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武界

4話、大和の思想

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「ねぇねぇ!大和さん!」幼い子供が大和に向かって走ってきた「なんだよ吹雪」大和が海を見つめている「私には夢があるの」「夢?」大和が面倒くさそうに答える「私、何があっても将来ずっと大和さんと一緒に戦いたい!私達は将来絶対に海軍に入らなくては行けなくなるけど…でも!私はずっと大和さんと一緒がいい!」大和は目を見開いた。

そう、この時の大和は人間不信で皆にも冷たい態度を取っていたからだ「私は…こんなにも冷たい人間なんだぞ」大和がお菓子を食べながら言うも吹雪は笑っている「そんな大和さんのこと私は好きだよ!友達として…いや…同じ女の子としてね!えへへ」吹雪がまた笑った「ぷっ…変な奴だなぁ…あはは」大和がついつい吹き出してしまった「わかった、約束だからな」「うん!約束!」2人は固く小指を結んだ。

「おい!吹雪!吹雪!」大和が泣きながら倒れ込む吹雪を見る「や……ま…と…さん…」吹雪は目を開ける「おい!勝手に死ぬなよ!約束しただろ!ずっと一緒だって!」大和が叫ぶ「うん…覚えてるよ…でも…」吹雪が微かにポケットに手を突っ込むと2つに折れたあの戦艦のおもちゃみたいなのが出てきた「それは…」美香音も真美も泣きながら見つめる「これは…私の…いや…皆の…命…壊れたらもう終わり…これ…自体は…壊れる…ことないけど…私が…居なくなれば…壊れる…」と吹雪の体が雲の泡ようにふわふわになってくる。

「おいおい!お前!ふざけんな!私まだ何もしてない!お前に打ち明けたい秘密があったんだ!」大和がさらに吹雪を抱きしめる。

「大和さん…私に撃ったの後悔…してますか?」大和が驚いた目で見る「私…全て…知っていたんです…長門さんに…あのことを…教えてもらいました」「嘘だ!長門は確かに『吹雪さんには別記憶を埋め込みました』って…」大和の頬に消えかけの吹雪の手が添えられる「それは…私が…頼んだんです…あなたが…海軍を…辞めないように…」吹雪の目からは涙が溢れている。

美香音と真美も泣いている特に真美が1番…「私…真美さん…そして…美香音さん…最後に大和さん…この…3人で今までずっと戦えたことが…本当に嬉しかった…。夢が…叶ったんだって…」さらに光が強くなる「おい!待て!まだ行くな!吹雪!」「吹雪さーん!」真美と美香音も左手を握り叫ぶ「私から最後に……この世界を守って…」吹雪はそのまま雲となって消えていった。

「うわぁぁぁ!」3人はそのまま倒れ込んでしまった「ふははは!実にいいなこれを見たかった」マスティマが笑っていた。

「はぁ!」ガキーン!と声が聞こえた「貴様ー!」深雪と白雪が猛スピードで突っ込んで来たのだ「お前らも死にに来たのか?」マスティマが2人の剣を受け止めている「うるさい!」白雪の剣がマスティマのど真ん中を捉える「甘いな」と別の方から2人でてきた「くっ!」と2人は空中に浮く「俺を倒す前にお前たちは俺の部下と戦え」「はぁ!」白雪と深雪はそのまま突っ込んで行った。

「クソが!」大和が地面を叩く「吹雪さん!吹雪さん!」真美が壊れた吹雪の戦艦を握っている「それは…私たちの命つまり魂そのもの…」大和もポケットから取り出す「これは外からの衝撃では絶対に壊すことは出来ないが…本人が死んでしまうと割れてしまうんだ」大和が呟く「どうだお前ら」マスティマが上から降りてくる「1人死んだくらいでこの有様だイラつかせやがるだったらこの島ごとお前らも沈めてやるよ!」マスティマが拳を振り上げ地面に叩きつける。

バキバキバキ……と地面がえぐれ大爆発を起こした。「大和さん!真美さん!美香音さん!」他のみんなも叫んだ。

ブクブク……「私ってやっぱり誰一人も守れないんだ」美香音が上を向きながら沈んでいく「私のせいで吹雪さんが…真美さん…大和さんを傷つけた…ならいっそこのまま…」美香音が目を閉じる「…かね…美香音!」呼ばれ美香音は目を開ける「ここは…」美香音が周りを向く「あなたの力はそんなものじゃないでしょう?」目の前に1人立っていた「海愛(みちか)お母さん!どうしてお母さん…死んだはずじゃ…」海愛は続けた「あなたには仲間がいるでしょう?」「私になんか仲間なんているわけない……」美香音は俯く「それだから1人も守れないのよ声を聞きなさい仲間の声そして大切な人の声を、そして踏み出しなさい!」と光が刺し目を開くと海を落ちていく途中だった。

目の前には必死に右手を伸ばしている大和が見える左手には真美が…「美香音!」大和が叫んでいる「そうだよね…違うよね、私には仲間がいるんだ!絶対に負けるもんか!」と大和の手を握った時、微かに光が刺した。

「沈んだか…ふははは!どうだお前ら!これが俺らに逆らうとなる結末だ!」深雪も白雪ももはや見るしか無かった「本当はお前らをここで潰すつもりでいたがここまで全滅すると俺も楽しめない。おい戻るぞ!」と魔界族達が戻ろうとしたその時…「あっ」白雪と深雪が何かを感じた時、水の中から何かが飛び出してきた「ん?」デスターロックに当たったと思いきやとてつもない超大爆発を起こした。

「うわぁぁ」深雪も白雪も爆風に巻き込まれてしまう「何が起こった!?」マスティマが周りを見ると200体前後いたスネークバスターがなんと1匹もいなかったのだ「おいどういうことだよ!」マスティマが周りを見渡す。

ブクブク…微かな水の音を白雪と深雪が逃すわけは無かった「間違いない大和さんです!」と下を見る「なんだと!?」魔界族達も下を見ると超巨大な影が見えてきた「なんだよあれは…」そのまま光を上げ浮上してきたのはどの戦艦よりも格段に大きな戦艦…そして甲板には真美を抱えている美香音がいた。

「あれが…大和さんの戦艦の姿…すごい…」美香音が手を上げると主砲が移動し魔界族に向ける「舐めてんのかてめぇ!」マスティマが突っ込むと同時に美香音が手を下ろした。

ドン!と今までにない巨大な音がなりマスティマに向かっていく「甘いな!」と白雪をマスティマの前に出した「キャ!」「そんな大砲だと味方に…グア!」とマスティマが白雪を離し吹っ飛ぶ、白雪はお腹を触るがなんともなっていなかった。

そのまま球に乗り吹き飛ばされたマスティマは仲間に当たりまた超大爆発を起こした。

「うわぁぁぁ」マスティマ達は一瞬で雲となって消えていった「大和さん前方100キロメートル」美香音が前を向く「はい!」また主砲が前を向くと美香音が消え戦艦の中に入ると目が赤色になった。「なんだ!?」白雪と深雪そしてその仲間達が困惑する「全て見える…100キロ先のことも」と大和が撃つ「これは間違いなく城に当たる…」と白雪が呟いた。

「金剛!まだか!?」長門と金剛が人の姿になりながら飛んでいく「見えてきました!」金剛が振り返る「ん?避けて!」と金剛が離れると間を猛スピードで何かがお城に向けて飛んで行く「今のは…まさか!」金剛が前を見ると城で大爆発を起こした「あの威力そしてこの精度…ふふっ…ついにやったのね大和さん」「まさか…大和さん…」長門も驚いた顔で見る「えぇ…」金剛が頷いた。

「命中…」白雪が言う「これが大和さんと美香音さんの本気…」
「皆さん!美香音です!私が情報を全て共有します!ここからが本当の勝負です」と叫んだ「うぉぉぉ!!」周りからは歓声が湧き大和は猛スピードで城に向かって飛んで行った。「これが元最速戦艦ランキング1位速さ…ううん!私達も追いかけましょう!」白雪と深雪達は2人を出来る限りを尽くし追いかけた。
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