58 / 66
第58話〈魔物召喚―軍勢Lv25〉
しおりを挟む【クリリス(クリト)視点】
ゼツ・リンダナが黒い球体に入った後――。
「私達も〈転移魔方陣〉へ急ぎましょう」
アターシャさんが駈け出そうとするが、私は手でそれを制す。
「待って、今座標を調整している……」
ここに残ったのは私、パンティーさん、アターシャさん、アナルさん。4人なら私のスキルで地上へ飛べるはずだ。
この星の地形と、ティッシュさんの位置、己が現在地を私のパッシブスキル〈世界測位〉が教えてくれる。
よし見えたぞ!座標を固定。一緒に飛ぶ対象を選択――、この場にいる3人だ。
「飛ぶぞ!アクティブスキル〈空間転移〉ッ!」
――――視界が急に明るくなった。時刻は昼過ぎ。
「えぇえええッ!?一瞬で街に帰ってきましたわッ!」
「これはいったい?何が起こったのですか?」
「不思議ですねぇ」
3人は驚いた顔で周囲の街並みを見回している。
「わた……、ボクのスキルで移動した」
そう言いながら私は空を見上げる。
それに連れられて3人も空を見上げた。
遥か上空にヤツ等がいる。
「あれ、なんですの?私の〈リバイバル〉に現れる天使と似ていますが……」
「白い翼の生えた人間……、確かに、古代遺跡等に描かれている天使に似ています」パンティー
「たくさんいますねぇ。いこの街で何が起こるのでしょう……」アナル
遥か上空に【SSR天使】が数百体、等間隔で静止している。
彼を探しているのだ。【MR無責任種付おじさん】の加護を持ったゼツ・リンダナを。
「あれ?パンティー様達ニャン!」
上空に注目しているとティッシュさんに声を掛けられた。
うまく合流できたぞ。
「ティッシュさん、避難の進捗は?」
私はティッシュさんに尋ねる。
「貴公子団とギルドの仲間が動いてくれてるニャンけど、年寄や子供もいるからまだまだニャン」
「……、皆さん聞いて欲しい。あと少しでオリハルコンゴーレムがこの街に現れる。しかしあのクラスのモンスターはこちらから攻撃を仕掛けなければ襲ってこない。ヤツは街を破壊しながら直進すると推測できる故、民の避難を優先すれば街は壊れるが人が死ぬことはない。このままヤツを行かせてやってくれないだろうか?」
アターシャさんが私を睨んだ。
「ずいぶんモンスターにお詳しいですわね。はっきり言いますが、私、貴方を信用していませんわ。街が壊れると仰いましたが、そう仕組んだのは貴方のお仲間、アエロリットさんという方ですわよね?責任を取ってくださるの?」
「それは……」
オリハルコンゴーレムがあそこまで強大になったのは【LR龍神】龍ヶ崎流花のサラマンダーのせいだ。
当初の計画でもゼツ・リンダナとノエル様を誘き出す為、多少街は壊れると読んでいた。しかし、私のモンスターを支配するスキルである程度、制御する積もりだった。だが、あのクラスになるともう手出しできない。
アエロリット様ですら、こうなるとは予想できなかっただろう。
くっ……、アターシャさんが言う通り、責任の一端は私達にある。
「すまない……、今はそれしか言いようがない」
「ふん、なんですのそれ?謝って済むことではありませんわ」
冷たい視線で私を睨むアターシャさんにパンティーさんが、
「アターシャ、今は言い合いはやめましょう。今回の冒険で、私達は信じられない金額を稼いでいます。街の復興費はそこから一部寄付します。私達が今やるべきはこの方が仰る通り、お金では返ってこない人命を優先することです」
「……姫様」
アターシャさんは顎に手を当て少し考える。
「……そうですわね。私達が寄付すれば勇者パーティーの名声も上がり、逆に良い結果になりますわね……。こちらは赤字にならなければ良いわけですし……、ええ、そうしましょう」
そんな話しをしていると――ッ!
「きゃぁあああああああああッ!」
「なんだあの化け物はぁああああああッ!」
「き、金色の巨人だぁああああああッ!」
街の中心、目の前の広場にヤツが現れた!
◇
ゴゴゴゴゴゴゴッ
ゴゴゴゴゴゴゴッ
ゴゴゴゴゴゴゴッ
オリハルコンゴーレムは街を破壊しながら直進を始めた。
ただ、予想通り暴れることはなく、奴が通った後の建物がバラバラに倒壊するだけで被害は止まっている。
◇
我々は即座に行動を開始した。
オリハルコンゴーレム進行速度はゆっくりで、進路上にいる民を我々が避難させていく。
すると――、上空の天使が動いた。
ヒューッ!――ガンッ!
オリハルコンゴーレムに向けて光線を放ちそれがヤツの体に直撃した。
「な、何を考えているッ!くっそ!」
ドッゴッッゴッゴッゴッッゴッゴッッゴッッ!!!
ドッゴッッゴッゴッゴッッゴッゴッッゴッッ!!!
超巨大なオリハルコンゴーレムが50メートルは有ろう長くて太い腕を振り回し、コマのように回り始めた。
飛び散った瓦礫が空から降り注ぎ、逃げる町民を襲う。
「貴公子団、民間人を守れッ!」
「「「「「 はッ! 」」」」」
アナルさんが檄を飛ばす。パンティーさん、アナルさんも飛んでくる瓦礫を迎撃し、町民を守っている。
ヒューッ!――ガンッ! ヒューッ!――ガンッ! ヒューッ!――ガンッ!
ヒューッ!――ガンッ! ヒューッ!――ガンッ! ヒューッ!――ガンッ!
上空の天使達がオリハルコンゴーレムに絶えず光線を食らわせる。
しかし威力が弱い。【SSR天使】のレベル上限は640。これだけ数がいれば、このオリハルコンゴーレムなど瞬殺できるはずだが、そうしない。
ゼツ・リンダナを誘き出しているのか!?
「ぐっ、これでは大量の死人がでるぞ!もう出し惜しみしている場合じゃない!!
来いッ!モンスターズッ!
――アクティブスキル〈魔物召喚―軍勢Lv25〉ッ!」
私の周りにモンスターの軍勢が出現した。その数は1000を超えている。スケルトンやブラックベア等これら全て、私がテイムした魔物だ。
私は魔物達に向かって叫ぶ!
「町民を守れッ!一人も死なせるなッ!」
魔物は散り散りなって動き出す。
急にモンスターが現れ町はパニックなった。
しかし、そのモンスターが人に飛んでくる瓦礫の盾になる。動けない人を背負って遠くまで逃げる。
「貴方、一体何者ですの?」
「……」
アターシャさんが訝し気に私を睨んでいる。と、そこに――。
「いたニャン!アターシャ様、この子が瓦礫に埋まって、死にそうニャン!お願い〈リバイバル〉を」
ティッシュさんが血塗れになった少女を抱えて連れてきた。
アターシャさんは下唇を噛むと、
「平民じゃありませんの……」
「お願い……、助けて欲しいニャン」
「ええい!わかましたわ!
――アクティブスキル〈リバイバル〉ッ!」
〈リバイバル〉の効果が発動し少女は一命を取りとめた。
私は心の中で叫ぶ。
ゼツ・リンダナまだか!?そう長くは持たないぞ!!
【ゼツ視点】
僕とノエル、それから全裸のタカヒロが黒い球体から出ると、21層はもぬけの殻だった。
ノエルと盛り上がってしまい、時間を掛けすぎた。
皆、無事でいてくれよ。
僕達はオリハルコンゴーレムが通った跡を走り出す。
1
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる