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一章
第14話 奴隷紋を解除してやった
しおりを挟む5年前、魔王討伐後、俺は自分に刻まれた神代魔法、奴隷紋をセルフ解除することで神代への冒涜という罪に問われた。表向きは。実際のところ国王は恐かったのだと思う。なにせ俺の肉体は原初の魔王だから。
まぁそれで罪人として無人のセブンランド大陸へ島流しになった。
そして4年前、俺は第七位階転移魔法でこの世界と日本を行き来できるようになった。
日本では戸籍無し、不法滞在外国人扱いで仕事に就くことは勿論、アパートを借りることすらできない。それにこの体は長寿でなかなか歳を取らない。そんな状況で日本でまともな生活はできないと判断し、こっちの世界で生きることに決めた。
現在、俺の家は長野県で廃業した旅館。それを取り壊し前に解体業者から無償で頂いた。
旅館を異次元倉庫に取り込んで、こっちの世界に来て取り出したのだ。解体業者の人は一晩で巨大な旅館が跡形もなく消えたから驚いていた。
一軒家ではなく旅館を選んだのはいずれ女奴隷を数人受け入れようと考えていたからだ。
この旅館は洋館風木造建築で客室30、宴会ホール、広い調理スペース、男女別に大浴場等がある。
因みに俺の資金源はセブンランド大陸中央で発見した金鉱山で、そこでは純度95%の砂金が1日平均300gくらい取れる。それを日本で伝手を使い換金すると1日の収入は日本円で約250万円になる。
他にもこっちで生産した物を日本で売っているがそれはあまり売れていない。
その資金を使ってトラクターや田植機等の農機具を買い、この世界で生きていく為に4年前から日本の野菜、果物、畜産動物で農業を始めた。最初は失敗続きで途方に暮れたこともあったが、昨年くらいから順調に収穫できるようになり、現在食料はかなり余っている。
◆
奴隷も買えたし、無事?帰還できた。
「「「「「「えええっ!?」」」」」」
急に景色が変わって皆周りを見回しながら驚いてる。
「ここはいったい……どこなのかしら?」
「あやかしや化け狸の仕業でしょうか!?」
「この男絶対におかしいわ。なんなのよ」
「俺の家の玄関ホールだ。魔法で転移したんだよ。それより、最初に君達に言っておきたいことがある。心して聞いてくれ!」
そう言うと皆静まり俺が次に発する言葉に耳を傾ける。
「俺は、ロリコンじゃあないっ!大人の女が好きだ!」
「「「「「「 …… 」」」」」」
あれ?何かリアクション薄いな?わかってる?俺の名誉に関わる重大発表だぞ?
エルフ殿が他の子供たちを見渡してから呟く。
「いや、ロリコンでしょ」
「ご、ゴロウ殿、気にすることではありませんよ!ロリコンでも良いではないですか!?」
「あたしも別に嫌じゃないかな……」
「ふむ。それはどうでもよいが、転移魔法は神代魔法だ。何故お前は使える?」
どうでもよくはありませんが!?
はぁー、まぁ伝えたいことは伝えたし、あとは行動で示してのんびり誤解を解こう。
しかし、流石ヴァンパイア族だな。魔法に詳しい。
「俺の体は原初の魔王アウダムの複製体で、彼が有した世界の理より上位に位置する3つの能力を持っている。その一つが無限記録書庫。細かい説明は省くが、その力で俺は第七位階までの魔法を使える」
「エルフ殿、アウダムとはいったい?」
「知らないわよ。そこのお嬢様や銀髪なら知ってるんじゃない?」
「わたくしも存じませんわ」
「私も知らないな」
アウダムさん、一万年前の人だから普通は知らないだろうな。
「しかしお前……化け物だな。どおりで私の奴隷紋を上書きしないわけだ」
「あの、どういう意味ですか?」
アンヌがヴァンパイア少女に尋ねた。
「魔族が得意とする精神魔法、その第四位階に神代魔法奴隷紋は位置する。それより上位の魔法を扱えるのだ。わざわざ下位魔法で私を縛らなくとも、いくらでも服従させられるのさ」
「世界には第三位階より上の魔法は存在しないと教育を受けましたが……、ゴロウ様は途轍もない魔法使いなのですね……。それに先程の回復魔法も本当に凄かったですわ」
そう言ってアンヌは強い視線で俺を見詰めた。ウィスタシアも俺をチラ見する。
「だから化け物だと言っただろう」
たく、こいつ等は主のことを化け物だとかロリコンだとか言いたい放題言いやがって。化け物は……まぁ否定できないけど。
教育方針なんて決めていなかったが、ガキはすぐに調子に乗るから厳しく躾けよう。
甘やかさない、甘えさせない、今後はそういう方針でとにかく厳しく調教して自分達の立場をわからせてやらないと。
それに、聞き捨てならないのは今、ウィスタシアが言った服従させるという言葉だ。
「何か勘違いしているようだ。俺は君達を無理やり従わせるつもりはない」
俺は手をかざし、魔法で全員の奴隷紋を解除した。
「今使った魔法で奴隷紋は消えた。これからどうするかは君達の自由だ。家に帰りたい子は送ってやる」
これでこの子達は誰かの命令に従って生きるのではなく、自分で考え悩み人生を切り開かなくてはいけなくなった。
それは苦悩を伴う茨の道でもある。
ふっ、俺は厳しいからな。
あとはこいつ等次第、どんな道に進みたいかは知らんが、自立できるまで俺が全力でサポートしてやろう。
将来俺の女になるにしても、嫌嫌とか中途半端な気持ちでなられたのではこっちが迷惑なんだ。
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