Girl tha make stronger!

珊螺

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第一騎士団

謎の新人……?

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ラベルトの部屋を退室したゼスとニゼス、テイル、ブルはカイル殿下の部屋へ向かうことになった。

先頭にゼスで他は後ろを付いて行く。

道中は静かに特に話すこと無く、カイル殿下の部屋へたどり着いた。

コンコンと部屋をノックして、ゼスを筆頭に部屋へ入室する。

「よく戻ったね。皆、こちらへ。」

カイルは書類に目をやったまま皆に声を掛ける。

言う通りにカイルの前に来ると一列に並ぶ。

「こちらラベルト殿下より受けとりました。そして、この者が配属された者です。」

手紙をカイルに渡し、ブルと名乗る人物を紹介したゼス。

カイルはその一連の動きを言葉を挟むこと無く、聞いて見ていた。

「わかった。今後、この者は第一騎士団の所属とのことだな。」

手紙を読み、動きを理解したようなカイルだった。

皆は何も言わないが、その理解の早さに驚いていた。

やはりこの皇太子はすごい人なんだと。

「で、名前は?」

「ブルと申します。入団の許可をしていただき、ありがとうございます。」

ブルは丁寧にカイルに挨拶をする。

カイルはその動作に目も離さず、見ていると少しだけ黙った。

「……なるほど。これはアレに任せるか。」

そう呟くと手紙を書き始めてしまったのでさらに静かな時間が流れた。

手紙を書き終わると、顔をあげた。

「ゼスはニゼスとテイルと共に稽古場へ行き、見てやれ。ブルはこの場に残ってくれ。」

カイルの言う通りに皆が動き出した。

ゼスは二人を連れて稽古場に移動して行く為に部屋をあとにした。

部屋に残ったのはカイルとマディル、ブルだけになった。

「カイル殿下、元々の予定ではないんですが・・・一体どのようにするんですか?」

少ししてからマディルが話し出した。

実は最初の予定では新人の2人にカイルの護衛であるゼスに護衛とは何かと教えるはずだった。

その予定を変えて、稽古場に移動させたのは急な予定変更だった。

「・・・ん~・・・そうなんだが、ブルが来たから予定変更だ。」

カイルは椅子から立って窓の方へ行くと窓を開けて、しばらく外を見る。

そうすると、遠くから鳥が飛んできた。

白い鳥はカイルの肩に止まると、毛繕いをする。

その様子にマディルはちょっと嬉しそうに話しかける。

「カイル殿下、仕事ですよ?指示をお願いします。」

カイルが白い鳥の頭を撫でながら、視線をマディルに移す。

「わかってる。ブルはこのまま第3騎士団の部屋へ行き、ちょっと待っていてくれ。」

無言で頷き、ブルはそのまま部屋を出ていった。

白い鳥に手紙を渡すと外へ飛んでいってしまった。

窓を閉めて、椅子に座り直すカイルの口許は緩んでいた。

「今ごろハルは嫌な顔をしているんだろうな・・・見てみたい・・・。」

カイルがそういうと横に控えているマディルは少し引いていた。

白い鳥はハルの使い鳥だった。

ハルにブルの報告とこれからの動きを任せるための手紙を託すため使い鳥のリィーを呼んだのだった。

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その頃、ハルの元にリィーがたどり着いていた。

「・・・ん。おかえり、リィー。」

リィーをいとおしそうに迎えるハルは変装中だった。

第1騎士団の格好をして、警備に当たっていた。

ちなみに男の変装をしているから変装中に気づいている者は居ない。

リィーが来るような気配がしていたので、警備している場所から人目につかない所に移動していた。

「ん~・・・手紙ね。・・・・・あぁ~面倒ごと持ち込まれたか。」

手紙を読み終わると頭を抱えていた。

今は警備に当たっている所だったので、気配を消すようにその場から離れた。




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