楽しかった」
暗にお前がいるから楽しくなくなったと強調するも、ピーターは痛くも痒くもなさそうだ。
「ところで、君の左後ろ、距離50歩分離れた所に私たちの事を見つめている人がいるのに気づいているかい?」
振り向こうとするブレディを抑えて小さな声でピーターは続けた。
「先刻から、私も別の人に監視されていてね。 いや、君も仲間だと思い声をかけたのだよ」
私は気づいていましたよとでも言わんばかりに付き人は誇らしげに胸を張っているが、ブレディ君…君の洞察力の無さには涙を禁じ得えないね。
「ほら、拭き給え」
「何の話だ!」
ブレディはピーターが差し出したハンカチを振り払った。
「いいか、よく聞け俺は誰かに見られようと気にしない。 だが、弟子もとなると話が違うな」
「それによく見ろ! 近づいてきてるぞ!」
ピーターは大胆にも指でさすブレディに呆気にとられた。
しかし、ブレディの言う通り確かに奴は近づいてきていた。
「ケリを付けるぞ」
そう言ってブレディは腕をまくりながら自分からも近づいていく。
仕方なしに二人も後に続いた。
白のタキシードを立派に着こなしたその男はブレディにこう言った。
「最上階のホールへとお二人方をお呼びするよう仰せつかっております。 よろしければ、ご同行ねがえますか?」
丁寧な口調にブレディは勢いを削がれ
「おぅ」
と何とも情けない返事をした。
「いや、ちょっと待てこっちは三人だ」
数も数えられんのかと睨みつけるブレディ。
「いえ、仰せつかっているのは貴方とそちらの方だけですので」
その男はピーターの事を指しながらいった。
「では、行きましょう」
そう言って歩みだす男についていくピーター。
「ちょっ、おい」
「なんだ? 来ないのか?」
ピーターに言われても噛み付くような反論ができない。
「僕はここでお茶でもしてますよ」
そう付き人がいったこともあって、
「悪いな、すぐ終わらせてくる」
二人の後をブレディは追いかけていった。
二人が最上階の一室に到着すると、案内した男は何処かへ行ってしまった。
部屋の中にはすでに7人人物がいた。
全員が押し黙って険しい顔をしていた。
只者ではない雰囲気が全員からにじみ出ている。
ピーターとブレディ空いている席にすわった。
9人の仮面には皆例外なく金の刺繍が施してあった。
ベリンジャー警部は優雅にお茶を楽しんでいた。
いや、本人も張り切っているのだから、ここはバヌ・ブレディと呼ぶことにしよう。
ブレディが付き人とお茶をしている所に一人の男が近づいてきた。
「やぁ、はじめまして。 僕はピータークリスプと言うんだ。 ピーターと呼んでくれ」
本来なら仮面舞踏会とは見ず知らずの他人とのコミュニケーションを楽しむことも一つの楽しみ方だが、ブレディは付き人との楽しいお茶が邪魔されてよく思っていないようだ。
ほら、その証拠に彼の右手には食べかけのクッキーが粉々になっている。
「君のような人間を厚かましいと言うのだろうな」
「…」
「バヌ・ブレディだ」
嫌味を言いながらも、名乗ることからも彼がバヌ・ブレディという名を気に入っているのがよくわかる。
「ブレディ君、よろしく」
差し出された左手にブレディも、左手で返した。
ついでに付き人とも握手を交わすピーターをブレディはじろりと睨んだ。
「仮面舞踏会は楽しいかい?」
「楽しかった」
暗にお前がいるから楽しくなくなったと強調するも、ピーターは痛くも痒くもなさそうだ。
「ところで、君の左後ろ、距離50歩分離れた所に私たちの事を見つめている人がいるのに気づいているかい?」
振り向こうとするブレディを抑えて小さな声でピーターは続けた。
「先刻から、私も別の人に監視されていてね。 いや、君も仲間だと思い声をかけたのだよ」
私は気づいていましたよとでも言わんばかりに付き人は誇らしげに胸を張っているが、ブレディ君…君の洞察力の無さには涙を禁じ得えないね。
「ほら、拭き給え」
「何の話だ!」
ブレディはピーターが差し出したハンカチを振り払った。
「いいか、よく聞け俺は誰かに見られようと気にしない。 だが、弟子もとなると話が違うな」
「それによく見ろ! 近づいてきてるぞ!」
ピーターは大胆にも指でさすブレディに呆気にとられた。
しかし、ブレディの言う通り確かに奴は近づいてきていた。
「ケリを付けるぞ」
そう言ってブレディは腕をまくりながら自分からも近づいていく。
仕方なしに二人も後に続いた。
白のタキシードを立派に着こなしたその男はブレディにこう言った。
「最上階のホールへとお二人方をお呼びするよう仰せつかっております。 よろしければ、ご同行ねがえますか?」
丁寧な口調にブレディは勢いを削がれ
「おぅ」
と何とも情けない返事をした。
「いや、ちょっと待てこっちは三人だ」
数も数えられんのかと睨みつけるブレディ。
「いえ、仰せつかっているのは貴方とそちらの方だけですので」
その男はピーターの事を指しながらいった。
「では、行きましょう」
そう言って歩みだす男についていくピーター。
「ちょっ、おい」
「なんだ? 来ないのか?」
ピーターに言われても噛み付くような反論ができない。
「僕はここでお茶でもしてますよ」
そう付き人がいったこともあって、
「悪いな、すぐ終わらせてくる」
二人の後をブレディは追いかけていった。
二人が最上階の一室に到着すると、案内した男は何処かへ行ってしまった。
部屋の中にはすでに7人人物がいた。
全員が押し黙って険しい顔をしていた。
只者ではない雰囲気が全員からにじみ出ている。
ピーターとブレディ空いている席にすわった。
9人の仮面には皆例外なく金の刺繍が施してあった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
生きるために逃げだした。幸せになりたい。
白水緑
ファンタジー
屋敷内に軟禁状態だったリリアは、宝物を取り戻したことをきっかけに屋敷から逃げ出した。幸せになるために。体力も力もない。成り行きに身を任せる結果になっても、自分の道は自分で選びたい。
2020/9/19 第一章終了
続きが書け次第また連載再開します。
2021/2/14 第二章開幕
2021/2/28 完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる